Misc: 2008年1月アーカイブ
2007年にこのブログで紹介した小説・創作作品の中から、これは本当によかったと思う本をランキングで10冊+2冊並べてみました。私が2007年中に読んだというのが基準なので、昔に発表された作品もかなり含まれています。
フィクションに順位をつけるのは大変に難しいことで、ここにあげた10作はどれも強くおすすめです。
・2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004849.html
ちなみに昨年度はこうでした。
2007年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門
■1位 悪人
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005037.html
事件をめぐる関係者ひとりひとりに対して、ドキュメンタリ風に、強いスポットライトを当てていく。ストーリーもいいが、それ以上に、各章で人物が入れ替わる一人称による内面描写が魅力なのだ。人物デッサンの積み重ねによる厚みがすばらしい作品だと思う。そこにたちのぼる「人間の匂い」にむせかえる。
■2位 赤朽葉家の伝説
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005047.html
昔の話ほど強烈で面白い。思い出話や昔話は時間の経過とともに、淘汰され、デフォルメされて、伝説や神話になるからだ。だから、この作品では、未来を透視する力を持つ祖母が主役の、第一部「最後の神話の時代」が最も印象的である。現代に近づくにつれて次第に平凡な物語になっていくのだが、その物語性の時間に対する遠近感が、この作品の最大の魅力だと思う。時代のパースペクティブが開けていくにつれて、過去の意味が大きくなっていく。第二部のタイトルは「巨と虚の時代」とつけられているが、いつの時代も祖先の時代は、生きる意味に溢れた激動の時代だったようにに見えるものなのではないだろうか。
■3位 真鶴
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004871.html
「歩いていると、ついてくるものがあった。まだ遠いので、女なのか、男なのか、わからない。どちらでもいい。かまわず歩きつづけた。」。この最初の一行にぞくっとして、これはひきこまれてしまうぞと確信した。なかなか書けない見事な書き出しであって、トンネルを抜けるとそこは雪国だった、級である。ついてくるものは憑いてくるものであるという、そういう異界ものの話である。すうっと異界にひきこまれて2時間半で読み終わり、無事、こちらがわへ戻ってくることができた。
■4位 「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004896.html
「悪童日記」で右からガツーンと殴られ、「ふたりの証拠」でさらに左からグワンときて眩暈がして、「第三の嘘」のアッパーカットでノックダウンされる。2作目、3作目と連携プレーが効く。ガンダムにたとえるとドムのジェットストリームアタックを喰らったようなインパクトである。これは必ず3作続けて読むべきである。
■5位 キリンヤガ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004837.html
22世紀、アフリカのキクユ族の末裔たちは、民族の伝統的価値観を追い求め、ユートピアを築くために地球を離れ、惑星改造技術で作られた新天地キリンヤガへと移住した。人々は現代のあらゆる知識や技術を捨て、厳しい自然の中で、古の掟を守って暮らす。全能の祈祷師としてコミュニティに君臨するコリバは、理想の社会を維持するために苦悩する。
■6位 凍
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005118.html
東京ー名古屋の新幹線で読んだ。往路でも復路でも物語の中に心は引き込まれて、気づいたら目的地だった。沢木耕太郎の傑作。登山家の山野井泰史・妙子夫妻が2002年に体験した、壮絶なヒマラヤ登山のドキュメンタリ小説である。このふたりはテレビや新聞で紹介されているのを見たことがあった。夫妻は手や足の指を、何度も凍傷で失っている。妙子夫人は両手両足で合計18本を切断しているそうだ。常人であればそれだけで大変な障害で、日常生活にも支障をきたすと思うのだが、彼らは困った風にさえ見えない。その後も難しい登山に積極的にチャレンジしているのだ。どうなってるの?と不思議に思った記憶がある。
■7位 吉原手引草
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005110.html
第137回直木賞受賞作。吉原で全盛を誇った花魁が突然、謎の失踪を遂げる。当時の状況を解明するため、主人公は引手茶屋、遣手、床廻し、幇間、女衒、女芸者など17人の関係者を一人ずつインタビューして回る。それぞれの身の上話にも話は及んで、吉原の人間模様の中に、失踪事件の真相が浮かび上がってくる。
■8位 高熱隧道
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005198.html
昭和42年に出版された吉村昭の傑作。昭和11年から15年にかけて行われた黒部ダム第三発電所の難工事を、綿密な取材と調査で再現したドキュメンタリ小説。建設予定地は地元民でも近づかない険しい山奥であることに加えて、温泉湧出地帯で岩盤温度は165度にも達する。その超高熱の地下にダイナマイトを持った人間が入っていってトンネルを掘る。過酷な作業環境に加えて、厳しい大自然の脅威が彼らを襲う。
■9位 青い鳥
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005135.html
重松清、学校を舞台にした8本の短編連作集。傑作。選択国語の臨時講師、村内先生の短期赴任先は、いじめや自殺、学級崩壊や児童虐待などの問題を抱えた問題クラスばかりである。吃音でうまくしゃべることができない先生は、最初の授業から好奇の眼で見られ、からかわれて、迷惑だとまで言われる。だが、村内先生は、多くをしゃべれない代わりに、生徒に寄り添い、たいせつなことだけを話す。孤独な先生だからこそ、孤独な生徒に語りかけることができる。
■10位 邂逅の森
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005050.html
「秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。鉱山で働くものの山と狩猟への思いは断ち切れず、再びマタギとして生きる。失われつつある日本の風土を克明に描いて、直木賞、山本周五郎賞を史上初めてダブル受賞した感動巨編。」
■特別賞 神聖喜劇 漫画ですが。
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005096.html
超弩級の絶対的な傑作。大西巨人の小説「神聖喜劇」の完全漫画化。こんな物凄い作品があるとこれまで知らなかったのが不覚であった。全6巻を夏休みに読破。読者を選ぶ作品だが、以下の概要で興味のある人にはおすすめである。
