Books-Misc: 2008年8月アーカイブ
ガンダムのプラモデル。ガンプラ。
子供時代に熱狂した人は即買いするのが大人の見識というものだと思って、ちょっと高いのだが、迷わず購入。ここにガンプラの箱絵134点がカラーで完全掲載されている。解説文章をつけなかったのもよい編集方針だったと思う。純粋に鑑賞にひたれる。解説なんて何を書いても蛇足になってしまっただろう。ガンプラに言葉はいらない。
一枚一枚じっくりと間近で味わう。美術館の体験みたいだ。
実は残念なことに一部のパッケージアートは原画が失われていて海外版が掲載されている。海外版はほとんど同じなのだがよく見ると少し違うのだ。その違いは巻末で秘密が明かされている。
ヨーロッパ版の100分の1スケールのガンダムは、日本版のバズーカを抱えておらず、ビームサーベルを持っている。ガンキャノンはマシンガンを持っていなくて手持ちぶさただ。シャアザクもマシンガンを持たずに妙なガッツポーズをしている。ゲルググはマシンガンの変わりにナギナタを構える。この違いは何?
解説によるとヨーロッパでは玩具パッケージコードで銃器を描くことが規制されているらしい。だから箱絵からは銃器が消されてしまうのだ。変な話だが刀類のビームサーベルやナギナタは大丈夫なので、デザインが修正できる場合には持ち替えた姿に修正されているのである。
巻末には全ガンプラの発売データも収録されている。あれを作ったのは自分が何年生の時だったなんてことがわかって楽しい。永久保存版という言葉があるがこれはまさに永久に保存するのだろうなあという一冊。
・HGUC 1/144 MSM-10 ゾックと機動戦士ガンダムTHE ORIGIN
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/hguc-1144-msm10-the-origin.html
・俺たちのガンダム・ビジネス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-662.html
・ガンダム・モデル進化論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003091.html
この本はデータブックとしてもよかった。
・機動戦士ガンダム THE ORIGIN、MGアッガイ、ターゲット イン サイト
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004854.html
なかなか面白かった2冊。
福本伸行のヒット作「カイジ」が私はどうも好きになれない。あの命がけの賭博のキリキリした焦燥感はたまらない魅力なのだが、あの妙に単純化された人物の絵が、密な劇画タッチが好きな私としては苦手なのだ。もっとちゃんと描いてくれたらよいのにと思ってしまう。一方、かわぐちかいじの沈黙の艦隊は絵はまさに私の好みなのだが、ストーリーが壮大すぎて途中で飽きてしまった。
というわけで、福本伸行が原作を書いて、かわぐちかいじが作画というコンビは、私にとっては、よい組み合わせなのだ。2冊みつけたので連続で読んだ。
末期ガンで余命を宣告された定年間際の男が自殺を図ろうとしたそのとき、警察から一本の電話が入る。それは15年前に行方不明になった娘の遺体が発見されたという知らせだった。娘は何者かによって殺されていた。時効と余命のふたつのタイムリミットに追われながら、男は人生のすべてを賭けて犯人を捜す旅に出る。
雪山で遭難した友人同士の二人が嵐の中で死を迎えようとしていた。男は死の前の懺悔代わりに、友に対して過去の許されない罪を告白する。友はそれを聞く。二人は告白によって心を軽くして死ぬはずだった。ところが告白の終わった瞬間に、急に嵐はやみ視界は開けて、目の前には無人の山小屋があらわれる。生き残った二人に致命的な告白が重荷としてのしかかる。救助を待つ山小屋は疑心暗鬼と狂気の空間になる。
どちらも人間同士の心の葛藤が沸騰して地獄の様相を呈するまでの過程を描き出している。