Books-Misc: 2012年2月アーカイブ
待望の文庫化。横山光輝が中国古代を舞台にした小説『封神演義』を長編の漫画作品にしあげた。横山光輝はこれが遺作となった。
舞台は紀元前1070年。商(殷)の紂王が、妖怪の乗り移った美女妲己に操られて暴政の限りを尽くしている。宮殿に酒の池をつくり、林に肉をかけ、裸の男女を遊ばせた「酒池肉林」で淫蕩にふける一方で、それを諌める忠臣たちは次々に粛清していく。妲己が次々に発明する残酷な処刑法が恐ろしい。焼けた巨大な銅の柱に、生きた罪人を縛り付けて、灰になるまで焼いていく。気に入らない女官を処刑するのに、毒へびと蠍だらけの穴をつくらせ、相撲で負けた方を落として殺す。こうして処刑の見せしめに怯えて誰も逆らえなくなる。
そんな末世を40年間の修行生活を終えた仙人の姜子牙(太公望)が崑崙山を下り、川のほとりで出会った周の文王をたすけて、天下を正していく。(70歳超えたおじいさんが大活躍するという点では高齢化社会にマッチしたコンテンツといえるかもしれない)。
『封神演義』はゲームやアニメの原作になることも多い。横山光輝は妖怪や妖術の要素は控えめにして、叙事的に淡々と描くといういつもの作風で歴史小説のように描いている。いまでている文庫3巻までいっきに読み切った。これは最後まで読むなあ。
・デモいこ!---声をあげれば世界が変わる 街を歩けば社会が見える
ああ、やはり、こういう本でたか。
「世の中を変えたければ、デモへ行こう
声をあげたければ、デモへ行こう
仲間を見つけたければ、デモへ行こう」
「デモは楽しい」から始まるデモ実践のパンフレット。デモに参加したい人、デモを主宰したい人にむけて情報を提供する。3.11以降、東京ではデモが増えた感じがする。反原発や反格差のデモでは従来とは違った、政治色が薄い、普通の若者の参加も増えているように思う。ツイッターやブログとの連動もよくみる。
デモ情報の探し方、はじめてのデモ参加のアドバイスなど参加したい人向けの情報の次に、ちょっとディープなデモの主催の仕方コーナーが興味深かった。
警察へのデモ申請のやり方
集合場所の確保の仕方
横断幕、フライヤー、プラカードの作り方
デモ情報の広め方
まったく知らないことがいくつか書かれていて勉強になった。たとえば警察へのデモ申請は72時間前までに。担当の警察官と打ち合わせが必要。人が集まれる場所を確保しなければならない。一般的には集合場所として公園が使われる。この際、管理者に占有許可を取る必要があるが、無料ではない。一人当たり区立公園だと24円とかお金がかかるのだそうだ。
デモ参加者の声(写真、プロフィールつき)、デモ主催者体験談など、最近のデモのトレンドがみえてくる。政治活動家という風貌は少なくて、もっとライトな感覚の人が多い。ツイッターがきっかけでというタイプも。
ネットでアピールの時代だからこそ、リアルの示威行動が、逆に目立つようになってきたということかもしれない。私はデモ、参加したことがないが、デモをすることは権利のひとつなので国民としては知っておいていい知識だと思った。