daiya: 2005年2月アーカイブ

・ハーバードからの贈り物
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味わい深い本。

ハーバード大学ビジネススクールでは、最終講義で教授が、これから世界に羽ばたく卒業生に向けて、特別な送る言葉を話す伝統があるそうだ。この本はその特別なメッセージだけを15人分、エッセイとして文章化し収録している。

・ビジネスの成功に必要なものはなにか?

・どういう生き方をすべきか?

・人生の岐路にたったときどう決断すべきか?

贈る言葉はどれも想いが込められていて感動的。

登山の遭難体験で知った本当に大切なものについて語る教授。貧しかったけれども誰よりも尊敬できる生き方をした自分の母親について語る教授。高い地位につくとはどういうことか戒めを語る教授。

企業会計の選択授業でハーバード1,2の人気を争うヘンリー・B・ライリング教授は、ビジネスで成功する能力として5つを挙げた。

1 失望から立ち直る能力
2 運に恵まれていることを知ること
3 リーダーシップの資質
4 公正さ
5 判断力

感動的なエピソードでなぜそれが必要なのかを語る。ぐっときた。

この本を読むと「初心」に戻らされる。背筋をピンと伸ばしたくなる。目頭が熱くなる話もある。

私はハーバードと関係ないわけだけれども、こうした贈り物をもらったことがある。高校を1年で中退したときのこと。一番私に良くしてくれた英語教師のF先生が退学した私に一枚の葉書を送ってくれた。

そこに書いてあったことば。

「人生我以外皆師也」

葉書を頂いたときには、意味がよく分からなかった。でも、齢を重ねるごとに先生は私のことを本当によくわかってくださっていたのだなと思うようになった。私のゴーイングマイウェイな性格に対して「オマエ、人の話をよく聞けよ」ということであり、退学した学生に対して「どんな環境でも学ぼうと思えば学べるぞ」という、見事に適切な、送る言葉だったのだと大人になってから気がついた。

昔話のように書いてしまったけれど、

今は人の話をよく聞けるようになったのか?

自問自答してみると、さあ、よく分からない。分からないけれど、高校生だった私には「尊敬する人」がいなかった。でも今は何人かいる。その違いは大きいと感じる。

偶然にも上述のヘンリー・B・ライリング教授は「賢者は経験から学ぶが、真の賢者は他人の経験から学ぶ」とも書いている。これからの人に贈る言葉の定番なのかもしれない。そして、この本には価値ある「他人の経験」のエッセンスが集約されている。

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・Zorro
http://gabrieleponti.com/software/index.html
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講演やプレゼンテーションの際に、画面の一部領域を指してココを見てください、と言いたいことがある。パワーポイント内の図表や、ホームページのメニュー部分の説明をしたいときに、その領域だけに聴衆の注意を集めたいときだ。

マウスカーソルで示すのではインパクトが弱い。環境によっては非常に見えにくい。

Zorroを使うと画面の強調したい領域以外をブラックアウトさせることができる。真っ暗な背景に指定領域が浮かび上がる。オプション指定でFade効果をオンにするとブラックアウトへの移行もおしゃれ。

このツールは個人的にとてもツボにはまってしまった。時間管理ツールptとあわせて使うと、便利そうだ。

逆に指定した領域だけを隠す、背景色を変える、指定したウィンドウのみを表示するなどが可能。パソコン教室でも支援ツールとして使えるかもしれない。

・実用的なプレゼンテーションタイマー Pt
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002431.html

・「弱者」とはだれか
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現代の日本において障害者、特定の地域(部落)出身者、高齢者、こども、性的マイノリティ、女性などは「弱者」として扱われる。外部の人間が、この「弱者」に言及するにはさまざまなタブーが存在する。マイノリティ以外の人間はその問題について語る資格がないかのように扱われる。

著者はそこには弱者の聖化という現象があるという。逆に、社会的に「弱者」として認定された人々自身はその問題について語る聖なる特権を得る。言論上、マイノリティとマジョリティの間で立場の逆転が起きる。マイノリティの権利は無条件に保護されなければならないことになったり、批判や必要な区別が許されないような雰囲気が形成されることがある、という現象だ。

その結果、「強者」は「弱者」が平凡なことを言っても拍手を送ったり、ハンディを考慮するにしても、できて当然の行為を賞賛したりする。著者はこれを両者の共犯関係がうみだす「情緒のファシズム」と呼び、相互理解の大きな障害となっていると指摘する。

この本は極めて語りにくいことについて、どう語るかの著者の挑戦である。マイノリティについてはっきり語ることで両者の本当の相互理解と問題解決ができる雰囲気を作るにはどうしたらよいかという問題についての本である。

「五体不満足」の明るさへの違和感、高齢者は皆寝たきり弱者と考える政策、優遇制度を濫用する確信犯「弱者」の存在、強者の自殺、誰も傷ついていないのにテレビの不適当な発言がありました謝罪、日本だけの「ちびくろサンボ」発禁事件、ミスコンは差別か。言いにくさをめぐる評論オンパレード。

著者は現代を過剰遠慮社会だと指摘している。解決策としてマイノリティと身近に長時間暮らすことで、大抵の差別や遠慮は自然に消えるとしている。多様な価値観を認めることで、弱者-強者の関係を流動化し、言いにくさの壁を取り払えという。すべての人が何らかの弱者でもあるということに気がつけということである。

この本のテーマは難しいと思う。「難しい問題だ」で片付けない著者は尊敬する。

「弱者」のハンディは一様ではないし、その程度を統一尺度で測ることは難しいと思う。同じハンディに苦しんでいる人もいれば、普通に生きている人もいるだろう。表面的には保護されたくないと表明していても、内面ではそれを望んでいる複雑な心境の立場もあるはずだ。だからマイノリティを保護する施策には、ある程度の冗長性をもたせる必要はあると思った。ただ、その按配がどこか狂っていることは、分かる気がする。

■ニートブームについて考える

ところでこの本を読みながら、ここでは触れられていない別のことを考えていた。最近メディアでたびたび取り上げられるニート(若年無業者)増加問題である。労働白書によると2003年時点でニートの数は53万人とされた。

そして今後の予測として次のような記事がある。

・NIKKEI NET:景気ウオッチ 増えるニート、成長率の抑制要因に
http://www.nikkei.co.jp/keiki/kataru/20041020c77ak000_20.html

では、日本のニート人口はどれぐらいか。国勢調査によれば、2000年のニート人口(15−34歳の非労働力人口のうち、通学と家事手伝いを除いた者)は75.1万人に達し、15−34歳人口全体の2.2%を占める(注)。95年調査の29.4万人と比べて2.6倍に膨らんだ(図表1参照)。試算によると、05年のニート人口は87.3万人(15−34歳人口比2.7%)となる。少子化が進み、この年代の人口が縮小する中にあっても、00年から12.2万人増加する計算だ。15年には100万人の大台を突破、20年には120.5万人(同4.8%)に達する見込みである。

この数字の算出方法にも大いに疑問が残るが、ここは認めるとして、


こうしたニートの増加は、日本経済の成長を抑制する要因になる。働く意欲を持たず、労働市場に参入しないニートの増加で、日本の潜在成長率にどれだけの下押し圧力がかかるかを検証してみよう。潜在成長率は、労働力、資本設備など生産活動に必要な要素をすべて使った場合に達成可能な成長率を示す。ニートの増加は、直接的には投入される労働量を減少させることによって、潜在成長率の下押し要因となる。また、労働投入量が減ると資本の投入量も影響を受けるため、ニートの増加は間接的に資本の投入量も押し下げる。 」

この検証方法はおかしいと思う。まず「労働力、資本設備など生産活動に必要な要素をすべて使った場合に達成可能な成長率」などという比較指標が現実的でないだろう。「日本という工場がフル稼働したらこれだけの達成可能な生産力がある」という意味だろうが、市場の需要という要請がなければ工場は稼働しないし、工場は稼動しても理論上最高の生産力はでないはずである。

日本という工場に対する市場の需要とはニートが働いた結果受け取る給料であり、消費であろう。でも、かじれる親のスネがあるうちは需要はない。スネを完食した後、明日の食べ物を買うお金に困ったニートは大半が働き始めるだろう。それでもなお清貧を貫いて、「働いたら負け」だと思う筋金入りのニートはたいしたものだ。拍手を送りたい。

結局、ニートはそれなりの資産を持つ親の世代の影に過ぎないと思う。

ニートは数の上ではマイノリティだし、定義からして社会的影響力を持たない層である。ふらふらしている人というのはいつの時代にも一定数いただろう。ふらふらの中で何かを見つける人も多い。最近ニートが目立つしても、それを養える親や社会が豊かになったということに過ぎないと考える。

「ボク、ニートなんですよう」と嬉々として主張する偽ニートも大勢みかける。よく聞いてみると、大抵は余裕のある失業者だったり、大学院生だったりする。彼らは本来は、モラトリアムを謳歌している、強者の一種と分類できるはずだ。明治時代なら高等遊民と呼ばれていたかもしれない。ダメ人間を演じている偽者は数多い。偽ニートがニートブームに拍車をかける。

だから、ニートはここまでメディアで話題にするほどの重要テーマとは私には思えないのだ。ニートは働かなくても生きていける強者だと思う。一方で働いても生きるのが難しい弱者がいるのだから。

