Books-Psychology: 2012年10月アーカイブ

・超心理学――封印された超常現象の科学
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明治大学情報コミュニケーション学部の学部長が書いた超心理学の本。

実験で被験者が興奮する画像(男性に対してヌード写真)と普通の写真を画面にランダムに提示する。次に表示されるのがヌードだと思ったら、ボタンを押してもらう。次の写真を予測させる超心理学実験だ。この実験をたくさんやると数パーセントだがランダムよりも高い精度で予測が当たっているという実験ケースが示される。

世界中に乱数発生器を設置して観察している研究グループによると、9.11のテロや大災害の発生時に、乱数の発生状況に有意な偏りが見られたという。人間の心理が機械に対して影響を与える可能性を示唆するものとして紹介されている。

テレビによく出る超能力者マクモニーグルやユリ・ゲラーの実態も紹介されている。

科学の常識からすれば、どれもこれもありえない。実験の誤差や作為だとして一笑に付して終わりにされそうな話ばかり。しかし、著者は科学者としての懐疑的精神を保ちながら、現象が存在する可能性を擁護している。

超心理学は人間の心理が物理的世界に影響をするものなので、信じていない人に囲まれても能力は発揮されない。また超能力があるとしても、それは派手なものではなく、統計的に数パーセントのような数字で表れるレベルのものだろうと著者は推測している。

ありえない可能性、考えてもみなかった可能性が、科学のブレークスルーなわけであり、科学の非常識を疑ってみるという、この本のような姿勢はとても重要だと思う。まあ、そういう意義はともかく、大枠として科学の内側にとどまりつつ、超心理学の現状を楽しめる本だ。