Books-Psychology: 2005年8月アーカイブ
#私も実はチャット婚。
何を隠そう私の最初のハンドル名はChatman。96年〜97年頃、初めて作った個人ホームページには必死でCGIを勉強して、Webベースのチャットルームを開設していた。当時の私のメールシグネチャはこんな感じだった。
開設した動機は、チャットルームの管理人というのが、男女を問わず、モテると思ったから。実際、管理人はただログインするだけで参加者から「おつかれさまですー」とか「いつもお世話になってますー」などと挨拶してもらえる。黙っていると都合の良いほうに解釈してもらえるなど、役得は多かった。
ディスコのダンパ(死語?)でも”スタッフ”が無条件にモテたのと同じ原理だろう。チャット恋愛の必勝戦略は出会いの場そのものを作り出すことである、とか、言ってみたりして。
さて、私の経験はともかく、この本はチャット恋愛について、大学講師でラジオパーソナリティで、チャットにハマった女性が書いた社会心理学的な内容である。
ネット上で異性に魅力を感じる社会心理学的な理由として、アダム N.ジョインソンの著書「インターネットにおける行動と心理―バーチャルと現実のはざまで」から次の4項目が引用されていた。
1 類似性
共通の興味や関心、お互いに似たところ
2 自己呈示
「ほんとうの自分」を私に見せてくれた感、見せられる感
3 自己開示と相補性
自己開示をする、された二人が信頼関係を強めていく
4 理想化
理想的な自分を演じる
・インターネットにおける行動と心理―バーチャルと現実のはざまで
つまり「ほんとうの自分」の開示方法をめぐるゲームがチャット恋愛なのだ。
「現実のチャットでの「ほんとうの自分探し」に夢中になり、そうして獲得したオンライン・ペルソナ、すなわち「ハンドルネームとしての私」がより強い人格になっていく。こうして、彼ら、彼女らはチャットに「ハマって」いくのである」
「ほんとうの自分」はどこまでいっても括弧付きである。何らかの意味で文字通りカッコをつけている。ジョハリの窓という自己開示の有名な理論がある。
・ジョハリの窓 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%81%AE%E7%AA%93
「
自己には、「公開された自己 」(open self)、「隠された自己」がある (hidden self) と共に、「自分は気がついていないものの、他人からは見られている自己 」(blind self) もあるし、「誰からもまだ知られていない自己 」(unknown self) があると考えられる。
」
表+裏+blind selfやunknown selfも含めて総合した上で、括弧なしのほんとうの自分ということなのだろうけれど、チャットでは人はopen selfだけを演じることができる。この本では虚像のゲームの果てに、不倫やストーカー騒動に発展し、現実の生活を破綻させてしまった怖い事例が多数紹介されている。
最近、とても面白かったのが次のサイト。ネットゲームにハマって社会生活や結婚生活が崩壊した人たちの懺悔告白が何百も集約されている。著者の言うように仮想的な人間関係は濃すぎるが故にハマりやすいが、濃すぎるということはその実「薄い」のだということを示している実例集といえそうだ。。
・今からネトゲを始めようとしている人を止めるサイト
http://www.geocities.jp/netgamestopper/