Books-Trivia: 2006年12月アーカイブ
私は照明の好みがとてもはっきりしている。明るいのが好きだ。家だろうがオフィスだろうが、明るければ明るいほどいい。マツモトキヨシの店舗みたいにまぶしいくらい明るい部屋がいい。高い天井から強烈に照らされるのが好き。蛍光灯万歳。間接照明反対。(妻は間接照明が好きなので、家は実際はそれほど明るくない。)
そんな私の好みはとても頭が悪い照明術なので、ちょっと考え直すべきだということがこの本を読んでよくわかった。
「昼の太陽光のような「青白い光」を頭の上から浴びると”活動的”に、夕焼けのような「オレンジ色の光」を低い位置から浴びると”くつろぎモードに”」
私の好みの照明では「光ストレス」にやられてしまうらしい。また九州大学の研究によるとクリエイティブな作業には蛍光灯より電球の方が生産性があがることが実験で照明されていた。蛍光灯の覚醒効果が高すぎて、脳がリラックスできないからだそうだ。睡眠前に蛍光灯を浴びると眠りが浅くなるという研究も紹介されていた。
脳力アップするための照明のポイントが3つある。照明術の基本要素。
1 光の色
朝方や昼間の色は人を活動的にし、夕焼けの色は心にやすらぎを与える。
2 光の高さ
光が頭の上にあると興奮、下がってくると落ち着く効果
3 光を当てる場所
直接照明と間接照明、どこへ当てるかで異なる効果。
適切な組み合わせの照明を作ることが大切なのである。その方法論がこの本のメイン部分である。かなり参考になった。
光にはさまざまな効能があるのだ。
朝方に強い光を浴びると身体のリズムが調整される。睡眠不足や時差ぼけの解消に光が使える。また光でうつ病を治す光療法というのもある。光の色で体感温度が変わるので照明によって冷暖房の省エネができる。光の威圧効果でプレゼンの効果を高めることができる。料理をおいしそうに見せるだけでなく、味覚を照明で変えることができる。揺れる明かりは異性を口説くのに効果がある。泥棒が入りにくい照明がある、などなど。多数の効能が紹介されている。
照明だけで部屋のリフォームができると著者はそのやり方も紹介していて、部屋の模様替えの参考になる情報もいっぱいあった。調光器で明るさを半分にすると消費電力25%ダウンで電球の寿命は10倍に伸びるなどという節約術まで。
やはり私が一番気になったのはオフィスの明かりである。どんな照明にしようかなんて考えてこなかった。照明を変えることで生産効率を1%でもアップできるなら、何十人もいる部屋だったら全体ではかなりの改善になる。経営課題に乗せてもいいくらい重要な問題なのではないだろうか。