Software: 2012年12月アーカイブ
PS3のネット配信ゲームにはときどき名作がある。『The Unfinished Swan』『風ノ旅ビト』今年のこの2本は絶対おすすめ。どちらのゲームも一切の操作説明がない。ゲームの目的も示されない。だから、何をどうするとどうなるのか、結局何をすればいいのか、ゼロから自分で見つけ出していく。
・The Unfinished Swan
http://www.jp.playstation.com/scej/title/theunfinishedswan/
The Unfinished Swanはなにも識別できない真っ白な画面で始まる。ボタンをおすと墨がまかれることがわかる。そして墨が飛び散ることで、部分的に構造が浮かび上がり、自分が小さな部屋にいることがわかる。まずは墨をもっとまいて部屋の全体像を明らかにしてこの部屋を出ればいいのだなと気がつく。だが部屋を出れば実は広大な真っ白世界が広がっていた。次どうする?という風に、操作方法をつかんだと思うと世界が広がり、次の謎が示される。墨をまく、外へ出るというのは第1章の話に過ぎなくて、後の章でも仕組みはどんどん追加されていく。ネタバレになるからあまり書けないが、圧倒的に美しいゲームだ。
・風ノ旅ビト
http://www.jp.playstation.com/scej/title/kazenotabibito/
もはや伝説の"flOw" "Flower"につづくThat Game Companyの傑作。砂漠の広がる異世界で旅ビトとなって、長いスカーフをはためかせながら風に舞ってシンボルにタッチして世界を解放していく。風にのって高速で滑空する爽快感が最高。音楽も素晴らしい。このメーカーの作品を見ていると、ゲームはお金をかけてリッチにつくればいいってもんじゃないとよくわかる。アイデアとデザインで感動がいくらでも生み出せる余地があるのだなと。
先日Webを参照しながら同じ画面で原稿を書くスマホのテキストエディタ ブラウザノートというのを紹介したが、その進化版。ブラウザノートの機能はほぼすべて入っていると考えてよさそう。それに加えて類義語提案機能がついてパワーアップしている。約15万個以上の日本の語類語、約17万個以上の英語の類語を収録している。
類義語辞書の便利さは納得だが、これまでなかなか高頻度の常用ツールになりにくかった。当たり前だが辞書は引かないといけないからだ。執筆中は、いいたいことと、そのいいかたの二つを考えているわけだが、いいかたを考えるために辞書をひくと、いいたいことを忘れてしまったりする。だから、辞書を引く時間がどうもとりにくい。
この類語エディタでは、日本語入力の変換候補を確定させた瞬間に類語がずらっと並んで提案表示される。辞書を引いている気がしないのだ。もしも提案にもっといい言い方がみつかれば修正すればいい、というのは実にいい気分だ。
Webを参照しながら同じ画面で原稿を書くスマホのテキストエディタ ブラウザノート
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/web-10.html
読み込み時間がゼロのニュースリーダー。愛用中。ゼロの理由はニュース記事のすべてを定期的に事前ダウンロードしているから。ユーザーがアプリを起動すれば常に最新のニュースが読み込まれている状態になっている。
一覧から気になるニュースをクリックすると、"スマートモード"で読むか、オリジナル本文をダウンロードするかを選択できる。事前ダウンロードしてあるのはシンプルなニュース本文のみなので、配信元のレイアウトなどが欠けている。数秒待てばオリジナル本文をダウンロードして元サイトどうりのリッチなデザインで読むこともできる。
向かって左側がスマートモード。右側がオリジナル本文版。待ち時間ゼロで少なくとも左は表示できる。多くのニュースはそれでも十分のようにも思える。もちろんこうするとオリジナルの広告などが表示されないわけで、ニュースサイト運営のビジネスモデルとバッティングする。ニュースリーダーアプリとしては問題視もされているみたいだ。
「エンタメ」「政治」「テクノロジー」「2ちゃんねる」など11のチャンネルからカテゴリだけえらべば適当なニュース記事が配信される仕組み。ユーザーとしてはとても便利だ。
