Books-Presentation: 2011年7月アーカイブ
今クールなプレゼン様式のトレンドといえば、ガー・レイノルズのプレゼンテーションZENは間違いなくそのひとつだ。私は先日のTEDXTOKYOで生で体験して、やっぱり洗練されているなあと感じた。それに真似のできない属人的方法論でもなさそうだ。
「抑制」「シンプル」「自然」を特徴とする現代的プレゼンテーションの解説書。スティーブ・ジョブズ流ともいえる。「プレゼンをパフォーマンスではなく「大きな会話」だと思え」「論理と感情の両面に訴えるために「物語の力」を使え」「」など、いいアドバイスがあるが、一番共感したのが「弁解の言葉でスピーチを始めてはならない」ということば。
「その日の聴衆のための準備を怠ったことに対して謝罪をしてはならない。それを匂わせてもいけないし、ましてはっきり認めてしまうのはご法度だ。準備を怠ったのは確かに真実かもしれない。あなたの謝罪は(単なる弁解ではなく)心からお詫びしたいという気持ちの表れかもしれない。だが、その思いは決して聴衆には伝わらない。思い通りの準備ができなかったことに対する嘆きなど、聴衆にとってはどうでもいいことだ。わざわざそれを口に出して、彼らの頭に刻みつける必要などない。」
「資料を準備する時間がなくて」「昨夜はあんまり寝ていなくて」「いますごく緊張しているんですけど」なんて言葉ではじめては絶対にいけない、マイナス評価につながることはあってもプラスにはならないから禁句なのである。
そしてなにより本質は真実味。ありのままをさらけ出すことが「裸」の意味だ。
「真実味は、話し手の存在感の重要な構成要素である。「本物」は人を魅了する。聴衆が求めているのは完璧さではない。過度にリハーサルを繰り返し、巧みな言い回しで、論点をぺらぺらとまくしたてる人間などいらない。彼らはありのままの自分を素直にさらけ出した「リアルな人間」の言葉をききたがっているのだ。」
そういった意味ではYoutubeではなくライブで見ないと伝わらないプレゼンでもある。Youtube動画でも洗練されているのはわかると思うが、当日の会場ではライブの迫力と緊張感があった。
基本編の『プレゼンテーションzen』、実践編の『プレゼンテーションzenデザイン』とあわせて読むとよい応用編。