Books-Misc: 2010年6月アーカイブ
懐かしい。あぶさん。
「さようなら90番」引退試合の巻ということで久々に読んだ。
そもそも、あの『あぶさん』はまだ続いていたのか!と感慨に浸りながら表紙を開く。
設定にはかなり無理がある。この漫画の連載開始は1973年だが、劇中のあぶさんも1年に1歳ずつ年を取ってきた。だから連載37年=選手生活37年、62歳の現役プレイヤーとしてあいかわらずホークスで活躍している。あぶさんの絵は還暦を過ぎているとは思えない若々しさ。両親も健在でピンピンしており、息子の引退試合を見に来るが、この2人は今何歳なのか謎である。
他の脇役たちも少々絵が若すぎる。仕方がないのだろう。もしも全員を爺さん婆さんとして描いてしまったら成り立たない。野球漫画で登場人物をたびたび死なせるわけにもいかないのでみんな長生きせざるを得ない。長期連載で登場人物は増えるばかり。破綻が見えたからそろそろ引退っていうことなのではないかと思われる。
96巻目のストーリー。予定調和的な引退試合で意外性もなにもないのだが、長年のファンはこういう展開を期待していたのだろうから、これでいいのだ、たぶん。昔のあぶさんを思い出せば、読者は目頭が熱くなる。
私は店頭でみて最終巻かと思って手に取ったのだが、現在も連載中で、最新号では二軍助監督に就任しているようだ。あぶさんの活躍はまだまだ続くということでほっとしたが、この96巻では引退直後の、何もやることのない平和な日々が読める。
あぶさん。日本で最も長く連載が続いているスポーツ漫画となったそうだが、作者の水島新司は1939年生まれで今年71歳。長寿漫画家による長寿漫画としてまだ10年、20年、30年と続いていってほしいなあ。そうそう、ドカベン スーパースターズ編も。
二十年間無敗伝説を持つ雀鬼 桜井章一がツキの正体を語る。(得体の知れないところのある著者だが、怪しさも魅力だったりして、つい何冊も著作を読んでいる)。
ツキや運には3種類があるという。
天から授かる「天運」
場所につく「地運」
人が作りだす「人運」
天運は人間にはどうしようもない。地運はパワースポットに行けばよい。この本が教えているのは3つめの人運のつくりかただ。「考えすぎない」「気づいたら行動」「一つのことに集中しない」「見返りを求めない」「遊び心をもつ」「気分よく生きる」など、著者が勝負体験から学んできたことを説く。
野生のカン=直感を大切にしろ、どんなに経験を積んでも、知識と常識にとらわれないビギナーズラックの境地を目指せ、という極意は、考えても分からない、必死のかけひきや勝負事では、確かに真理な気がする。
「そもそも、ツキというものは、確率とか理屈を超えたところで起こっていること。それを理解するのは、理性ではなく感性の領域になります。頭ではなく、身体なのです。それだけに、言葉で説明することが難しいのは確かです。」
結局、ツキに意味を見出すかどうかは生き方の問題だと思う。
ツキに意味を見出す人は、サイコロで6の目が続けて2回でたら、今日はツイているから、次の目でも6が出せると考える。何回連続で6が出た後だろうと確率上は6分の1だ。そんなことは頭では分かっている。それでもツキに賭けて勝負する。それで勝てれば楽しさ倍増である。信じる人にとってツキには心理的エネルギーの源泉としてのロマンという意味と価値がある。
ツキを呼び込んだという思いは自信につながる。自分はツイてると思って幸せに生きるのは決して馬鹿で無知な生き方ではないよなあと思う。世界にツキの概念がない文化はないだろう。ツキは、きっとさらなる探究の価値がある。
・努力しない生き方
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/04/post-1195.html