音声合成アプリ。HOYAが開発。
このソフトの出力音声は、あの声にそっくりだと思ったらやはりそうだった。
テレビ東京の毎週日曜夜の番組『もやもやさまーず2」の独特のナレーションの声。あれが音声合成の「ショウ君」だったのである。びっくり。
ショウ君のオフィシャル紹介サイト。
http://voicetext.jp/show.html
先日 IBMのフェローでアクセシビリティの研究者 浅川 智恵子氏のお話を聞く機会があった。その講演の中で読み上げソフトの音声を30倍速くらいで再生する。何をいっているのかさっぱりわからない。20倍速、10倍速くらいにしてもまだ難しい。3倍速、2倍速にすると誰でもわかる。だが10倍とかでも障害を持った人で聞きなれた人には十分に聞き取れるのだという。
世界最先端の自然な音声合成の音声というのも聴かせてもらった。感情、イントネーションや微妙な表現にまでこだわったソフトだ。映画の俳優の会話のようなものが完全に機械合成で再現されていて驚いた。だが普段の作業の中で、パソコン操作に使うにあたって画面の文字情報を高速に聞き取るには、ちょっと昔の平板なイントネーションの機械読み上げのほうが聞き取りやすくて実用的だなどという感想もあった。音声合成もまだまだ深い技術。
このショウ君はちょっととぼけた感じで人を和ませる。
LINEのツールである必要がまったくないが、かなり便利だな、これ。
[測定ツール]
●定規/分度器/方位磁針/水平器/騒音測定器
[時計]
●ストップ・ウォッチ/タイマー/祝日カレンダー(日本向け)
[便利ツール]
●懐中電灯/鏡/虫眼鏡/パスタメジャー
[計算]
●計算機/年号・年齢チェック(日本向け)
という14種類のツールが入ったアプリパック。
ツールの数はまだまだ増えていくらしい。
計測すべき位置をデジタルで動かして確認できる定規や分度器はかなり便利だ。
水平器は写真撮影に、騒音測定器はポッドキャスト収録の環境測定にと、意外に日常的に使うシーンがあったりする。
いろいろなツールが一式このアプリの中にあるというのがよい。常用しそう。
ソーシャルメディアの記録をアーカイブするサービスとしてTimehopとMemolaneが大好きだ。今日紹介するのはTimehopのiOSアプリ。
Timehopは1年前、2年前、3年前...n年前の今日、自分がソーシャルメディアに投稿した記事を思い出させてくれるサービス。TwitterやFlickrなどのアカウントを登録しておくと、メールで毎日のように過去の投稿一覧送られてくる。たとえば私は昨年の12月14日は京都駅前で飛行船を撮影していた、6年前はなんだかうまそうなパスタを食べていたなんてことがわかった。
昨年の今頃はこんなことを考えていたのか、とか、毎年同じことを繰り返してばかりだなあとか、過去の同じ日を見直すことで感慨深い発見がある。ソーシャルメディアをもう何年も使い続けているというヘビーユーザーほど、味わい深いアプリだ。
これも常用確定のアプリ。あまり考えなくてもデフォルトのデザインで、十分きれいに注釈がつけられる。
最初見たとき、基本メニューがとても考えられているなあと感嘆した。写真を撮影、写真を選択、地図に描画、白紙に描画、Webからキャプチャ。画像に注釈をつける主な用途が列挙されていて、すぐにその目的に取り組める。任意の地図やWebを表示させてキャプチャするのが簡単。
矢印やテキストのコメントはデフォルトの配色で充分に美しいので、適当に拡大縮小レイアウトするだけで、スマートな注釈を残せる。フリーハンドで描くことももちろん可能である。モザイク処理、や部分切り取り処理もある。
これは定番アプリリスト入り。こんなのが欲しかった。
機能はおよそ一目瞭然だと思うが、発表の時間管理を円グラフのタイマーでリアルタイム表示する。全体の何割くらい終わったか、いま喋っているパートはどこか、どれくらい押しているかなどを直観的に把握することができる。
最初にまずプレゼンの構成をパート名と所要分数で登録する。
プレゼン中は注意が集中しているから、時間管理画面は相当わかりやすい画面でないと使い物にならないが、このアプリのデザインはかなりわかりやすい、実用的だと感じた。