マジョリティはニートについて語るのが好きなのだと思う。誰もがニートに対しては高い立場から評論できる。説教できる。擁護することもできる。とにかく言及することで優越感や自己愛を満足させる格好のネタだと思う。

「こういう若者が増えた日本の未来はどうなってしまうんだ?」と社会派を気取るのも知的な自分が心地よい。だが、影響力のある少数の人たちが国を滅ぼすことはあっても、逆はないだろう。「少年犯罪が増加して治安が悪くなった」という嘘と同じことではなかろうか。

本当の日本の問題はリーダーやエリートがその責任を果たさないことにこそあると思うのだが。

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・これから情報・通信市場で何が起こるのか IT市場ナビゲーター
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野村総研が2000年から毎年出版しているIT市場ナビゲーターの2005年度版。2009年までのIT市場の各分野の動向予測集。現状分析と予測の根拠、たくさんのグラフがあり、IT分野の企画に関わるマネージャー、マーケター、コンサルタントならば必携の一冊。

それは本音を言ってしまえば野村総合研究所(NRI)が出版しているからだ(笑)。

企画提案において、

「NRIの調べによるとこの分野の市場規模は来年度で○千億円規模です」

と正当に使えば、とりあえず、無難である。

会議で誰もわからない数字があったらトイレでカンニングし、

「先ほどの件ですがDSL市場は2007年度で1730億世帯と予測されていたと思います」

とやればデータマンとして株を上げられる。

少しひねって、

「NRIはこう分析しているが、実態を知るものの意見としては本当はこうなんです」

と”賢いワタシ”をアピールする使い方もあるだろう。

「調べておきます」で後日、メール回答するのにももちろん便利だ。

私も買って2週間で何度も仕事に役立っており、これで2000円は安い。

書評する本ではないが、目次の各章に対して短くつぶやきを書いてみる。

【主要目次】

序章 2009年までのIT市場トレンド

第1章 携帯電話市場
 1.1 キャリア市場
 1.2 モバイルプラットフォーム市場
 1.3 モバイル系コンテンツ市場
 1.4 モバイル系ソリューション市場
 1.5 携帯電話販売代理店市場

携帯電話は2004年1月で契約数8000万。世界での利用者は12億人。2006年10月の番号ポータビリティの導入で携帯キャリアの乗換えが促進される。結果、得をするのはau、損をするのがドコモの見込み。ソフトバンク参入はかく乱要素。キャリア各社は囲い込みに必死なので、他との差別化となるサービス、コンテンツを提供するビジネスが求めれている模様。

第2章 ブロードバンド市場
 2.1 DSL市場
 2.2 FTTH市場
 2.3 ケーブルインターネット市場
 2.4 公衆無線LAN市場
 2.5 専用線・IP-VPN市場
 2.6 ISP市場
 2.7 IP電話市場

2005年にDSLは1600万世帯だが今後の伸びは緩やかに。トリプルプレイ(高速インターネット、IP電話、映像配信)で、FTTHへの移行を進めたいキャリアと、移行メリットを感じないユーザの、かみあわない日々が今後も続く見込み。個人的には”無線LANでユビキタスホーム”系の何かが市場の突破口になるのではないかと思っている。

第3章 eビジネス・ライフ市場
 3.1 インターネット広告市場
 3.2 BtoC EC市場
 3.3 ネットトークション市場
 3.4 オンラインゲーム市場
 3.5 電子書籍市場
 3.6 音楽配信市場
 3.7 映像配信市場
 3.8 eラーニング市場

2003年の広告市場規模は5兆6841億円、インターネット広告市場は2.1%の1183億円。キーワード連動型広告が市場を牽引し順調に成長。ネット通販は2003年に2.2兆円だったが2009年には5.5兆円に達する見込み。日本のコンシューマの消費には「利便性消費」「安さ納得消費」「プレミアム消費」「徹底探索消費」のマトリクスがある説に深く共感。この図式は使える。

第4章 放送市場
 4.1 地上デジタル放送市場
 4.2 衛星デジタル放送市場
 4.3 ケーブルテレビ市場

2011年地上波デジタルへの完全移行は、インフラ整備や、ユーザの受像機買い替えペースと歩調が合わず、やはり困難な模様。デジ波は難視聴区域におけるCATVを圧迫するという意見になるほど。1セグ放送は「画像の美しさ」「電池持続時間の長さ」「月額固定料金」が鍵だそうだが、ケータイでテレビを見るかな、私は半信半疑。

第5章 ハード市場
 5.1 デジタル情報家電市場
 5.2 パソコン市場
 5.3 携帯電話端末市場
 5.4 車載情報端末市場
 5.5 デジタルカメラ市場
 5.6 フラットパネルディスプレイ市場

パソコンは途上国の需要増加と先進国の2台目需要が牽引で単価下落、成長率は相当低くなるとのこと。まさにそれはiMac Mini。携帯電話端末はローエンドへシフトの見込み。高い最新の高機能携帯の時代が終わるのか。

第6章 プラットフォーム市場
 6.1 電子認証市場
 6.2 課金・決済市場
 6.3 ICカード市場
 6.4 RFID市場

RFIDの有望分野は 製造業(生産管理)、アパレル(流通)、運輸業(管理)、スーパーマーケット(実証実験レベル)と、生活者から距離。2009年度のRFID関連市場規模は1000億円。小さいと思う。2009年には次の技術が登場しているのではないか?。私たちが生活の中で利用する技術にはならないのだろうか。

第7章 セキュリティ市場
 7.1 ウィルス対策市場
 7.2 不正アクセス防止製品市場
 7.3 電磁波問題対策市場
 7.4 バイオメトリクス認証機器市場

企業システムのウィルス対策市場は2003年で310億円。2009年に440億円。コンシューマ向けは2003年に220億円が、2009年に560億円へ。携帯電話向けやデジタル情報家電向けのウィルス対策市場が潜在するという。ウィルスが勝手に電話をかけたり、ビデオ録画したりするのはPC以上に怖い。ありえる話だ。

仕事で即使える本である。

・現代消費のニュートレンド―消費を活性化する18のキーワード
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001859.html

昨年開催した検索会議を覚えていますか?

あの拡大版を開催します。

百式管理人の後継シリーズで無敵会議コンビが一時的に復活です。
#これは「無敵会議」ではありませんが...。

来たる3月5日の会議イベントは昨年に引き続きYahoo! JAPANさんにご協賛いただき、「検索会議」第2弾を行います。しかも今回は通常のイベントより拡大し、三つのテーマに分けて開催します。開催会場はYahoo! JAPANさんのオフィスがある六本木ヒルズ!のアカデミーヒルズになります。各イベントの概要は以下のとおりです。

なおお申し込みは22日の午前10時開始です。


申し込みはここから!
http://blog.academedia.jp/

↑こちらからどうぞ。

以下詳細

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あいかわらずスパムメールがひどい。

Webでメールアドレスを公開するとすぐに広告メールが送られてくるようになる。スパム業者の情報収集ロボットが、Web上に書かれたアドレスを拾い集めているからだ。だからといってコンタクト先をWebに表示しないわけにもいかない。

そこでメールアドレスを保護する方法をいくつか発見。

■1 画像化する

メールアドレス表示を画像化してしまうツールがある。画像化すればロボットはほぼ読むことができない。

・Handmail - スパム対策に!メールアドレスの画像化無料サービス
http://handmail.org/
handmailcap01.jpg

さらにデザインしたい場合には次のツールもいい感じだ。

・でざいんめーる
http://sagittarius.dip.jp/~toshi/cgi-bin/designmail/designmail.html
designmail01.png
designmail02.png
designmail03.png
designmail04.png

また、私のようにGmailを使っている人には専用の画像化ツールがある。

・Gmail Signature Generator
http://playtime.uni.cc/gmail.php
gmailimg01.jpg

■2 HTMLエンティティ化する

テキストをHTMLエンティティというコードに変換するツールがある。

HTMLエンティティ化
http://hp.vector.co.jp/authors/VA022023/javascript/make_html_entity-ja.htm#ref

たとえば datasection@gmail.com のHTMLエンティティは以下のようになる。

mailadrhtmlent01.jpg

これはHTMLとして表示させると datasection@gmail.com と書いたのと同じ表示になる。

ただし、この方法は最近のロボットは解読能力のあるものも登場しているようだ。

■3 JavaScriptでmailtoを表示する

コード化した上でさらにクリッカブル表示にするためのツールがある。

・mailto: tag JavaScript is created. - mailtoタグ JavaScript 変換ツール
http://external.pcc.jp/~biso/bagongbayani/mail.html

これを使うとMailto表示部をHTMLではなく、ロボットが取得できないJavaScriptプログラム化することができる。この方法を使えばユーザはアドレスをクリックするだけでメールソフトが立ち上がるので、画像化された文字を手で打ちなおす必要もない。

他にやり方をご存知の方がいたら教えていただきたい。

■4 捨てアドレス専用メールサービス

私は最近Web表示にGmailのアドレスを使っている。これは常用でないのでスパムが多少入っても問題ないし、Gmailにはスパムフィルター機能もあるからだ。ある意味では捨てアドレスなわけだが、捨てアドレス専用サービスも発見した。

その名もMyTrashMail.com。

・迷惑メール Service MyTrashmail.com
http://www.mytrashmail.com/meiwakume-ru.aspx?language=jp

