Books-Misc: 2009年3月アーカイブ

・SF・ファンタジー映画の世紀 [別冊宝島]
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SF映画ファンの私としては80年代以降の名作は大方鑑賞済みだが、それ以前の作品となると要発掘ゾーン。この本は決して網羅的ではないのだが、SF・ファンタジー両分野の古典の名作をつまみ食い風にピックアップしている。

クラシック作品を丸ごと収録した別冊宝島DVD2枚つき。

■『ジェニーの肖像』

1948年のクリスマスに公開されたSFファンタジーの古典。

冬のニューヨークの公園で、男は不思議な少女ジェニーと出会う。数日後に再会すると少女は数年分も成長していた。男はやがて美しい大人の女性に成長していくジェニーと恋に落ちた二人だったが、時空の歪みの行く末に、悲しい運命が待っていた。とても幻想的で美しい物語。白黒作品かとおもいきや、途中で一部だけカラーが入ったりする。撮影当時としては前衛的な表現が話題だったらしい。

この映画に影響を受けた作品は数多い。恩田陸『ライオンハート』、梶尾真治『時尼に関する覚え書』、萩尾望都『マリーン』、吾妻ひでお『やけくそ天使』の「阿素湖の肖像」、テレビ番組 新トワイライトゾーンの『さまよえる魂』、世にも奇妙な物語の『喪服の少女』などがあるそうだ。

詩的、幻想的、文学的。

・ジェニーの肖像
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単体で販売されているDVDのパッケージ。

■『地球の静止する日』

1951年公開、最近リメイクされた名作。米国上空に飛来したUFO。厳重な警戒態勢の前にUFOは着陸、大型ロボットと人間風のエイリアン クラトゥが降り立つ。あらゆる国の代表者との交渉を望むクラトゥと、大国の利害調整に忙しい人類側の交渉は決裂、クラトゥは幽閉場所を逃げ出して、一人人類の社会に潜り込む。

社会的メッセージ性の高い映画なのだが、なによりUFOとロボットの造形に私は惹かれた。銀色でのっぺり。私の脳内のUFOエイリアンのイメージそのまま。監督は『サウンドオブミュージック』のロバート・ワイズ。

・地球の静止する日
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単体で販売されているDVDのパッケージ。

クラシックなSFファンタジー映画のおさらいによいムックだった。宝島別冊。

現代は当事者と専門家の発言が面白い時代だと思う。

今日は当事者の本人力たっぷりの2冊。今が旬。

・徹底抗戦
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逮捕から3年、ライブドア事件の真相を堀江貴文氏自身が語る。

フジテレビ買収騒動について

「フジテレビ買収は、テレビ放送にライブドアのURLを貼りつけたかっただけ。」

後任になった平松元社長について

「たしかに平松氏は事件の容疑者にはなりえない人物ではある。しかし、彼はネットのことも、ファイナンスのこともほとんどわかっていない人だった。周りが推したのかもしれないが、辞退すべきだったのではないかと思う。」

元経営パートナーの宮内氏の裏切りに対する憤りと疑問。

「彼らがこのようなことをした理由が、私には未だにわからない。ライブドアの上場によって私の保有資産が大幅に増えた(私の保有株の価値が高騰したから。当たり前だが、株価が上がっても、それを売却しなければお金が得られないのに)ことを、彼らは羨ましいと思っていたのだろうか?」

・本人 vol.09
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2ちゃんねる創設者の西村博之氏に3万字のロングインタビュー。(この号には他に堀江氏がコラムを寄稿している。)

訴訟で戦った"切込隊長"氏について

「結局いちばん得をするパターンっていうのは、とりあえず相手がなにもやらない限りは、こっちからは攻撃しないっていうことだと思うんですね。<中略>だから僕は、基本的には先に殴るような行為はしないんですが、切込隊長の場合はその瞬間のいちばん大きいメリットをとっちゃうので、長期的な損が発生する方向にいっちゃうんですよ。 それが僕と彼のうまが合わなかった最大の原因だ、ということだったんですけどね。」

