Books-Presentation: 2005年2月アーカイブ
・7秒のイメージ・マジックであなたの声はもっとよくなる―相手を説得する、声の印象が変わる、気持ちが伝わる
なぜか家に転がっていたので30分で読んでしまった本。
歌唱指導のボイストレーナーである著者が、歌うためではなく、話すための「いい声」発声法を語る。歌声と違って話す声は一概に何がいい声とは言えない。たとえば結婚式とお葬式ではいい声が違う。だから、状況に応じて幾つかの声を使い分ける能力を持ちなさいという。
まずは綿棒を使った自己診断チェックや、割り箸、ピンポン玉、ティッシュ、ペットボトル、ハンガーを使った基礎的な発声練習の紹介がある。だが、この本のメインテーマは技術指導よりイメージつくり重視のメンタルトレーニング部分。
著者によると声には、のどの付け根方向に向かって出す「押して出す声」とのどの外に向かって空気を出しながら出す「引いて出す声」がある。男性の場合、この二つの声から7つの型が派生するという。
引く声
押し型
説得型
声援型
中間
受身型
押す声
口説き型
ささやき型
癒し型
各型の出し方が簡単に説明もつけられているが、これだけでは分かりにくいので、具体的に各型の有名人、芸能人が数十人挙げられて誰がどの型かを説明してくれる。
いい声の代名詞の森本レオは癒し型で、ささやきと口説き要素が少し入っていて、ほとんど鼻濁音で発声しているそうだ。プロの男性アナウンサーも鼻濁音が上手らしく、男性の場合、鼻声というのは、制御できればかなり得なのだそうだ。
こういうときにはこういう声がいいというシーン別のノウハウもあった。目上の人と話すとき、催促をするとき、デートを申し込むとき、断るとき、謝るとき、言い訳をするとき、などシーン別のいい声のイメージ説明。
自分の声質を診断して、近いタイプのいい声の持ち主の発声法を、状況に応じて、真似してみなさい、というのがこの本のいいたいことであるようだ。なかなか難しいのだが、有名人の発声法が文章化されているので、イメージには役立つ。
発声というのは話し方の基本で、言葉以上に大きな影響を与えていると言われる。何をするにしても、声の研究は役立ちそうである。もう何冊かこの分野は読んでみようと思った。
関連書評:
・話し方の技術が面白いほど身につく本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001029.html
・話し方の技術が面白いほど身につく本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001029.html
・人生を変える黄金のスピーチ〈上〉準備編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001456.html
・人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002404.html
ところで、この本を読み始めたのはタイトルの「7秒」というキーワードが気になったから。結局、7秒に根拠はなく、7秒くらいで出したい声を明確にイメージして発声するだけで、だいぶ変わりますよということがいいたいようだ。
7秒のノウハウ本は他にあるかと探してみたら結構あった。どうやら7秒は発声と幸福とダイエットに効く、らしい。
・Amazon.co.jp: 本: 「ひねり運動」7秒ダイエット
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062741423/daiya0b-22/
・Amazon.co.jp: 本: 7秒の幸福論
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087483967/daiya0b-22/
・Amazon.co.jp: 本: 7秒の開運帳―自分を幸せにするカギ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413062566/daiya0b-22/
・Amazon.co.jp: 本: あなたは7秒でやせられる―FYTTEプロポーションブック
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4056028516/daiya0b-22/
・Amazon.co.jp: 本: 体幹ダイエット―1ポーズ7秒間の刺激でムダなしボディ!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847014855/daiya0b-22/
・Amazon.co.jp: 本: 部分やせ7秒間ボディシェイプ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4576007165/daiya0b-22/
■自分の立場を発見する
ブログでこうして文章を毎日書いているとたまに「感動しました!」という読者からメールをもらえる。誰かの心を揺さぶることができたときは、嬉しい。毎日そんな文章を書けたらと思うが、なかなかそうもいかない。秘訣を知りたくてこの本を読んでみた。
文章のゴールの基準を著者は
「自分の書くもので人に歓びを与えられるかどうか」
におけと簡潔にまとめている。これは心から共感した。当たり前のことなのだが、
文章を書く上での心得として「自分の立場を発見する」ことの重要性が語られている。同じ発言でも読者が違った意味にとらえる可能性があるから、関係性に注意せよというアドバイス。この部分、事例で説明されているが、私にも同様な心当たりがある。こういうことだ。
私が小学生の頃の話。
両親が友人の家族を家に招いて、母がつくる夕食で歓談した。
こどもだった私は食べ終わった後で「今日はすごい豪華なご馳走だったねえ」と何気なくお客さんの前で話した。
私は率直に「今日の料理はおいしかったなあ」の意味だったのだが、お客さんが帰ってから母に怒られてしまった。「いつもの食事がおいしくないみたいに聞こえるじゃないの」というわけらしい。お客さんや父はどう思ったのだろうか知らないが、人の受け取り方はさまざまだと思った。
同じ文章が相手から見た自分の立場で意味が変わって受け取られる。特別な意図のない言葉が、人を喜ばせたり悲しませたりする。文章がうまい、へたの前に、読者との関係性を知ることが、良い文章を書く出発点になる、という。
これも共感した。
ブログは特にこれが難しいメディアだと思う。雑誌や単行本であれば、出版社や雑誌社の文脈や全体のテーマがあるから、立場は書かずとも明確になりやすい。一方、ブログは基本がテーマのない日記だから、自分の立場が読者にみえにくい場所だと感じる。検索エンジン経由でたどりついた読者にはなおさら文脈が伝わらない。
ブログやWebでは、書き手は、突然迷い込んだ一見さんがその記事だけを読んだらどう見えるか?も意識しておく必要があるなと思った。文脈のレイアウトデザインが感動の極意だと言えそうである。
■お母さんのひと言要約
この本、核心をついているなあと感動した箇所が何箇所かあった。
たとえば、見事な要約として例示される”お母さんのひと言要約”
「
息子 「俺は、別に彼女をしばる気はないんだ。彼女は自由だし、やりたいことをやればいい。だから、彼女が留学するのは、ちっとも反対じゃない。
ただここで問題なのは、彼女の動機だよ。安易な留学ブームにのっかってるだけじゃねえか。だいたい、そんな、あいまいな気持ちで留学したって、逃げてるだけじゃ.......」
母 「淋しいんだね、おまえ」
」
そう。そうなのだ。これこそ見事な要約なのだ。
息子は淋しいという言葉は一度も使っていないけれど、淋しいが真意に違いない。学校で習う要約術では「私は彼女の自立性を尊重するが考えが甘いと思う」あたりがマルをもらえる要約なのかもしれないが、それは本当は間違いなのだ。著者は要約とは根本思想と関係性が見えるように文章を短縮せよと述べている。
この”お母さんのひとこと要約」を自分のもやもやとした想いに対して行えることが、良い文章の秘訣なのだと感じる。
この本は、お願い、お詫び、議事録、志望理由などケース別の対策や、初心者から上級者までのクラス別技法の紹介が、小論文指導のエキスパートによって簡潔にまとめられている。
関連書評:
・大人のための文章教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002489.html
・40字要約で仕事はどんどんうまくいく―1日15分で身につく習慣術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002286.html
・分かりやすい文章の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001598.html
・人の心を動かす文章術
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・人生の物語を書きたいあなたへ −回想記・エッセイのための創作教室
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・書きあぐねている人のための小説入門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001082.html
・大人のための文章法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000957.html