割り切り方がすごい。

誰でも好きなユーザIDを取得できる。

すると、

ユーザID@myTrashMail.com

というメールアドレスが作成されてメールを受信できるようになる。登録に個人情報はいらない。受信内容を見るのにログインもパスワードもいらない。誰でもIDを知っていれば中身を読むことができてしまう。ある程度長くてユニークなIDにすべきである。届いたメールは2週間保存され捨てられてしまう。一時的に匿名でメールを受け取りたい場合のサービスだそうだ。

というわけで私も早速、

daiya@myTrashMail.com

を作成してみた。

こんなふうに受信内容をチェックできる。受信メールのRSSまで出力してくれる。


mytrashmailcap01.jpg

さあ、どんどん要らないメールを daiya@myTrashMail.com にください。読むかどうか分からないし2週間で捨てられてしまいますけどね。

・一億総マーケター時代の聞く技術―「明日の売れ筋」をつかむプログラム
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これは本当にいい本だ。

私はこの半年、毎月のように企業で”ブログ講演”をやっている。ブログを一般の会社がビジネスにどう役立てるか、がテーマだ。どの会社も気にしているのは、コミュニティとの接点をどう管理するべきかということ。ブログはリンクやコメント、トラックバックなど外とつながるオープン機能満載である。ブログの可能性に期待すると同時に、企業の顔であるWebサイトに商品の悪口や会社への批判の声が集まって、評判を落とすことを恐れている。

企業がネットコミュニティとの間で起こすトラブルの原因はほとんどの場合、担当者の対応ミスである。知識と経験の不足である。火を消すつもりがニュースで取り上げられるような、大火事にしてしまったりする。失敗は経験者から見たらマズさ一目瞭然のことが多い。配信承諾を得ないリストに”CC”でぶしつけ広告を配信してしまったり、告知なしに一方的に利用規定を変更してしまったりするわけだ。

逆にネット対応を長年、上手にやっている企業もある。担当者自身がネットの住人として溶け込んでいて、かなり大胆な企画や発言をしても、評判は上々で、成果を上げ続ける。こうした企業はコミュニティとの間の、超えてはならない一線が見えている。何をするとコミュニティに愛されるのかを体得していて、自然にそうしたふるまいをしているから、ますます愛される。

そうしたネット対応の秘訣のノウハウ一覧がこの本である。企業とコミュニティのいい関係をつくる方法がわかりやすく、具体的にまとめられている。

■顧客の声の何を聞くべきか

インターネットの出現で企業の社員全員が顧客とつながってしまった1億総マーケター時代。「お客様は神様」かもしれないけれどお客様の声は神の声ではないとして、上手に「聞く」技術のガイドラインが示されている。

1 「意見」ではなく「事実」に着目する
2 「けなし言葉(否定)」ではなく「ほめ言葉(肯定)」に着目する
3 「意識」ではなく「行動」に着目する

意見から事実を「聞き」分けて、苦情ではなくほめ言葉を「訊い」て、意識ではなく行動を「訊く」ステップがこの本の基本思想。

そして、

ほめ言葉=ポジティブ・データ=機会発見情報
けなし言葉=ネガティブ・データ=改善情報

と分類し、「明日の売れ筋」はほめ言葉から生まれる。だから、事実にもとづくほめ言葉をたくさん聞く技術が大切だということになる。

■原理と応用

最初にいくつかの原理が紹介される。

ネガティブ〜ニュートラル〜ポジティブという軸のうち、ネガティブからニュートラルな意見Nを、インタラクションによって、ポジティブな意見に変換する「NP変換」だとか、
6つの要素(ターゲット、場面、ウォンツ、清貧、属性、ベネフィット)で顧客から声を引き出す新商品開発モデル「BMR」、接客理論の「CNAPP」など。

こうした原理をネットマーケティングの具体に次々に落とし込んでいく。

気になったところを抜粋:

・メールやメールマガジンの書き方
  全体を三部に分け、本文、冒頭20行、タイトルの順で書くこと
・アンケート質問の設計
  「この商品があったらあなたは買いますか?」などと聞くな
・ネットグルインの方法論
  参加者をアンケート回答から選ぶ方法
・メール対応
  「怒り」は引用しない、
・コミュニティでのコミュニケーション
  あいづちの可視化、流れのNP変換、「第2波」観察
・クチコミの原理
  クチコミは受信者原理。「聞き上手」、「リアルユーザ」、「商品開発者」、「ユーザの声」の4つが起点。ポジティブファクト中心に広がる。

それぞれ実際にうまくいったサンプルも例示されるので明解。

■これは一社に一冊本

少数の例外を除いて”ネットマーケティング本”の多くは、視野が狭かったり、文章が粗雑だったり、抽象的過ぎ(あるいは具体的過ぎ)て実用に使えなかったりするケースが多かったと感じている。手法にしても、クリック率の高い宣伝文の書き方だとか、サーチエンジン上位表示の仕方だとか、ゲリラマーケティング中心で、個人かSOHO企業向きのものが多かった(書き手がその立場が多いからだろう)。

この本は顧客コミュニティと良い関係を維持しつつ、価値ある情報を聞き出す手法が中心になっている。普通の会社で使いやすいはずだ。サポート返信メールの書き方から、アンケートの質問設計方法、コミュニティ運営術、メールマガジンの運用術、クチコミの利用法など、明日から使える現場の話が満載。

全体としては、文章がわかりやすく、ポイントがよくまとまっており、実例提示が多いこと。新人にとっては良い教科書になる。教育する立場の人間にとっても指導内容の整理やマニュアル作成に大いに役立つ「一社に一冊本」だと思う。私もこれは会社に置いておこうと思っている。

誰が書いたのだろうと最後に著者プロフィールを見たら、日本のネットマーケティングの老舗ドゥ・ハウスの常務さんだった。さすが...。

・アンドロイドの脳 人工知能ロボット"ルーシー"を誕生させるまでの簡単な20のトラップ
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ゲームはちょっと詳しい。90年代に日本で熱帯魚育成ソフトの「アクアゾーン」が流行していた頃、海外では「Creatures」という人工生命シミュレーションソフトが話題になった。画面の中で人工知能を持つグレムリンのような生き物を飼う。熱帯魚が本能のシミュレーションだったとすれば、「Creatures」は知能のシミュレーションだった。

・水中庭園 VISUALEDITION AQUAZONE 簡単3D熱帯魚ソフト
http://www.aztv.gr.jp/azve/

・Creature Labs
http://www.gamewaredevelopment.co.uk/creatures_index.php

開発者スティーブ・グラントはこのゲームがきっかけで英国政府から勲章を受けたと同時に会社を辞めた。貯金を切り崩しながら、市販の部品と半田ゴテを使って、環境を知覚し、状況を判断し、自律的に行動するアンドロイド「ルーシー」の開発に着手した。第1号は完成して一定の評価を得たが資金的にはなお苦しく、一般の理解と印税収入を得るために、この本を書いた。

著者のオフィシャルサイト
http://www.cyberlife-research.com
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ルーシーの動く姿を映像で見ることができる。情報量多い。

シンク・ディファレントでクレイジーである。これまでの人工知能研究の主流を否定し、独学で独自の人工知能体系を1から作り上げようとしている。一人人工知能学会状態。視覚、聴覚の認知系から、脳の情報処理系、身体の運動系までをひとつの統一システムとして確立しようという野心的な取り組み。

キーワードは「統合」ということのように思えた。知能の局面を切り出して狭い範囲で精緻な理論を作り、それを統合していくのが現行の”科学”のアプローチである。だが、著者の理論は最初から統合されたものを指向している。細切れにしたものを統合することでは、人間のような全体的知性はつくりだせないという。人工知能の研究は原理的に間違っていて、ジャンプ力を鍛えていけばそのうち月まで行けるだろうと考えているようなものだと批判する。

彼が作り出そうとしているものは生命の模倣ではなくて、彼が生命だと考えている何かである。厳密に生き物を模倣するのではなく、区別ができないくらい、同じようにふるまうものを目指している。

彼は綿密な生体機能の顕微鏡的観察をするのではなく、自らの直感を拡大してルーシーに実装していく。

目をつぶってひとつの光景を思い浮かべながら頭を傾けるとき、光景はどう見えるだろうか?と著者は読者に問う。光景は天地が傾いたりせずに、本当に見ているかのように、安定して経験される。「これはあなたの脳が傾きを補正するために、頭を傾けた方向とは反対に像を傾けていることを意味している」。

次にジグソーパズルのピースを想像しろという。ふたつのピースを頭の中で回転移動させてぴったりくっつけることはできる。だが3つになるととても難しくなる。左右より上下に重ねるほうが難しい。これは脳の半球がそれぞれのピースを受け持って処理しているからではないか、というのである。

そして、そういう風に自分の直感から導かれる論理的帰結を回路化してルーシーに組み込む。

彼の脳内では既に作るべき人工知能アンドロイドは完成に近づいているようだ。この本はアンドロイドの作り方の青写真。設計コンセプトから、脳の情報処理に近い人工知能のプログラミング方法、サーボモーターと人口筋肉を使った実装方法まで全体が論じられている。この理論体系の細部が正しいのかどうかはよく分からないが、この人本当に作ってしまうんではないか?という妙な説得力がある。

だが、実際のルーシー1号は置かれた果物の中からどれがバナナかを見分けることができるレベルに達した段階に過ぎない(それだけでも大変な努力だが)。資金が不足していて実際に作ることができないでいるのが主な理由らしい。