■特別賞 宇宙のランデヴー 1,2,3,4の全2700ページ超に対して
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004864.html
・宇宙のランデヴー2(上)(下)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004872.html
・宇宙のランデヴー3〈上〉〈下〉
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004873.html
・宇宙のランデヴー4 〈上〉 〈下〉
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004874.html
この作品の発表は1973年で、私が和訳を文庫で読んだのはもう20年前になる。当時は読み終わったあとしばらく絶句してしまうような衝撃的な体験だったことを覚えている。そしてこの本がきっかけでSF小説を読むようになった。私にとって特別な本である。
この正月に、はまっているモノとして世界最古の電子楽器テルミンがある。
この号は世界最古の電子楽器テルミンが付録としてついてくる。うっかり発売日に買い逃してしまい、ネット書店で予約していたところ年末になってやっと入手できた。15分くらいかかって説明書のとおり組み立てるとこんな感じなる。
演奏者はアンテナ部分の15センチ近辺に、手をかざして、微妙に動かし、音程を変えることで楽曲を演奏する。音程は簡単に変わるのだが思い通りに制御することは、評判どおりとても難しい。
模範演奏にと思って有名な奏者Clara RockmoreのアルバムCDを買った。クラシックやジャズの名曲を「テルミンの女王」が演奏する。怪しさ満載のジャケットが一目見て素晴らしいわけだが、演奏はまともに感動した。
・Clara Rockmore's Lost Theremin Album
楽曲リスト:
Liebesleid
Air for Violin and Harpsichord in B minor
Humoresque in F sharp major, B 138
Concerto for Theremin: Pastorale
Ellens Gesang III, D 839/Op. 52 no 6 "Ave Maria"
Nocturne for Piano in C sharp minor, B 49
Requiebros
Concerto for Harpsichord in D minor, BWV 1052: 2nd movement, Arioso
Bachiana brasileira no 5 for Soprano and 8 Cellos
Suite for Orchestra no 3 in D major, BWV 1068: Air
Midnight Bells
Melodies hebraiques (2): no 1, Kaddisch
Porgy and Bess: Summertime
Water Boy
Estrellita
La vie en rose
バイオリンと女性のソプラノの歌声中間のような音。電子音というのは変化に乏しくて飽きやすいものだと思っていたが、テルミンの無音階な電子音はとてもアナログで豊かな響きをする。
・YouTubeにあがっている女王の演奏。
私の早く演奏できるようになったら映像をYouTubeにアップして見たいものである。来年の正月を目指して特訓か。
・バーチャル・テルミン
http://theremin.asmik-ace.co.jp/THEREMIN7.html
Webでテルミン演奏ができる。
箱根駅伝復路を応援にでかけました。昨日は望遠レンズを持ち出して失敗したので、今日は標準ズームで連射した写真をトリミングで拡大してみたら、ばっちり。早稲田大学は私の目の前を通過時点では一位だったのですが...惜しくも...。いやいや来年に期待できてツイてる!。
お正月のポッドキャスト3日目で最終日。
http://blog.dhpodcast.com/article/9072182.html
今日の話題はPassion For 2008。Wikipediaで2008年の項目を眺めながら雑談した後で、3人が2008年の抱負を語ります。
昨年末に「俺と100冊の成功本」の聖幸さん@青森から、ダンボールにいっぱいのリンゴをいただきました。ツキを自らの手でつかみとる年にしたいですね、をイメージにしてみました。
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新春ポッドキャスト 2日目 「ツイてる!ポッドキャスト2008」
お正月も二日目。
例年通り箱根駅伝を応援にでかけました。昨年のこどもの運動会用に買った望遠レンズで選手を大きく撮ろうと思ったのですが、ランナーが速すぎて、スポーツモードでもまともに撮れず。明日また復路でリベンジです。
・「ツイてる!ポッドキャスト2008」 2日目
http://blog.dhpodcast.com/article/9034576.html
ポッドキャストの今日の話題は、たつをさんが司会進行で、3人のブログで2007年中に人気のあった記事、人気のあった本を紹介しています。収録時に3人でツイてる写真を撮ろうということになり、「誰でも紫色の何かを口に押し付ける」でそろえました。ジェネレーターを使うと誰でも同じ写真を合成できます。
・誰でも紫色の何かを口に押し付ける事が出来るGeek Face Ganerator
http://geekface.blogdb.jp/
今年も収録にはデジタルハリウッド大学放送部の力を借りました。1月1日から3日まで毎日放送です。
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明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
今日は江ノ島神社に初詣に行ってきました。思ったよりも人が少なくて、ゆっくりとお参りすることができて、いきなりツイてました。
このブログの読者のみなさんにとっても2008年が素晴らしい年になりますように。
さて、今年も例年通り(3年目!)、このブロガー3人で、ネットラジオ「ツイてる!ポッドキャスト新春2008」を3日間放送します。第一日目の内容はそれぞれの「2007年のこれはツイてた!」ベスト3の発表です。
Passion For The Future 橋本
×
俺と百冊の成功本 聖幸氏
http://blog.zikokeihatu.com/
×
たつをのChangelog たつを氏
http://nais.to/~yto/clog/
・デジハリ大学放送部 ダウンロードはここから。
http://blog.dhpodcast.com/article/9014691.html
今年も収録にはデジタルハリウッド大学放送部の力を借りました。1月1日から3日まで毎日放送です。
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