対談企画を断ってきた梅田望夫氏に対して

「毎日新聞とはだいぶ違うけど、梅田望夫さんだってポジショントークでしょう。<中略>もともとあの人って、コンサルタントじゃないですか。だからインターネットはこれからうまくいきますよとお金を持っている人に言って、投資をお手伝いしますよ、その代わり手数料をくださいというビジネスでしょう。そうすると、インターネットは夢がありますって言わないと仕事にならないじゃないですか。」


ホリエモン氏とひろゆき氏。やはり特定の誰かについて感情を持って話す部分が強烈に面白い。二人とも自分が世の中にどう見えているかを強く意識して発言をするタイプに思えるが、本の中では敢えて他人を非難、批判している。波風立てまくっている。

実はこの性格、発言スタイルこそ彼らの強みなのではないか。二人が各分野で大きなことを成し遂げたのは、自分で立てた波風をメディアやコミュニティを使って増幅していったからのように思えるのである。

時代の寵児となった二人の人柄がみえて週刊誌的好奇心を満足させられる二冊。

・富士山
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細く優しいタッチの絵柄で人間のカルマを描く漫画。

富士山の神様は木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)だ。この美しい女神は天皇の祖先であるニニギノミコトと結婚するのだが、婚約時にサクヤヒメの実家からは姉のイワナガヒメもセットで送られてきた。サクヤヒメの父、オオヤマツミは、見所のある若者ニニギノミコトに娘二人とも妻にせよ、というつもりだったのだ。

ところがイワナガヒメがあまりに醜かったのでニニギノミコトは実家へ送り返してしまった。するとオオヤマツミは「イワナガヒメを娶れば岩のように永遠の生命が約束されたのに。おまえはコノハナサクヤヒメだけを選んだ。おまえとその子孫の命は儚いものになるだろう。」と言った。それ以来、人間の寿命は短いものになってしまった、そうだ。

人身事故を経験した電車の運転手と飛び込みそうな女の「中央線」、青木ヶ原樹海で自殺しようとする女二人の「樹海」、35年前の飛行機の墜落事故をめぐる悲しい男女の「乱気流」など、救いようのない人間の業を描く短編が7編。背景や舞台に必ず霊峰富士山がでてくる。文学作品的な厚みと深みのある内容。

カルマつながりというか、この本と同時にこれも読んだ。

・自殺サークル
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映画「自殺サークル」の漫画化だそうだが、原作者の意向で映画とはまったく違う話になっているそうだ。大勢の女子高生達がホームで手をつなぎ一列になって「いっせーのせっ」で電車に飛び込み自殺する衝撃シーンから始まる。たったひとり生き残った少女のまわりに次第に寂しい少女達が集まり始める。都市伝説ホラーの秀作。

・トンデモ電脳ゲーム伝説
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ゲームソフトと業界の歴史を裏話でたどる。

1983年にファミコンが発売されてから四半世紀。ゲームの世界には数々の伝説が生まれていった。

たとえば、

・ゼビウスで「バキュラに弾を256発撃ち込むと破壊することができる」

やったなあ、これは。時間的にもできるわけないのだが頑張った。破壊できないことが遠藤雅伸氏によって正式に否定されているとはじめて知った。しかも大変ロジカルに。

・【ゼビウス】バキュラは256発当てると破壊できる?
http://ameblo.jp/evezoo/entry-10105919686.html
遠藤氏のブログ。

・小説 ゼビウス―ファードラウト サーガ (fukkan.com) (単行本) 遠藤 雅伸 (著)
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ゼビウスは遠藤氏ご本人が小説も書いている。おどろき。

・「ドラゴンクエスト」復活の呪文に「すくうえあとえにつくすがつへいするまぢね」()スクエアとエニックス合併するマジね)と入力すると勇者がレベル22で貴重なアイテムを持った状態でゲーム開始できる。