研究資金がないのは彼がアマチュアでマッドサイエンティストだから。サンデータイムズ紙から<二十一世紀に生活上の大変革をもたらす可能性の高い十八人の科学者>のひとりに選ばれているが、学会からは異端視されている。

ホリエモン、放送局に800億円ではなくて、この著者に100億円くらい投資してみたらいいのに、と思う。天才なのか狂人なのか、紙一重の著者の話は延々と続く。途中、難解でとらえどころがなくなる部分もあるが、それがまた紙一重の直伝の魅力。著者にとっては副題どおり「簡単なトラップ」らしいのだが...。

関連:

・ヒューマノイドロボットと踊り師範による会津磐梯山踊りの共演
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2005/pr20050112/pr20050112.html
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東大と産総研による知能ロボット研究成果。映像が一見の価値あり。大爆笑。

・偉大な、アマチュア科学者たち
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001768.html

・Evolution Robotics
http://www.evolution.com/
伝説的なITインキュベータidealabの創業者、Bill Grossは現在この知能ロボット開発企業の会長に就任している。

NetMeterはPCのネットワークのトラフィックを監視するフリーソフト。PCのネットワークを通過する上り/下りのトラフィックをリアルタイムにグラフ化する。

NetMeter
http://readerror.gmxhome.de/
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面白いのは利用履歴を記録できること。ダウンロードとアップロードに分けて日別、週別、月別で集計できる。ネットワークの平均スピードも計算できる。

1ヶ月ほど自分のメインPCのトラフィックを記録してみた。毎日、自分がどのくらいネットワークを使っているのかを数字で知る初めての試みだった。

計測は1月14日に開始し、2月14日に終了。結果は以下のとおり。

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日単位の統計

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これをEXCELでグラフ化してみる。

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私は一ヶ月に約5Gダウンロードして約2Gアップロードすることが分かった。平均すると1日で約176Mダウンロードし、68Mアップロードしている計算だ。合計すると244M/日。もはやナローバンドには戻れない使い方をしていることに気がつく。ちなみに新聞1日分の文字情報量は700K〜1メガバイト程度である。私は毎日、新聞約1年分のデータを扱っている計算になる。

誤解されそうなので断っておくと私はP2Pファイル交換ソフトは使っていない。多くは一般のWebからのソフトやデータのダウンロードである。流量が特別に多い日があるのは主に家庭内、社内のファイルサーバとのやりとりがあった日だ。デジカメの画像やビデオ撮影した映像を、ファイルサーバにコピーしたりすれば数百メガバイトのトラフィックが発生するからだ。

バイト数だけでは分からない部分もあるが、流量を数字として出してみるという実験は面白かった。会社組織で行えばシステム管理者にとって有益なデータになる。どうやら私の場合には高速LAN、高速無線LANへのアップグレードがある程度効果を持ちそうだと結論。導入を検討してみよう。

・マウスの走行距離で旅行気分
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002184.html

・「作業時間計測ツール」でコストを意識する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002581.html

・NYPD No.1ネゴシエーター最強の交渉術
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ニューヨーク市警でハイジャックや爆弾人質事件の専門交渉役(ネゴシエーター)として22年間働いたプロフェッショナルが明かす究極の交渉術ノウハウの本。交渉術の本は数あれど、交渉に失敗すると人質も自分も生命が失われるという極限状況で培われた戦術論は一読の価値あり。迫力。

・HostageNegotiation.com, home of the International Association of Hostage Negotiators (IAHN) providing negotiator training information, classes, audio, video, articles, news, gifts and products
http://www.hostagenegotiation.com/web/HostageNegotiation_v2/default.asp
著者のサイト。Hostage Negotiation(敵対交渉)のプロフェッショナル。

交渉を成功させるには、交渉・記録・決定の3つの役割が必要で、一人で交渉を行う際にも、各役割を別物として意識せよ、という。交渉役は共感ベースで相手と接触する。背後には冷静に決定を行う役がいる。記録係は忘れられがちだが長い交渉では極めて重要で、相手の要求や態度の変化読み取るためのデータを作成していく。この三権分立が破綻すると交渉は失敗するという。

そして交渉役は、相手の話す内容には、発言、感情、価値観の3つが含まれていることを意識し、言葉通り受け取らず、その背後にあるものを常に読み取ることが大切だという。犯人の要求タバコ3本で人質を解放させた経験談など参考になる実例多数。

なるほどと思ったノウハウを3つ。

アウェイが有利:

多くの交渉術の本では交渉は自分のホームとする場所で行うのがベストだとされる。だが、著者は交渉はだましあいではないから、相手がリラックスして本音を出せる敵のフィールドこそ有利だと指摘する。「交渉は戦いと対極に位置するものだ。自分が落ち着いていることだけでなく、相手が落ち着いていることもまた重要なのだ」

妥協リスト:

冷静に交渉を進めるために紙に一本線を引いて、妥協できること/できないことリストを作れという。アナログな方法だが、人質交渉から車や冷蔵庫の購入交渉まで、このやり方が一番役立ったらしい。

同情でなく共感を示せ:

交渉役がすべきなのは相手がこちらにどう映るかを話すことであって同情を示すことではないとする。たとえば「気が滅入っているんだね」と言わず「気が滅入っているように私には思えるんだが」と言うべき。

爆弾を抱えた犯人や今にも橋から飛び込もうとしている女性を前にして、著者がどう交渉してきたか、ドキュメンタリタッチで生々しく教えてくれるのが本書の読みどころ。今は警察を退職してビジネス交渉のコンサルタントになっているそうだ。妻や自動車ディーラーや上司を相手にどう交渉するかという現実的なゴールのノウハウも多数ある。

交渉術に興味がある人なら、娯楽作品としてもノウハウ本としてもかなり面白い一冊。

関連書評:交渉、説得術

・トップに売り込む最強交渉術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000324.html

・心の動きが手にとるようにわかるNLP理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000609.html

・「できる人」の話し方、その見逃せない法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000445.html

・悪の対話術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002109.html

・ハーバード流「話す力」の伸ばし方!―仕事で120%の成果を出す最強の会話術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000228.html

・パワープレイ―気づかれずに相手を操る悪魔の心理術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000150.html

・ソリューション・セリング―賢い売り手になるための10の戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000145.html

成功前夜 21の起業ストーリー
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ラジオJ-WAVEのベンチャー社長対談を書籍化。ベンチャースピリッツが25本。薄い本だが内容はアツい。こういう本を読むと、とっくに起業済なのにまた起業したくなる。

・J-WAVE WEBSITE : Make IT 21
http://www.j-wave.co.jp/original/makeit21/
毎週、話題の起業家を招いて成功の秘訣を聴く。Webがとても充実している。

この本に登場する21人の個性的な起業家の顔ぶれ。

高田 明(株式会社ジャパネットたかた 代表取締役社長)
和田裕美(株式会社ペリエ 代表取締役社長)
藤井孝一(週末起業フォーラム 代表)
安田佳生(株式会社ワイキューブ 代表取締役社長)
直江文忠(サンクチュアリ株式会社 代表取締役)
吉野幸則(株式会社バルチック・システム 代表取締役社長)
小森伸昭(アニコム 理事長)
平野岳史(株式会社フルキャスト代表取締役)
野坂英吾 (株式会社トレジャー・ファクトリー 代表取締役社長)
杉本哲哉 (株式会社マクロミル 代表取締役社長CEO)
福井泰代 (株式会社ナビット 代表取締役)
石橋博良 (株式会社ウェザーニューズ 代表取締役会長兼社長)
遠山正道 (株式会社スマイルズ 代表取締役社長)
川崎貴子 (株式会社ジョヤンテ 代表取締役社長)
岡田賢一郎 (株式会社ちゃんと 代表取締役社長)
堀 雄一郎 (フュージョンインターナショナル・トレーディング 代表取締役社長)
経沢香保子 (トレンダーズ株式会社 代表取締役)
野口美佳 (株式会社ピーチ・ジョン 代表取締役社長)
伊藤正裕 (株式会社ヤッパ 代表取締役社長)
梶原文生 (株式会社都市デザインシステム 代表取締役社長)
安田 久 (H.Y.JAPANグループ 代表)

顔写真とプロフィールとラジオ対談の内容

起業の動機、経緯はさまざま。かなり無茶な人たちもいる。

銀行が事業に融資してくれないので結婚資金としてお金を借りて会社を設立したバルチック・システムの吉野社長、東京都内の地下鉄250駅を歩いて出口マップを作って起業した主婦の福井社長、サラ金に500万円の借金があって普通に働いたら返せないので起業したH.Y.JAPANグループの安田社長、本気を表すために指を切って血判状をつくり出資者を驚かせたサンクチュアリの直江社長。

対談内容は十人十色。とにかく皆、ユニークでキャラが立っていることだけが共通点。その個性に周りが、魅了されたり反発したりして、化学反応が起きた結果、会社が大きくなっているのだろう。

■なぜリスクを背負って起業するのか?

なぜリスクを背負って起業するのか?

私も起業家なので自分の答えをここに書いてみると結局のところ「Regret minimizing framework」で考えた結果である。同じような答えをする社長がこの本にも多かった。この
「Regret minimizing framework」はもともとはアマゾンの創業者の言葉。

以下のコラムが参考になるので長文引用。(私の起業には、学生時代に出会ったこの西川社長の影響もあったりするので)

・第9回 人生の成功の定義をかえよう - CNET Japan
http://japan.cnet.com/column/nishikawa/story/0,2000047995,20054706,00.htm

ビットバレーの提唱者でネットエイジ西川社長の起業コラム。


Regret minimizing framework とは?

