Books-Trivia: 2008年12月アーカイブ
鉄道写真を撮ろうと思ったことはないのだが、旅先で電車を見ると反射的に写真を撮ってしまう。当然、何のノウハウもないからうまく撮るのは難しい。新幹線や特急ホームで車両を何も考えずに撮影するだけではありきたりの写真になりがちである。
まず鉄道写真には次の4つのジャンルがあることを知った。
「形式写真」 停止している列車の特徴を記録する
「編成写真」 走行している列車を撮影する
「鉄道風景写真」 風景写真と編成写真の融合
「イメージ写真」 流し撮り、夜間撮影、車窓風景、シルエット撮影など
形式写真では側面:正面が7:3になるのが基本的な構図。
鉄道写真の世界は広く奥深い。写り込む架線の処理なんてこれまで考えたこともなかったが、考えてみると難しい問題だ。
「複線・電化区間での構図の決め方で一番問題になるのが架線柱をどのように処理するかである。焦点距離の短いレンズでは、左右いずれかの架線柱や信号設備が入り込んだりすることもあるが、135mm-200mmクラスの望遠レンズであれば、画面ないから架線柱などを上手く逃して、理想的な構図を得ることができるだろう。」
そして、カーブを曲がる列車は編成写真の肝である。インカーブ/アウトカーブ、ローアングル/ハイアングルの組み合わせと、それぞれのパターンに最適な構図の作り方、レンズの選び方、シャッターや露出設定など、カーブの撮影は最も詳しくマニアックにコツを教えている。
本格的な編成写真は、あらかじめ撮影地を決めて三脚を立て、やってくる列車を待つのが基本撮影スタイル。前の列車で練習できるとはいえ、ピントはあらかじめ設定しておく「置きピン」が基本。
「線路にピントを合わせる際の注意点は、2本のレールのうち、手前ではなく奥のレールにピントを合わせるということだ。手前のレールやバラストにピントを合わせてしまうと、右から4分の1の位置でも実際にピントが合っている位置は、かなり手前の方(前ピン)になってしまうのだ。」
人物ポートレイト写真も奥の瞳にピントを合わせよという教則を読んだことがあるが、レールも奥にピントなのだな。さらに車両全体を画面におさめる(切れるのは失格)ためには、距離感をつかむ必要があるが、「日本の線路は1本25メートルが基本案ので、ロングレールでなければ線路のジョイントの数と列車編成の長さから、画面の右端の位置を決めるのがコツだ。」という指導がある。
鉄道マニアでなくても、きれいに鉄道を撮影する秘訣を知ることができたのはちょっと嬉しい。勉強になる本だった。
・1日1鉄
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著者の写真ブログ。