Books-Misc: 2012年6月アーカイブ
この本はちょっと高いが、気になった人にはきっと繰り返しの鑑賞価値あり。「梅ちゃん先生」のタイトルジオラマを制作したジオラマ作家の山本高樹作品集。大型本。同氏による32点の傑作模型作品の写真が並ぶ。見える部分だけつくる撮影用ではなく、鑑賞用の作品として作りこまれており、どの方向から写しても細部まで見ごたえがある、見事。
写真の世界の言葉に記憶色という用語がある。多くの人がイメージしている色という意味だ。青空は青々としていて、リンゴは真っ赤で、桜の花は濃いピンクで、というように現実よりも鮮やかに、写真の色合いを修正することをいう。これらの作品はまさに記憶色的というか本物の昭和以上に昭和の原風景を再現しているように思える。
この人のジオラマは単に建築物を再現したのではない。丁寧に作りこまれた人物フィギュアがジオラマ内のあちこちに配置されていて、ひとりひとりがドラマをもっていそうなのが素晴らしい。雑誌「荷風!」に連載していたこともあって、永井荷風らしきおじいちゃんキャラがジオラマ内に登場するのも楽しい。これでコマ撮りで映像にしたら面白そうだが。
模型の作り方も写真で紹介している。
衝動買いだったが大当たりであった。
・山本高樹の昭和ジオラマ日記
http://mokei-hiyorigeta.cocolog-nifty.com/blog/
山本高樹オフィシャルサイト
http://www.hiyori-geta.com/