 Amazon.comの創業者のJeff Bezosは、30歳のとき早くもヘッジファンドのシニアバイスプレジデントというポストについていました。が、そのニューヨークでの羽振りのいい生活をきっぱり捨てて、1995年、ワゴン車に妻と愛犬をのせ、北米大陸を横断し、徒手空拳、西海岸のシアトルでAmazon.comを創業しました。以来10年もたたずして世界中の人が便利に使う時価総額約1兆5000億円の巨大eコマース企業、Amazon.comを確立したのです。また、Forbesによると、個人的にも2900億円程度の資産を築いています。

 余談ですが、私は1999年にシアトルにいってBezosに会ったことがあります。そのときは、この目の前にいるチノパンツに白いシャツの、よく高笑いするおにいさんが、数千億円の資産家とはとても思えなかったです。それほど、質素でラフな印象でした。

 そのBezosがなぜ裕福なニューヨークの生活を捨て、ゼロからAmazon.comをやろうと決意したのかについて、WiredやThe Motley Foolに記事がありました。彼の言葉を簡単にまとめるとこのような感じです。「インターネットが急速な勢いで伸びているのを目の当たりにしたとき、僕は『regret minimization framework』という考え方を自分に信じ込ませたんだ。つまり、自分が80歳くらいになって死の床にあって自分の人生を振り返ったとき、後悔することがもっとも少なくなるように生きようと。投資銀行での業績や期末のボーナス がどうのこうの、とかそんなことは、いまは一喜一憂するけれど、80歳になったら全く覚えているわけないんだ。ところが、もしこのインターネット革命の波に乗れたにもかかわらず、乗らずに80歳を迎えたとしたら、悔やんでも悔やみきれないほど「自分はアホだった」と後悔するに違いないと確信したのさ。そうなったらぜんぜんリスキーなんて思わなくなった。すぐ行動したよ」

 彼の「regret minimization framework」つまり、「後悔極小化思考」も皆さんの起業決意への背中をポンと押してくれるのではないでしょうか

■起業家100人がブログを開始したドリームゲート

昨日、ある場所でドリームゲートのスタッフの方とお会いした。ドリームゲートは経済産業省後援の起業支援サービスである。最近どうですか?と聞いたら、「いま起業家100人にブログを書いてもらう企画をやってるんですよ」という。

「すごい話ですね、それは」と思った。

サイトを見に行くと、

起業家100人挑戦日記/独立・起業に関するブログならドリームゲートブログ
http://dblog.dreamgate.gr.jp/100entre.php
header_kigyou_blog.gif

すごいことになっていた。

dreamgate100blog.jpg

一覧ページの100人の顔写真にまず圧倒される。

本当にベンチャー社長100人がブログを書いている。しかも、ちゃんと更新されている。素晴らしい。

起業家たちは日々、自分のビジネスに必要なものや困っていることを書いている。起業家ブログ同士のリンクやトラックバックがきっかけで、協力提携やパートナー探しもできそうだ。ただ100個もあると全部見ることは難しい。マッチングの仕掛けを追加するべきだ。

そこでちょうどいい具合に、私の会社はマッチングに使えるエンジン「といえばサーバ」を開発している。これを使うと言語処理を行ってキーワードの類似した記事を抽出できる。起業家のキーワード一覧ページも作成できたりもする。Web運営スタッフ数人分の働きができるはずだ。

(ここで揉み手)一台どうですか?ドリームゲート様。

#と、最後は起業家らしく売り込みでまとめてみました

関連情報:

・ 起業人 成功するには理由がある
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000712.html

・一人シリコンバレー創業プロジェクト
http://www.hitorisilicon.com/

・7秒のイメージ・マジックであなたの声はもっとよくなる―相手を説得する、声の印象が変わる、気持ちが伝わる
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なぜか家に転がっていたので30分で読んでしまった本。

歌唱指導のボイストレーナーである著者が、歌うためではなく、話すための「いい声」発声法を語る。歌声と違って話す声は一概に何がいい声とは言えない。たとえば結婚式とお葬式ではいい声が違う。だから、状況に応じて幾つかの声を使い分ける能力を持ちなさいという。

まずは綿棒を使った自己診断チェックや、割り箸、ピンポン玉、ティッシュ、ペットボトル、ハンガーを使った基礎的な発声練習の紹介がある。だが、この本のメインテーマは技術指導よりイメージつくり重視のメンタルトレーニング部分。

著者によると声には、のどの付け根方向に向かって出す「押して出す声」とのどの外に向かって空気を出しながら出す「引いて出す声」がある。男性の場合、この二つの声から7つの型が派生するという。

引く声
  押し型
  説得型
  声援型
中間
  受身型
押す声
  口説き型
  ささやき型
  癒し型

各型の出し方が簡単に説明もつけられているが、これだけでは分かりにくいので、具体的に各型の有名人、芸能人が数十人挙げられて誰がどの型かを説明してくれる。

いい声の代名詞の森本レオは癒し型で、ささやきと口説き要素が少し入っていて、ほとんど鼻濁音で発声しているそうだ。プロの男性アナウンサーも鼻濁音が上手らしく、男性の場合、鼻声というのは、制御できればかなり得なのだそうだ。

こういうときにはこういう声がいいというシーン別のノウハウもあった。目上の人と話すとき、催促をするとき、デートを申し込むとき、断るとき、謝るとき、言い訳をするとき、などシーン別のいい声のイメージ説明。

自分の声質を診断して、近いタイプのいい声の持ち主の発声法を、状況に応じて、真似してみなさい、というのがこの本のいいたいことであるようだ。なかなか難しいのだが、有名人の発声法が文章化されているので、イメージには役立つ。

発声というのは話し方の基本で、言葉以上に大きな影響を与えていると言われる。何をするにしても、声の研究は役立ちそうである。もう何冊かこの分野は読んでみようと思った。

関連書評:

・話し方の技術が面白いほど身につく本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001029.html

・話し方の技術が面白いほど身につく本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001029.html

・人生を変える黄金のスピーチ〈上〉準備編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001456.html

・人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002404.html

ところで、この本を読み始めたのはタイトルの「7秒」というキーワードが気になったから。結局、7秒に根拠はなく、7秒くらいで出したい声を明確にイメージして発声するだけで、だいぶ変わりますよということがいいたいようだ。

7秒のノウハウ本は他にあるかと探してみたら結構あった。どうやら7秒は発声と幸福とダイエットに効く、らしい。

・Amazon.co.jp: 本: 「ひねり運動」7秒ダイエット
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062741423/daiya0b-22/

・Amazon.co.jp: 本: 7秒の幸福論
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087483967/daiya0b-22/

・Amazon.co.jp: 本: 7秒の開運帳―自分を幸せにするカギ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413062566/daiya0b-22/

・Amazon.co.jp: 本: あなたは7秒でやせられる―FYTTEプロポーションブック
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4056028516/daiya0b-22/

・Amazon.co.jp: 本: 体幹ダイエット―1ポーズ7秒間の刺激でムダなしボディ!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847014855/daiya0b-22/

・Amazon.co.jp: 本: 部分やせ7秒間ボディシェイプ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4576007165/daiya0b-22/

ある意味、恐ろしい破壊的技術。

・Tor: An anonymous Internet communication system
http://tor.eff.org/
download_tor.png

TorはSOCKSプロトコル上でP2P分散ネットワークを構築する。

SOCKSとは、コンピュータとインターネットの間の通信を実現する標準技術。内側と外側のゲートであり、Webやメールなどほとんどのインターネット通信はこのSOCKSを介して実現される。Torは、このゲート部分を匿名化してしまう。

TorユーザのPCは自動的に分散ネットワーク上の代理サーバの1台として参加する。世界中の誰かのインターネット通信を自分のPCで代理してあげる代わりに、自分も誰かのPC経由でWebを閲覧したり、メールを読むことになる。

もちろん通信内容は暗号化されている。代理中の通信内容を見ることは困難である。経路も多重化、暗号化されている。何台ものサーバを経由して通信を実現するが、直接知ることができるのはランダムに選ばれる前後のサーバの情報の僅かな断片である。誰が何をしているのかは、ユーザには分からない。

torhtw4.png
早速、使ってみる。ソフトウェアをインストールするとTorのネットワークに登録される。

torcapture01.jpg

次にMSIEの[インターネットオプション]→[LANネットワーク]→[プロクシの設定]
で、SOCKSサーバとしてlocalhost(自分のPC)、ポート番号に9050を指定する。(あるいはHTTPプロクシとして8118を指定してもよい)

torcapture02.jpg

これで、WebブラウザーはTor分散ネットワーク経由でサーバにアクセスするようになる。テストではレスポンスは良好で遅延は気にならなかった。それでは自分のWebアクセスが誰のサーバ経由で実現されているかを診断サイトにアクセスすることで、チェックしてみる。