これは偶然とはいえ奇跡。

・開発者の恨みつらみが隠しメッセージに潜む「えりかとさとるの夢冒険」

とまあこういう伝説や噂の紹介や検証の話が87本。

インターネットがなかった90年代前半までの時代の方が、こうしたユーザー同士の情報交換や伝説話が盛り上がっていたなあと思う。スーパーマリオブラザーズ、カラテカ、スペランカー、魔界村、ミシシッピー殺人事件、たけしの挑戦状、リンクの冒険...。昔のゲームはバグや開発者の盲点を突いたハード的なハック(といってもカセットを半端に刺すとかだが)を見つけること自体が楽しみ方だった。

裏技がネット検索で容易に見つかり、しかも、その裏技はそもそもメーカーが露見することを想定して盛り込んだ機能だったりする現代では、この本に紹介されているような面白さが消えてしまっている。

昔話の本であるが、ゲーム業界に進みたい学生も読んでおいたら良いかも。オヤジに話が合わせられるから。

・ザク大事典 All about ZAKU
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ザク(ZAKU II)、旧ザク、ザクII改、ザクキャノン、ザクタンク、ハイザック、ザクIII、ギラ・ドーガ、ザクウォーリア、ザクファントム、ザクキャノン、アウトザク、ザク満里奈ー、ディザートザク、アイザック、ボルジャーノン......。「ガンダム」シリーズに登場するモビルスーツ ザクの全バリエーションをマニアックに追究した大辞典。カラーでビジュアル資料が満載。

機動戦士ガンダム、Z、ZZ、逆襲のシャア、0080、0083、08MS小隊、MS IGLOOを実際に全話見て、機体名称、出現数、撃墜数、残骸数、やられ技などを集計したデータベース「ザク登場&撃破シーン一覧」が素晴らしい。ザク全登場数1022機、総撃墜数205機の徹底分析。ザクだけに注目してガンダムシリーズを見るべく作成された「ザク栄枯盛衰年表」、「ザク関連用語辞典」も圧巻。

ザク=雑魚の印象が強いが、リアルミリタリー兵器感のザクがいなければガンダムの魅力が半減してしまうのも事実。こうしてザク本は出たが、ドム本やゲルググ本は出ないだろう。私は小学校時代に並んで買ったガンプラ「量産型ザク 1/144」「旧ザク 1/144」を未開封で保有している。ごく初期の足首が動かないモデルだ。うふふ。

印象的な動力パイプ。あれは何なのか。中は何か気体や液体が流れているのか?それとも配線?。「各駆動部への動力を伝達するパイプ」だそうだが、それだけじゃわからない。2ちゃんねるにも古いスレが立っていた。

・動力パイプの謎・謎・謎
http://ebi.2ch.net/shar/kako/966/966903460.html
「あんなの飾りです。 偉い人にはわからんのですよ。 」っていうのがガンダムっぽくて名答でしたけどね。

この本では「旧ザクではすべて機体内部に収められている。その影響による機体稼働時間の短さや開発拡張性の悪さを改善するため、ザクIIではパイプ類を外部に配置したのである。」なんていうことも分かる。

・機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション 1 ザク編 復刻 (1)
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ザク三昧本としてはこれも良かった。


・MG 1/100 ズゴック MSM-07と愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV ジャブロー編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/mg-1100-msm07-the-origin-iv.html

・HGUC 1/144 MSM-10 ゾックと機動戦士ガンダムTHE ORIGIN
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/hguc-1144-msm10-the-origin.html

・機動戦士ガンダム THE ORIGIN、MGアッガイ、ターゲット イン サイト
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/the-originmg.html

・ガンプラ・パッケージアートコレクション
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-820.html

・俺たちのガンダム・ビジネス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-662.html

・ガンダム・モデル進化論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003091.html

・ザクII
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%82%AFII
Wikipediaも大変詳しい。

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