Books-Misc: 2009年6月アーカイブ
私はグリーの社員ではないのだが11番目のユーザーだ。でもここ数年はほとんどログインしていなかった。それを変えたのがこれ。
Greeが展開する携帯電話向けのキャラクター育成ゲーム「踊り子クリノッペ」のガイドブック。若年層が楽しむ携帯ゲームの研究ということで、リサーチャー視点ではじめてみたが結構面白くて有料会員になってしまった。
「クリノッペは、目鼻がない手のひらサイズの謎の生き物。ダンスが得意で、プニプニした体を動かして感情を表現する。クリノッペは「つっつく」や「世話をする」ことで成長していく。これらをバランスよく行い、愛情とキモチをこめてクリノッペを育てていこう。」
クリノッペは携帯の中にペットを飼うわけだから、日常的な「お世話」が求められる。食事を与える、風呂に入れる、運動をさせるなど、手間暇かけることを楽しむ内容。長期間食べさせないとハラヘリ、食べさせすぎるとブトリ、しばらく風呂に入れないとムシワキ、風呂でのぼせたり、運動をさせすぎたりするとバテリというよろしくない状態になってしまう。放置しておくとミイラになってしまうらしい。見たことないが。
この本は説明書。これといった秘密やコツが書かれているわけではないのだが、全体像が理解できてよかった。が、最大の購入目的は一冊にひとつついてくる特典ID。限定コスチューム、限定飴ちゃんセットをもらうことができる。特典チケットの有効期限は2009年10月末日。
・踊り子クリノッペ
http://gree.jp/?mode=static&act=page&page=ext_special_clinoppe
ラーメンズ・片桐仁のガンダム偏愛本。何かのファンである情熱を、他人が見ても楽しめるように表現できるというのはすばらしい。
この本、ガンプラを使ったコント?映像多数で構成されている。
たとえば、
・お中元に贈りたいガンプラを厳選せよ!!
・抱かれたいガンプラ
・ボーナスで現物支給されたくないガンプラ
・35万円ガンプラ製作ルポ
・W杯ガンプラ日本代表を作成せよ!!
・ガンプラで内閣発足!
・有名人とそっくりなガンプラ
・ガンプラの脳内チェック
・受験に役に立つガンプラ
・夏休みの工作として提出したいガンプラ
・端午の節句に飾りたいガンプラ
・ガンプラ組体操
などをカラー写真とテキストでお笑いコンテンツ化している。お中元に贈りたいガンプラの第1位はカニと一緒に箱詰めされたシャア専用ズゴックの写真。クリの詰め合わせ入ったゴッグは保護色みたいでしっくりくる、とか。つまりガンプラマニアでないと何が面白いのかさっぱり理解できない充実した内容。私は、ザク→グフ→ドム→ゲルググという量産メインストリーム系よりも、ザクレロ、ゾック、ギャンなどの"仲間はずれ"系が好きだが、そういうツボにはまる企画もいろいろ。
1/12スケールの巨大ガンダム(35万円)を組み立てる話があったが、いまや、お台場には実物大18メートルのガンダムが立とうとしている。ガンダムも凄いがそのファンダムはさらに凄いのである。
・ガンダム、大地に立つ-18メートルの等身大立像で都市再生をPR
http://shinagawa.keizai.biz/headline/539/
・HY2M HYPER HYBRID MODEL 1/12 RX-78-2 GUNDAM
・ザク大事典 All about ZAKU
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/-all-about-zaku.html
・MG 1/100 ズゴック MSM-07と愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV ジャブロー編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/mg-1100-msm07-the-origin-iv.html
・HGUC 1/144 MSM-10 ゾックと機動戦士ガンダムTHE ORIGIN
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/hguc-1144-msm10-the-origin.html
・機動戦士ガンダム THE ORIGIN、MGアッガイ、ターゲット イン サイト
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/the-originmg.html
・ガンプラ・パッケージアートコレクション
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-820.html
・俺たちのガンダム・ビジネス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-662.html
・ガンダム・モデル進化論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003091.html
壮絶な実話である。発表後、18カ国語に翻訳され50年間のロングセラー。
第二次世界大戦中にポーランド陸軍騎兵隊中尉の若者ラウイッツはソ連当局にスパイと疑われて、無実の罪で逮捕される。厳しい尋問と拷問の末、25年間の強制労働の判決を受けて極寒のシベリアの収容所へ送られた。このまま一生をここで過ごすわけにはいかない。そう考えたラウイッツら仲間6人組は警備の目をかいくぐって決死の大脱走を図る。
まさに世紀の"大"脱走であった。"シベリア"から"モンゴル"を抜け灼熱の"ゴビ砂漠"を縦断した上で"ヒマラヤ山脈"を越えてインドへ向かう徒歩で6000キロ超の逃避行。現代でも各区間の踏破は単体達成でも大冒険の筈だ。脱獄した6人はそれを何の装備もなしに、慢性的な飢えや厳しい暑さ寒さに耐えながら、ひたすら歩きでインドを目指した。想像を絶する苦難と大きな犠牲を伴いながら。
収容所から遠く離れてもロシアの影響力に怯えて6人は町に決して近づかない。人里離れた場所を迂回する。時々は巡礼者と偽り、田舎の村人の世話になることはあったが、基本的に1年半以上もの間、一行は人の目を避けながら独力で、たぶんこっちだろうという方向へ歩き続けた。旅の最終局面まで地図を持たない彼らは正確には自分たちがどこにいるのかを知らなかった。不安は倍増する。
何度となく遭難して全滅する危機に陥るが、仲間の協力と創意工夫ですべての困難を切り抜けていく。諦めなければなんでもできるという話なのだが、何かを諦めそうなときに自分を励ますために読んではいけない本かもしれない。くじけそうなときにこれを読むと普通の感性では"私にはここまで頑張れない、無理"とガクーリしてしまうだろうから。
壮絶な体験記が読みたいという人に間違いなくおすすめ。あとがきで椎名誠が脱出モノの3大作品のひとつとしてこの作品を挙げていた。他の二つも試してみようと思った。なお、著者ラウィッツはその後長生きして2004年に88歳で往生したそうである。よかったなあ。