・診断くん
http://taruo.net/e/
このページにアクセスすると、接続したPCのプロフィールが表示される。

すると、通常は自分の利用プロバイダのサーバが表示されるはずの、REMOTE_HOST項目が、今回はハーバード大学内のサーバになっていた。たまたまハーバードの学生がTorを使っているのだろう。この学生は私の代理をしたことは知らない。その前に何台もの匿名中継者がいるからだ。診断ページを再読み込みをすると、また別のサーバ名が表示された。これで匿名でWebの閲覧が可能になった。

ざっと仕組みは上記のとおりだが、仕組みを簡略化するために、ひとつ嘘を書いている。Torにはクライアントモードとサーバモードがある。普通にインストールして起動する限りはクライアントモードでしか動作しない。クライアントモードのユーザは、サーバモードのPCを中継に使うだけで、誰かの通信を代理することはしないのだ。

サーバモードのユーザは匿名サーバ(Web、メール、IRCなどのインターネットサーバ)を公開することもできるので情報発信も匿名化が可能になる。Hidden Serviceという機能を使うと、Torユーザだけが閲覧できる.onionという独自名前空間のサーバも構築できる。インターネットの上に、もうひとつの匿名インターネットを作ったとも言える。

これはシステム管理者にとっては怖い技術だ。

ユーザにとっては個人情報の漏洩がなくなるメリットがある。チャットをしていて漏洩したIPアドレスから身元を特定されてストーカー事件に発展してしまう、だとか、会社で掲示板に書き込みをしたのがばれて解雇された、みたいなことは防げるかもしれない。

Torのサイトでは、正当な使い方として言論統制のある国からのジャーナリストの情報発信支援などが想定されている。まっとうな使い方がされれば良いのだが...。


・Privoxy - Home Page
http://www.privoxy.org/
Torの匿名化を強化するためにこのソフトも併用するとよい。DNS問い合わせによる情報漏えいも防ぐことができる。

・Tor - Win32 サービス対応版
http://foxmask.ddo.jp/tor/
Windowsサービスとしてインストールできるバージョンを独自コンパイルしている人がいる。

・CLCL
http://www.nakka.com/soft/clcl/
clcl01.jpg

これは便利だ。

CLCLはクリップボードの履歴を保存し、最近コピー・切り取り処理を行ったデータを、自在に呼び出せるユーティリティ。タスクトレイに常駐しユーザの操作をモニターする。ユーザがコピー・切り取り操作をするたびに、CLCLはデータをリストに追加していく。取り込む内容はテキストでも画像でも実行ファイルでも良い。

clcl02.jpg

こうして取り込んだ履歴データをユーザは再利用できる。一覧の中から選択したデータをクリップボードへ取り込むことができる。必要ならば「登録データ」として長期保存できる。メールでよく書く定型文や、Webフォームでよく入力を求められることが多い氏名、住所、電話番号などを登録データに入れておくと、すぐ呼び出せて便利だ。

主な機能:

・複数のクリップボード形式に対応
・よく使う定型文などを階層化して登録可能
・ホットキーで表示するメニューを自由にカスタマイズ
・メニューで選択した履歴や登録アイテムを編集中のエディタに自動貼り付け
・メニューにビットマップを縮小表示
・メニューにツールチップを表示
・履歴に残す形式や保存する形式を設定可能
・履歴を取るウィンドウ、取らないウィンドウを設定可能
・ウィンドウ毎の貼り付けキーを設定可能
・履歴は終了時に自動保存され、次回起動時に復元
・履歴に残す最大件数の制限は無し
・エクスプローラ風のビューアで履歴や登録アイテムを表示・編集

そして、プラグインを追加することで機能を拡張が可能。既にたくさんのプラグインが公開されている。

特に個人的に便利を感じたのは、これ。

tool_text Ver 0.0.2
 日時変換
 小文字に変換、大文字に変換
 SJISからJISに変換、JISからSJISに変換
 SJISからEUCに変換、EUCからSJISに変換
 引用、引用解除
 テキスト整形
 テキストの挟み込み
 改行の除去
 テキストの連結
 テキスト編集

原稿や長文のメールの整形、文字コードの統一、テキストの連結など、ライター、プログラマ向けの便利な機能がまとめられている。UNIX端末にTELNETやSSHでコンソールログインするエンジニアは、よく使うパスだとかコマンドオプションを登録しておくと生産性が倍増する。

他にも画像処理や履歴検索のプラグインもあり、日々のデスクトップ作業効率が向上する。スタートアップに登録する定番ソフトがまたひとつ増えた。

・図解 超高速勉強法―「速さ」は「努力」にまさる!
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記憶の達人としてテレビ出演歴のある、イメージ療法心理カウンセラーの勉強術。

学習の努力と効果は必ずしも比例しないから、コツをつかんで短時間で効率よく学習しましょう、そのノウハウはこうです、という内容。奇をてらった方法はあまりなくて、正攻法な短時間集中学習の手法が幾つか紹介される。

■一夜漬けのノウハウ

人間の集中力の持続時間はせいぜい20分から30分程度であるというのが著者の持論。

そこで50分単位で英語と数学を学習する場合なら、

時間割:

01:00-01:50 英語1回目 Aページ → Bページ
02:00-02:50 数学1回目 Aページ → Bページ
03:00-03:50 英語2回目 Bページ → Aページ
04:00-04:50 数学2回目 Bページ → Aページ

という風に、各教科を入れ替えて、1回目と2回目では逆から学習していきなさいというアドバイスが参考になった。似たような工夫は、学生時代に私も試したことがあり、効果があったことを思い出した。

これがうまくいくのは、各回とも前半20〜30分しか集中力が働かないため、もし2回目もAページからBページの順で覚えようとすると、常に後半の定着が悪いからである。2回目を逆順で行うことで集中力低下による記憶量の低下を防げるという仕組み。科目を入れ替えることで飽きることも少なくなる。

学習で重要なのは記憶プロセスよりも、想起プロセスであるというのも、なるほどと思う。30分のうち25分を記憶に使い、5分は内容を思い出すのに使うべきだというノウハウ。
そうしないと勉強したのに何も覚えていないというありがちな罠に陥ってしまう。

■毎日十五分間を繰り返すのが効果的

集中力の続く10分、20分という単位は、学習にとって、効果的な長さであることになる。

たとえば英語の勉強を、一週間に二時間する人と、一週間毎日十五分間するひととでは、どちらが英語力がつくでしょうか?もちろん、後者ですね

短く、毎日繰り返すのが学習の秘訣だということになる。

電車通勤の時間など、細切れの時間がある場合、これをいかに効果的に使えるかが課題になる。まとまった時間がとれないから勉強ができないは言い訳に過ぎないと著者は断ずる。むしろ、期限のある短い細切れ時間をうまく設計することで、多忙な毎日の中でも、学習はできるという話。

問題はそうしたシンプルな反復学習にいかに耐えるかなわけだが、著者はその勉強の動機づけを紙に書き出せと勧めている。直接的で具体的であるほど良いらしい。例として「世間を見返してやる」「合格するとかっこいいから」などというのが出ている。よそいきの言葉でなく、自分に火をつける言葉を選び、はっきりさせなさいという精神論。

■速読の技術

ところで、昨年の今頃、私は速読練習に励んでいた。イベント「超本格会議」では当時の成果報告までしていた。

・超「本」格会議に行ってきました [絵文録ことのは]04-01/30
http://kotonoha.main.jp/2004/01/30books.html
その件に詳しい報告ページ

・速読トレーニング―すぐに役立つ実践10ステップ
4062570815.09.MZZZZZZZ.jpg

当時、最も参考にしていた本。

その後も速読は続けている。向いている本と向かない本がある。科学系は読み飛ばすと肝心の論理が把握できなくなるので向かないが、この本のようなノウハウ本はちょうど良い。200ページのこの本なら、だいたい1時間で読めるようにはなった。

重要なのは正確な眼球の上下運動と、滞留時間の短縮、視野の拡大(2行をいっぺんに読める)の3つの練習だなと1年後の今、結論している。この本には1行を3ブロックに分けて、3回の眼球移動で読めとアドバイスされている。そんな感じだなあと思う。

・速読・速解の技術―やっぱり使える「ポスト・イット」!!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000990.html

・「10分刻み」ニッチタイム(すきま時間)超勉強法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000836.html

・あなたもいままでの10倍速く本が読める
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000539.html

私がハマっている一押しコミュニティのオーバルリンクが、公開セミナーを開催します。私もモデレーターの一人として登場する予定です。テーマはブロードバンド+マーケティング。音楽コンテンツ、ブロードバンド広告、RSSメタデータなど、最新のトピックスを各分野の専門家が語ります。

以下、セミナーのご案内です。

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昨年に引き続きnikkeibp.jpとのコラボレーションによるオーバルリンク公開セミナーの第2弾として、ブロードバンド マーケティングの黎明『メディア カタストロフィ』を開催します。昨今インターネットの広帯域化と常時接続環境を背景とし、時空を超えて多くの人々が互いに繋がる多様な仕組みとそのコミュニティ・ネットワークが、急速に普及・浸透してきました。それは、既存のマスメディアに対峙し、マーケティング的な価値の相転移を待つ新たなメディアの広がりでもあります。今回のセミナーでは、各分野の専門家をゲストに招き、今生まれつつあるこのメディア+マーケットの変化を「テクノロジー」「コミュニティ」「ビジネス」の三層から掘り起こし、その未来の姿を予見します。

参加ご希望の方は、下のURLをクリックして「オーバルリンク公開セミナー2005」への参加申し込みをお願いいたします。

・セミナーのお申し込みはこちら!
http://www.ovallink.jp/
Seminar2005.jpg

■概要
nikkeibp.jp+OVAL LINKコラボレーション2nd:オーバルリンク公開セミナー2005
ブロードバンド マーケティングの黎明『メディア カタストロフィ』

 日時:2月19日(土)
    13:30 開場
    14:00 開演
    18:00 終演予定
 場所:SPAZIO2 地下2F(JR恵比寿駅下車 徒歩6分)
    渋谷区恵比寿南2-20-7 Tel: 03-5725-4240
    (駐車場・駐輪場はございません。公共交通機関をご利用ください)
    地図はこちら
 参加費:一般=4,000円  オーバルリンク会員=無料
 主催:nikkeibp.jp + OVAL LINK共催 企画構成:OVAL LINK

■コンセプト
『メディア カタストロフィ』とは?

