Books-Sociology: 2003年10月アーカイブ

・話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く
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私たちが受けた学校教育では、知的能力については男女の差はないというタテマエがあったと思う。本書では、男と女は脳の中までぜんぜん違うのだよと言う話を延々と語る本だ。

この本のデータによると、男女が1日に発するコミュニケーションメッセージの回数とその内訳は以下のようになるらしい。

1日平均 女性 男性
発話する単語6000から8000語2000から4000語
言葉にならない声や音2000から3000回1000から2000回
ボディランゲージ8000から1万回2000から3000回
メッセージ合計2万回7000回

女性のほうが3倍もコミュニケーションに熱心であり、これが男女のすれ違いの原因になっていると述べられている。夫が仕事に疲れて帰るときは既に1日のメッセージを使い果たしているのに対して、妻は1日家で独りで過ごしたため、残りのメッセージ数を消化したいので、帰宅した夫にたくさん話をするが、夫は不機嫌に黙り込む。

コミュニケーションメッセージの内容も、男性は問題解決のためのメッセージ中心であるのに対して、女性は他者との交流それ自体を目的としている。男性は女性の要領を得ない1日の出来事の愚痴をだらだら黙って聴くのが苦手なのだ。「で、それで何?私にどうしろって?」と男性は考えてしまう。

これはひょっとしてウチの話か?と共感する事例多数。空間認識の上手な男性と、下手な女性の違いの章では、男女がクルマを一発車庫入れできる統計差も示され、狩猟や戦闘行為の多い男性は空間認識が得意になったという進化論の視点も入ってきて、男女差の根深さも良く分かる。

類型化しすぎていてそれは性差よりも個人差では?という箇所も散見されるが、読み物として楽しい。

文庫版と単行本があるが文庫本のほうが内容は最新。言わずと知れたベストセラー。続編も何冊かある。

評価:★★☆☆☆