Books-Misc: 2010年11月アーカイブ
全米ベストセラーでブラッド・ピッドが映画化権を取得した探検家ノンフィクション。
1925年、南米アマゾンのジャングルの奥地にあるという謎の文明都市Zを探し求めて、危険地域で消息を絶ったイギリスの探検家がいた。パーシー・ハリソン・フォーセット。「失われた世界」のモデルとも言われる伝説の探検家を捜索するため、その後80年以上にわたって多くの探検家たちがアマゾンを訪れた。そして100人以上が原住民の襲撃や厳しい自然環境によって命を落としたと言われる。
著者のデイヴィッド・グランもまた「20世紀探検史上、最大の謎」に魅了された一人である。フォーセットが残した記録や当時の資料から、徹底的にフォーセットの足取りやZの推定地を調べたうえで、アマゾンへと向かう。
80年前のフォーセットの探検と、現代のグランの探検が交代で語られる。怪しげな地図を片手に冒険したフォーセットと、GPS搭載コンピュータを持つグランでは、探検のスタイルはまったく違っている。テクノロジーの進歩によって、純粋な未開の地というのはほとんどなくなってしまっているのが現実だ。いまさら探検家に大きな発見なんてできるのかね?と懐疑的に読み進めていったわけだが、終盤でガーンである。ネタバレになるので詳しくは書かないが、最後にZの謎がちゃんと解明されるのが凄いのだ。
フォーセットら20世紀の探検家たちの命を懸けた冒険の歴史が、現場で見ていたかのようにスリリングに語られる部分は、ドキュメンタリ作家としての著者の才能をみせつける。フォーセットは映画インディ・ジョーンズのモデルでもあるそうだが、いかにも20世紀の冒険家らしい破天荒な生き様がいい。