既存の産業には、マスプロダクツ→マスメディア→マスマーケットという不可逆的で大きく動かしがたい関係性があります。このフローのなかでは、マスメディアのためのマーケティングとは、非常に弱い力の逆向きのベクトルでしかありません。ところが今、コンピューティングとネットワークを新たなインフラとした、小さくて、大きな関係性が、インターネットの世界に生まれ出てきました。そして、これらは、この「マス」のフローと対峙するとき、逆向きのベクトルとしてより大きな影響力を持ち、産業的なレベルでのひとつの現象として立ち現れてくるでしょう。我々はその「相転移=カタストロフィ」の瞬間を目の前にしている。という状況認識に立って、このセミナーを展開します。

■内容構成
1st Movement:音楽に見る共感と共振のネットワーク
 モデレーター:前田邦宏[オーバルリンク/ユニークアイディ代表]
 ゲストパネリスト:田口和裕+渋谷慶一郎

常にデジタル化の最前線である音楽業界。音楽ビジネスにおいて、ネットワークテクノロジーが、創作の現場、創作者やリスナーとの関係・距離感、プロダクトの形、流通、著作権、ビジネスにどのような影響を与えているか。そして、何がメリットになり、何が課題となっているのか?今回は、東京芸術大学在学中より、映画音楽の作曲や坂本龍一氏らのメジャー音楽シーンとも関わりつつ、現代音楽やクラブシーンとも関わりの深いミュージシャンの渋谷慶一郎氏と、ブログやソーシャルネットワーキングサービスに造詣の深いの田口和裕氏を招き、音楽を通したコミュニティ形成、新しいマーケティング手法の可能性について幅広くディスカッションしたいと思います。(前田)

2nd Movement:ブロードバンド映像キャンペーンと広告の近未来
 モデレーター:織田浩一[オーバルリンク/デジタルメディアストラテジーズ社代表]
 ゲストパネリスト:高広伯彦[電通]

ブロードバンドの普及と共に、ネットシネマなど映像を使ったキャンペーンが注目されています。なぜこのような映像・エンターテイメントを使ったキャンペーンが有効なのか、話題を喚起してキャンペーンを成功させるためにどのようなことが行われているか、そして未来の映像を使ったキャンペーンはどんな形なのかを、第一線で活躍中の電通インタラクティブ局の高広伯彦氏を招いて対談します。(織田)

3rd Movement:メタデータとしてのRSSの可能性
 モデレーター:橋本大也[オーバルリンク/セマンティックWebのR&D企業データセクション社代表取締役]
 ゲストパネリスト:伊藤直也[はてな取締役]

RSS・メタデータ技術がインターネットの情報流通に変革をもたらそうとしている。コミュニティ、広告、EC、IR広報、検索、音楽・映像配信、知識マネジメント……。メタデータという新しい情報チャネルが、ネット上の情報の流れを変える。ヒトとモノとカネの流れも大きく変えてしまう可能性を秘めている。米国ではメタデータベンチャーに大きな投資が乗り始めた。技術、コミュニティ、ビジネスの3つの視点から、いま起ころうとしているメタデータ革命を、いち早く国内で取り組んでいるスペシャリストの伊藤直也氏(はてな取締役)に聞く。

Epilogue:『Media Catastrophe』
 メッセージ:北川高嗣[オーバルリンク]

Music Performance
 音響+映像:渋谷慶一郎

渋谷慶一郎氏のラップトップミュージックのミニコンサートとなります。

※講演者・演奏者、セミナーの内容などは、予告無く変更することがあることを予めご了承ください

■懇親会

19:00頃から、会場の入り口のスペースにて懇親会を開きます。オーバルリンク会員だけでなく、一般参加の方もぜひ、ご参加ください。なお、懇親会の会費はセミナー参加費とは別になります。 3000円〜4000円を予定しておりますが、詳しいことはご参加希望の皆様に別途ご案内いたします。

以上

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・「ケータイ・ネット人間」の精神分析
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■インターネットにひきこもる人々

気になっていた本が文庫化されたので読んだ。精神分析の研究者が語るケータイネット文化論。日本人、現代人の心理はケータイネットの出現でどう変わってたか、これからどうあるべきか。

近頃の若者は的オヤジのぼやきかと思ったらそうでもない。ケータイネットを自分もつかってみたら、なかなか面白いじゃないか、という話から、ケータイ文化の光と影の検証へとつながる。

前半で「インターネット5つの魅力」がまとめられている。

1 匿名で別人格になれる
2 「全知全能」な自分を感じられる
3 自分の気持ちを純粋に相手に伝えられる
4 特定の人と、親密な一体感が持てる
5 イヤになったら、いつでもやめられる

ケータイネットは今までになかった、人間のつながりを作り出す。別人格である仮想の自分と、仮想の相手と好きなときに好きなだけかかわることができる。ケータイはPCよりもパーソナルで、これらの特徴が強化される。

面と向かって話しているのに携帯の画面をみつめてばかりの人、街中や車内で周りの迷惑を考えずに大声で携帯で会話している人、携帯で知り合った人とのかけおち。ケータイ依存が私たちの普段の生活に浸透して、便利な反面、不快な体験をすることもある。ケータイ仮想世界に没入した結果、少年が凶悪犯罪を起こしたり、心中事件が起こったりもしている。

■1.5の人間関係

ケータイネット時代の人間関係は1.5の関係だと著者は言う。

生きた人と人による2人の関係は2.0の関係である。さらに誰かが加われば3.0の関係になる。これに対して、半分人格を感じているペットやゲームのキャラクターであった場合、これに0.5の人格といえる。よって人と仮想的なモノとの関係は1.5の関係と定義できる。

1.5の心理条件としては、

1 1.0の人間や生きた存在の代理としての役割を担う
2 人間的、主観的な思い込みを託す
3 この思い込みをある程度人々と共有することができる
4 「ごっこ」であり半ば醒めたかかわりである
5 自分勝手で自分本位な部分がある

が挙げられている。

1.5の関係は悪いことではないが、1.5の関係は2.0の関係に比べてわずらわしさがない。自分の思い込みの鏡であるから、依存性が高い。オンラインゲームにはまる原因はまさに1.5の関係の魅力である。だが、1.5に中毒になったあまり、現実の生活を破綻させる例がでてきた。

たとえば、配偶者のいる男女が、インターネットで出会った恋人とメールだけで熱く盛り上がり、ついには家庭を放棄してしまう。だが、実際に新しい恋人と生活してみると、想像していたのと違う人格で長く続かず、結局分かれてしまう。誰かと話していても目はケータイの画面をみつめている。そんな事例が幾つか取り上げられていた。

ケータイネット、インターネットは居心地がよく中毒になりやすいと言われる。それは非物質的なもので限りがなく、ついつい「あと1分間」シンドロームに陥って、深夜まで続けてしまう。この現象を「1.5へのひきこもり」と著者は呼んでいる。

その理由を1.5は居心地がよく母親の胸に抱かれている安心感があるからだと総括されている。

■父性の復権が重要という提言

1.5に慣れてしまうと、現実の人間の持つ棘を恐れるようになる。次第に距離をとり始める。このヤマアラシのジレンマをシゾイド的人間心理というらしい。シゾイド化した社会は、自分の鏡ばかり見つめている自己愛型人間の社会で、いつまでも大人になれない未熟な社会だと著者は糾弾している。「ケータイネットに没頭している若者の姿は、母親の乳房しか目に入らない乳児の姿である。」

そして、母親的な1.5の関係から、より社会的で父親的な2.0の関係を復権させよ、と結論する。ケータイネット、仮想空間の人間関係を1.5の関係であり、母親的システムへのひきこもりだと総括したのは鋭いと思った。大枠では著者の主張が正しいと共感した。

しかし、若者の自己愛的、自分勝手な人間関係への変化は、ケータイネット、仮想空間だけが原因ではない気もする。これは経済的に豊かになり、助け合わずとも死ななくなり、価値観が多様でありえる先進国社会に共通の傾向なのではないか、とも私は考える。

人間関係は2.0だけが正しいわけではないことに、ケータイネットを通じて、皆が気がつき始めたということのような気がする。インターネット上では、一度も会ったことのない人とチームを組んで立派なビジネスやボランティア活動を行う人たちがいる。彼らは必ずしも互いを全人格的に理解しているわけではないだろう。実際に会ってみたら幻滅する関係もあるはずだ。