アラートにはサウンドとバイブレーション、残り時間をしめすカウントダウンと、経過時間をしめすカウントアップの両方のモードを切り替えることも可能。
就寝時に聞くのによい音声コンテンツはないかなあと探していて見つけたのがこれ。三省堂の高校の教科書をひたすら読み上げる。
全史で12時間47分もある。古代編、中世編、近世編、近代編、現代編と5部に分かれており、ばら売りでは一部800円。5本セットで3300円。
1.古代編(第1部 1~5章)旧石器時代から平安時代まで
2.中世編(第2部 6~9章)院政から室町時代(応仁の乱)まで
3.近世編(第3部 10~13章)戦国時代から寛政の改革まで
4.近代編(第4部 14~17章)天保の改革から大正政変まで
5.現代編(第5部 18~21章)第一次世界大戦から終戦まで
6.戦後編(第6部 22~25章)占領から現在まで
漢字が見えず、音声のみで聞くとわかりにくい言葉がいきなり出てきて、用語解説がなかったりするが、その不親切さも、ぶっきらぼうさも実に教科書的で、学生時代に戻った気になれる。(わからない言葉をWikipediaで調べ始めると眠れなくなる)。
私は今ちょうど戦国時代を聴いている。戦国時代というと、さまざまな武将の活躍とドラマがあったわけだが、高校の教科書は、信長、秀吉、家康の流れでさえ、かなりあっさりと大きな出来事を語っているのみだったことにきがついて愕然とした。私の戦国武将に対するイメージや知識は、学校で習ったものではなく、大河ドラマや小説で知ったものばかりだったのだなあ。
総時間12時間47分。聴いても聴いても終わらない。日本の歴史はひたすら続いていく。淡々と。ノリノリにはならない。そして最後まで聴かねばならないなんて気がまったく起きない。飽きたところで止めて眠る。そういう目的では最適。
もちろん世界史版もある。そして速聴用の倍速版というものもある。
任天堂の岩田社長がWeb上で頭を下げて品薄を謝罪するに至ったほど爆発的な人気で売れまくっている とびだせ どうぶつの森。ゲームキューブ時代からあるゲームだが、いまなぜ3DS版が売れたのかを考えてみるに、やはりこれは今時のソーシャルゲームそっくりだから?じゃないかと私は考える。
どうぶつたちとの交わりを楽しみながら、村で平和に日々の生活を送ることを楽しむゲームだ。最初のうちはローンで家を建てて、魚釣りや木の実ひろいでお金を稼いで、借金を返し、家を大きくしていく。村長として"公共事業"に寄付して橋をかけたり、施設をつくってもいい。村が充実していくといろんなどうぶつが引っ越してくる。プレゼントを贈り合ったり、会話をして仲良くなっていく。
勝ち負けや目的はなにもない。淡々と日々の生活を送る。10年前だったら、どこが面白いのかまったくわからない人も多かったと思うが、携帯ソーシャルゲームが全盛の今だからこそ、このゲームの面白さを受け入れる人が増えているのではないだろうか。
私の周りのIT業界の30代、40代たちもこのゲームにかなり反応している。人気ウェブサービスをどうぶつの森に学べると感じている人もいる。繰り返し訪問させ、飽きさせない仕組み、つまりゲーミフィケーションの工夫がどうぶつの森にはいっぱい仕込まれているからだ。
これはブロガーでiPhoneユーザーだったら必携と言ってもよい便利なツール。
ブログを運営しているとアクセスログを見るというのも楽しいのだが、最近はそれ以上にツイッターやフェイスブック、はてなブックマークなどソーシャルメディア方面でどのくらい取り上げられたかが気になる。
最初にまずブログを登録する。ちなみに自分のブログでなくてもよい。そしてチェックしたいソーシャルメディアをオンにする。
自分のブログとTechcrunch Japanを登録してみた。記事ごとにいくつの言及があったかが一覧で表示される。どんな記事がソーシャルメディアで人気になるのかがよくわかる。ブログのマーケティングに使える。
記事ごとに言及数の増加グラフを表示させることもできる。ただしこのグラフはこのアプリを立ち上げたたびに数字を記録しているだけなので、毎日起動していれば日別推移が見られるが、起動しない日があるとデータが欠損してしまう。バックグラウンドで記録し続けるサービスがあるとさらに便利なのだが。