Books-Misc: 2007年9月アーカイブ

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・Portraits of America (National Geographic Insight)
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ナショナル・ジオグラフィックで活躍する現役の写真家 William Albert Allardの作品集。165枚の写真が年代順で並ぶ。

Allardの写すアメリカは日本人になじみ深い東海岸や西海岸だけではない。むしろ、多くの写真はアメリカのど真ん中や片田舎をロケ地としている。アーミッシュやフッタライトなど宗教コミューンに暮らす人々の純朴そうな眼差しや、老いたが尊厳は失わないカウボーイの毅然とした姿、など、ニューヨークやサンフランシスコでは出会わない人々や風景ばかりである。無骨でナイーブなアメリカの全部入り濃縮バージョンというイメージ。

Portraits ofという通り、アメリカの多様な側面が集められている。特に閉鎖的で保守的な社会の人々の、日常生活や素直な感情表現が切り取られているのが興味深い。日本人の我々ではなかなか立ち会えないであろう瞬間ばかりがある。撮影対象の社会に長期間潜り込み、何千枚も撮影することで知られるAllardの真骨頂。

・ナショナルジオグラフィック NATIONAL GEOGRAPHIC.JP
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/mail/ptm/060407.html
ウィリアム・アルバート・アラードのロングインタビュー

ナショナル・ジオグラフィックのサイトにインタビューが掲載されていた。撮影技法がかなり語られている。 「アラードは人物の撮影には、大がかりな機材は使わない。28mmと35mmのごく一般的な広角レンズと、50mmと90mmのレンズを使い、たいていはレンジファインダー式のライカM6で撮影する。」。これってライカなのか!。

撮影のコツ。


■人物の写真を撮るなら、まずその人と親しくなることだ。木陰に隠れて望遠レンズで撮っていては、信頼関係は築けない。物理的に近づくことで力強い写真が撮れるというロバート・キャパの持論は、心理学的にも裏づけられている。あなたが信頼できる人物だということを、言葉やしぐさ、話しかたなどを通じて相手に伝えよう。

■ 構図の定石を知っておくことは大切だが、型にはまった規則に常に従うことはない。「画面を中央で2分割する構図はよくない」というのは単なる一般論で、自分の写真に役立つと思えば何でも試してみればいい。構図は直感的に決めるものだ。私の場合、現在では色や形、光と影の関係からおよその構図がつかめるようになった。

■ 写真を撮るのは、解きかたが無限にあるジグソーパズルを組み立てる作業に似ている。超広角レンズを使いこなすのが難しいのは、パズルのピースの数が多くなるからだ。画面にあらゆる要素をうまく取り込んだつもりかもしれないが、本当にそうだろうか?要素の間につながりがあるか、主題と周囲の要素の関連づけができているか、構図のバランスはとれているか、常に厳しい目でチェックしよう。

■ カメラを構え、さまざまなアングルを試してみよう。よく撮れた写真と真の傑作との差は、わずか数センチであることも多い。ひざをかがめてみたり、右や左に重心をずらしてみよう。視界を15センチ動かしただけでも、大きな変化があるはずだ。

・化けものつづら―荒井良の妖怪張り子
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息をのむほど妖艶でリアルな妖怪の造形写真集。京極夏彦の小説の表紙に使われているので、見たことがある人は多いはず。大きな写真で、さまざまな角度から見ることができる。その完成度の高さにきっと驚かされる。細部を見れば見るほど、生々しいのである。

表紙に使われた例:


・狂骨の夢 (講談社文庫): 本: 京極 夏彦
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・姑獲鳥の夏 (講談社文庫): 本: 京極 夏彦
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・魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫): 本: 京極 夏彦
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・化けものつづらの展覧会の写真記録
http://ebikani.org/youkai/hariko/hariko.htm

この本にでてくる妖怪は、木型に紙を重ねてはり最後に型を抜く、張り子で作られている。張りぼてであるが故に、たいへん脆いものであるらしいが、紙の持つ独特の質感が、女の艶めかしい柔肌、妖怪のぬめるような皮膚、ごつごつした角や牙などを完璧に再現している。再現していると言っても本物の妖怪は見たことがないわけだが、圧倒的な臨場感を感じてしまう。

少し高めの値段設定だが、印刷やデザインもよくできた写真集だ。京極 夏彦、諸星大二郎、水木しげるあたりのファンなら感涙もので、永久保存版的な一冊。夜な夜な眺めてうっとりできる。

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