Culture: 2009年2月アーカイブ
・[オーディオブックCD] 世界一おもしろい日本神話の物語 (CD)
この価格(1365円)でこの内容は本当に素晴らしい。
イザナミとイザナミに始まる日本神話の代表的エピソードを50本、朗読してCDに収録している。こうした神話は、古事記や日本書紀の現代語訳で読むこともできるが、日本神話は神様の名前がやたらとむずかしい。天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(アメニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギ)なんて読むこと自体が苦労である。だからこそ朗読を聴くといいのだ。
このオーディオブックは書籍版を元につくられている。わかりやすい現代語で丁寧に読み上げられている。音量や声のトーンがとても聴き取りやすい。
CDは7枚にわかれている。収録された50本全部を聴くと実に5時間半かかる。そんなに聴いていられるかという人向けに、なんと7枚中3枚は倍速再生用なのである。(パッケージ外装には倍速CDが入っているとは一切書かれていないのは何でなんだろう)。倍速で聴いても2時間半あるのだが。
・古事記・日本書紀の大ファン
・日本神話について教養を深めたいけれど読むのが面倒という人
・こどもに日本の神話を教えたい人
におすすめ。
・騎馬オペラ ジンガロ 「バトゥータ」公演
http://www.zingaro.jp/
公式サイト。まずはここをみてください。
紹介の都合上、DVDの画像にリンクしたが、ぜひ本物を見て欲しい。
東京木場で3月26日まで公演中の騎馬オペラ「ジンガロ」を観てきた。前評判の異様な高さに期待していたが、演劇の新たな可能性を切り拓くような、斬新なスペクタクルに圧倒された。この手のショーが好きな人は残り公演を絶対に観るべきだ。生きながら本物の「走馬燈」が見られる貴重な機会である。
ちなみに騎馬オペラ「バトゥータ」は曲芸サーカスではない。シルク・ドゥ・ソレイユでもない。無論古典オペラともまったく違う。人馬一体の幻想芸術である。高等馬術を習得した役者達が、美しい馬たちとともに走り、舞い、遊牧民の世界観を光と闇の中に創り出す。
ジンガロとはパリ郊外に拠点をおき、1984年以来、絶賛を浴びている劇団である。この劇団は人間と馬で構成される。人間よりも馬の方が数が多い。ジンガロとはかつて劇団の象徴でもあった名馬の名前である。そして出生や年齢不明の主宰者バルタバスは生きた伝説である。
今回の海外公演「バトゥータ」では、ルーマニアの二つの楽団(管楽器と弦楽器)の生演奏が流れる小さな円形劇場が舞台となる。
セリフやナレーションは一切ない。ストーリーもない。だが内容は誰にでも分かる。夜明けから夜のとばりが降りるまでの間に、ゆりかごから墓場まで人間の一生のすべてを描いている。まさに90分間の走馬燈なのである。
荒くれ者の男達、純白のドレスを着た花嫁、がなり立てる老人、ひょうきんなクマ、主宰者バルバタスなど人間のパフォーマーと数十頭の馬がギャロップで駆け回る。1時間半の公演中に馬たちはここを何百周しているのだろうか、照明や水の演出が馬たちを幻想的にショウアップする。闇の中に佇む白馬の群れ、恋人に馬上で抱かれる花嫁、幕間を告げる女性騎手......美しさに何度も絶句した。
何十頭もの馬が走り回る劇場はかすかに馬のにおいがする。この野性のにおいとリズミカルな脚音が、観客の心拍数を引き上げる。舞台中央で天上からまっすぐ下へ流れ続ける水の音、そして動と静二つの楽団の奏でる音楽。五感に入ってくる刺激が相乗して昂ぶらずには居られない。まるで幻覚を見ているかのような夢見心地の世界に引き入れられる。
余韻が忘れられない人は会場で販売されているパンフレットがおすすめ。美麗なパフォーマンスの写真や背景知識がたっぷり収録されている。
・騎馬オペラ ジンガロ 「バトゥータ」公演
http://www.zingaro.jp/
公式サイト。まずはここをみてください。