Books-Presentation: 2006年8月アーカイブ
キャッチコピーのつくりかた本はたくさん出版されているが、実際に誰にでも書ける方法が書いてある本は少ない。抽象論や有名なキャッチコピーの事例解説だけを述べられても、プロの感性がなければ、なかなかコトバがでてこないものだ。
この本には、プロでなくても、誰にでも、それっぽいキャッチコピーをつくる方法論が書いてある。人から訊いたコトバをそのまま素直に使ったら、いいコピーになる、というノウハウだ。
「強いコトバを集める3つの質問
1 なぜ買ったの?
2 その商品は、あなたに何を与えてくれるの?
3 それを使うと、どんな気持ちになる?
」
こうして集めたコトバを本書で解説する「10の方法論」で整形すると、売れるコピーができあがる、と著者は教えている。人の素直なコトバをそのまま使う方が、ヘンに素人が加工するよりも、活き活きとしたチカラのあるキャッチコピーになるというわけだ。
本当は人に訊くべきなのだが、読みながら、自分一人でやってみた。
私は風邪を引くと薬屋で総合感冒薬を買うのだが、基本的に、一番高くて効能書きの多いものを買うことにしている。だってそれが訊きそうだからだ。風邪が1日早く直るならプラス1000円は惜しくない投資だ。
だから、ハイエンドの総合感冒薬の広告に、
「一番、高いから買いました」
は確かにアリな気がする。
以前、書いた気がするが、DVD-Rメディアを買う際には、「That's」ブランドを買うことにしている。太陽誘電はOEMメーカーで、品質が高いと知っているからだ。秋葉原あたりのショップでは、某社のDVD-Rのパッケージの棚のPOPに「中身は太陽誘電です」と書いてあったりする。
「安心を買ってます」
は、私の答えであると同時に、反応してしまうコピーになる。
ネットワーク製品はなるべく最大シェアのブランドを買うことにしている。ユーザが多いと、ネットの検索で他の利用者のトラブル解決例や活用法がいっぱい見つかるからだ。Linux用ドライバも存在する可能性が高い。だから、LANカードやハブ、ルータなら、
「検索したら5万件もでてくる機種です」
は悪くないコピーだ。
この手法なら、製品の特徴や市場ポジションなんて、考えなくてもいいのだ。ただ人に訊けばいいのだから。ほかにも素直なコトバを集めるためのツールとノウハウがいくつも紹介されている。
この本自体に対して3つの質問に、答えてみると、
1 なぜ買ったの?
「表紙が黄色くて売り場でダントツ目立っていたから」
2 その商品は、あなたに何を与えてくれるの?
「私にもできそうな自信」
3 それを使うと、どんな気持ちになる?
「キャッチコピーって簡単なんだ〜」
こうした素材を加工するアイデアと事例が後半に詳しい。
・全米NO.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004488.html
・書評 一覧 「文章・表現」についての本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/cat_bookspresentation.html