実際には会わない。自分の思い込みの1.5的な相手とつきあう。でも、結果が出るのであれば、それでもいいじゃないか、その方がいいじゃないか、とも思う。会って幻滅したらできなかったであろう、1.5の自己愛勝手な思い込み集団によって、大規模な協同作業の営為が、仮想ネット空間では次々に実現されているからだ。

「50年間顔を合わせず地球の裏側の親友と協同作業をしてきた人がいる」「人生の大切な分岐点にだけ価値のある提言メールを送ってくれる恩人がいるがあれは誰なんだろう?」。そんな体験をする人もきっと出てくるだろう。そういう関係は本当の人間関係ではないからだめだと、切り捨てるのは惜しい。

仮想的な1.5を2.0より劣ったものと考えるのではなく、2.0と並んで大切なものとらえて、いかに二つを充実させていくかが、これからのユビキタスネットワーク時代の可能性でもあるのじゃないかなあと思った。

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・WebImager
http://phpspot.net/php/pgwim.html
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先日、紹介したWebshotの作者さんから、また新しいソフトを開発しましたと教えていただいた。WebImagerは、デスクトップでキャプチャして、Webサーバにアップロードするという点ではコンセプトはほとんど同じだ。

今度は、今見ているWebページだけでなく、画面上のあらゆる領域を指定すると、切り取って画像化して、Webサーバに登録できる。ブラウザで表示している画像や、ローカルの画像ファイルを、右クリックや「送る」メニューから直接転送することも可能。とにかく、見たままを保存しておきたいとき、公開したいときに便利だ。

私も早速インストールしてみた。サーバを公開してみる。

・私の、PHP画像キャプチャ掲示板
http://glink.jp/webim/ibbs.php

なお、パスワードを共有すると、多人数で各自がクリップした画像をサーバに共有する使い方ができる。組織的な情報収集の方法として、面白い使い方に応用できそうだ。コメントを投稿できるので、Web制作の現場で画像を共有しながらデザインについて協議するグループウェアとしても活用できそう。

この作者さんはPHPのエディターも開発している。一人でやっているように見えるが、発想力、即効開発力、デザイン性、どれも洗練されていて、次回作が楽しみ。

・Webshotでスクリーンショット付の検索ディレクトリを簡単構築
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002908.html

・PHPのフリー開発環境 PHP Editor
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001550.html

・Linux magazine THE DVD 2005
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最近、会社のメインマシンであるデスクトップPCから、WindowsXPを完全に削除した。そしてLinux(FedoraCore3)デスクトップに入れ替えた。LinuxデスクトップのKDEだとかGnomeだとかの世界へ突入である。私は男だからWindowsとのマルチブートだとか未練がましいことはしない。エミュレータでWinアプリを動かすこともしない。完全移行である。

技術者でない私が、果たしてこれで仕事になるのか?

私の場合、ほとんどの作業はノートPCで行うので、会社のメインマシンは、メールとWebが使えればほとんど間に合う。WebブラウザにはFirefox、メールソフトにはThunderbirdというWindowsでも人気の定番ソフトが使えるために、意外にもここまでのところ、何の支障も起きていない。簡単な文書作業ならば、OpenOfficeがあるので、ワープロや表計算やプレゼン文書は閲覧、作成が可能だ。

もちろん、ビジネス世界の標準フォーマットのMS Officeとの互換性はまだまだなので、これだけでは私の仕事は完結できない。まだまだ一人だけ完全Linuxではビジネスは難しい。やはりWindowsのノートPCとの併用になる(え、それじゃ男でも完全移行じゃないだろって?し、しかしですよ...)。これからしばらくこのスタイルを続けてみようと思う。

Linuxデスクトップならではのメリットも幾つか発見しつつある。もう少しまとまったら、ここで紹介する予定。Linuxの世界にはWindowsにない優れたソフトも結構あるのだ。

さて、今回、OSであるFedoraCore3を入手するため、このDVD2枚付のLinuxMagazineのムック本を買ってきた。

このムックはなかなかすごい。OSの収録だけではないのだ。むしろそれは付録。

雑誌LinuxMagazineの月刊化前のNo.1〜3と創刊号(1999年10月)〜2004年12月号までの
66冊分の全記事をPDFとしてDVDに収録している。一記事35円という計算らしい。インターネット上の断片的な情報ではなく、まとまった解説やチュートリアル記事が読めるので、大変助かる。

年月順、連載別、特集別でのインデックスも作られていて、記事を見つけやすい。Namazuで検索できるように設定しておくと、いつでも必要なLinux情報が取り出せて大変、さらに便利である。

雑誌がバックナンバーのPDF公開を行う例がIT系では増えてきている。1月28日にはインプレス グループが、老舗雑誌インターネットマガジンのリニューアルに伴い こんな太っ腹な3年以上前は無償公開というサービスを立ち上げた。

・INTERNET magazine (インターネットマガジン) 03月号
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完全リニューアルで装丁も価格も内容も意外な大変身。この英断どうなる?


「INTERNET magazine」、バックナンバーをPDF化
〜日本のインターネットの歴史資産として一般公開〜
http://www.impressholdings.com/release/2005/001/

・『iNTERNET magazine デジタル アーカイブス』のご案内
http://internet.impress.co.jp/rim/backnumber.php

ここでは創刊号(1994年9月発売)〜2002年2月号までのバックナンバーを、無料で検索して読むことができる。直近3年間は定期購読者限定サービスとなる。

昔、私が書いたり、取材された記事も何本か収録されているようだ。懐かしい気持ちになった。

こうしたバックナンバーのPDF公開の流れは他分野の雑誌にも広がって欲しい。読んでみたい雑誌がいっぱいある。

・伝わる・揺さぶる!文章を書く
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■自分の立場を発見する

ブログでこうして文章を毎日書いているとたまに「感動しました!」という読者からメールをもらえる。誰かの心を揺さぶることができたときは、嬉しい。毎日そんな文章を書けたらと思うが、なかなかそうもいかない。秘訣を知りたくてこの本を読んでみた。

文章のゴールの基準を著者は

「自分の書くもので人に歓びを与えられるかどうか」

におけと簡潔にまとめている。これは心から共感した。当たり前のことなのだが、

文章を書く上での心得として「自分の立場を発見する」ことの重要性が語られている。同じ発言でも読者が違った意味にとらえる可能性があるから、関係性に注意せよというアドバイス。この部分、事例で説明されているが、私にも同様な心当たりがある。こういうことだ。

私が小学生の頃の話。

両親が友人の家族を家に招いて、母がつくる夕食で歓談した。

こどもだった私は食べ終わった後で「今日はすごい豪華なご馳走だったねえ」と何気なくお客さんの前で話した。

私は率直に「今日の料理はおいしかったなあ」の意味だったのだが、お客さんが帰ってから母に怒られてしまった。「いつもの食事がおいしくないみたいに聞こえるじゃないの」というわけらしい。お客さんや父はどう思ったのだろうか知らないが、人の受け取り方はさまざまだと思った。

同じ文章が相手から見た自分の立場で意味が変わって受け取られる。特別な意図のない言葉が、人を喜ばせたり悲しませたりする。文章がうまい、へたの前に、読者との関係性を知ることが、良い文章を書く出発点になる、という。

これも共感した。

ブログは特にこれが難しいメディアだと思う。雑誌や単行本であれば、出版社や雑誌社の文脈や全体のテーマがあるから、立場は書かずとも明確になりやすい。一方、ブログは基本がテーマのない日記だから、自分の立場が読者にみえにくい場所だと感じる。検索エンジン経由でたどりついた読者にはなおさら文脈が伝わらない。

ブログやWebでは、書き手は、突然迷い込んだ一見さんがその記事だけを読んだらどう見えるか?も意識しておく必要があるなと思った。文脈のレイアウトデザインが感動の極意だと言えそうである。

■お母さんのひと言要約

この本、核心をついているなあと感動した箇所が何箇所かあった。

たとえば、見事な要約として例示される”お母さんのひと言要約”


息子 「俺は、別に彼女をしばる気はないんだ。彼女は自由だし、やりたいことをやればいい。だから、彼女が留学するのは、ちっとも反対じゃない。
ただここで問題なのは、彼女の動機だよ。安易な留学ブームにのっかってるだけじゃねえか。だいたい、そんな、あいまいな気持ちで留学したって、逃げてるだけじゃ.......」

母 「淋しいんだね、おまえ」

そう。そうなのだ。これこそ見事な要約なのだ。

息子は淋しいという言葉は一度も使っていないけれど、淋しいが真意に違いない。学校で習う要約術では「私は彼女の自立性を尊重するが考えが甘いと思う」あたりがマルをもらえる要約なのかもしれないが、それは本当は間違いなのだ。著者は要約とは根本思想と関係性が見えるように文章を短縮せよと述べている。

この”お母さんのひとこと要約」を自分のもやもやとした想いに対して行えることが、良い文章の秘訣なのだと感じる。

この本は、お願い、お詫び、議事録、志望理由などケース別の対策や、初心者から上級者までのクラス別技法の紹介が、小論文指導のエキスパートによって簡潔にまとめられている。

関連書評:

・大人のための文章教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002489.html

・40字要約で仕事はどんどんうまくいく―1日15分で身につく習慣術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002286.html

・分かりやすい文章の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001598.html

・人の心を動かす文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001400.html

・人生の物語を書きたいあなたへ −回想記・エッセイのための創作教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001383.html

・書きあぐねている人のための小説入門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001082.html

・大人のための文章法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000957.html

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