Books-Presentation: 2003年9月アーカイブ
・ハーバード流「話す力」の伸ばし方!―仕事で120%の成果を出す最強の会話術
「
会話とは、そこに参加した人たちが、それぞれに自分の話題を持ち出す「縄張り争い」に他ならない。とりわけ、ビジネスにおいてはそうである。会話を独占できる人間が勝者になれるのであり、相手の話をじっと聞くだけで縄張りを奪おうとしなかったら、敗者になってしまう。時間をどれだけ奪えるかは、ビジネスでは死活問題なのである。
」(39P-40Pより引用)
原題は「Power Talk: Using Language to Build Authority and Influence」
これは巧みな自己主張と巧みな聞きかたについての本である。が、どちらかというと、上記の引用と原題が象徴しているように、攻めの姿勢のパワートークの戦術論が中心になっている。
例えば相手を不愉快にしない、うまい割り込み技であるとか、過去の実績をさりげなく匂わせる技術、相手の機先を制する意地悪な質問などが、具体例とともに列挙されていく。ただ、完璧なパワートークは人の話を聞かない奴、マナーを知らない奴と思われたり、部下の不満もたまるから、聞いているフリも上手になりましょうね、という結論に落ち着く。
いや、なかなか勉強になるのであるが、パワートークが日本で、そのまま通用するとは思えない。日本流の交渉術の本ってのも次に読んでみたいもの。誰か良い書籍をご存知でしたら教えてください。
古今東西肌を見せるのは立場の弱いヤツである。古代から王族は厚着をしている。奴隷は薄着だ、人間は肌を見せると弱気になるからビジネスマンは半袖シャツを着てはいけない。
だとか、
同じ姿勢をする相手には協力的になるものだから、交渉相手が腕を組んだらこちらも腕を組め
だとか、
強い立場になるには場をより大きく占有しろ。例えば交渉のテーブルでは、机の上に自分の書類を広げて自分の空間にしてしまえ
などという、小手先交渉術がひたすら語られていきます。これはこれで楽しい読み物。
こういうノウハウというのは、それだけで通用するわけがないと思うのですが、強ち嘘でもないでしょう。交渉過程に与える非言語コミュニケーションの影響というのはかなり大きいものだということはさまざまな心理実験から分かっていますしね。
この本を読んでから、会議でお客さんが腕を組んだり、書類を広げたりすると、あれ?この人もこの本読んだかな?と疑心暗鬼に。
評価:★★★☆☆