Books-Management: 2012年6月アーカイブ

・スピーチの奥義
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「寺澤 芳男
1931年、栃木県佐野市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。野村證券副社長、MIGA初代長官を経て、'92年、日本新党の細川護煕代表の要請により参議院議員に立候補、当選。以後、経済企画庁長官、参議院外務委員長、東京スター銀行会長などを歴任する」という経歴の著者。

これだけの肩書を持っていれば、スピーチなんて何をしゃべってもいいだろうと思ってしまうのだが、

「しかし選挙演説やビジネススピーチの場合、ときとして聴衆の「あなた誰?」的な猜疑心を一身に受けながら話さなくてはならないこともある。これは難しい。自分自身がどういう人物であるかを語りながら聴衆の猜疑心を解いていく文脈が求められる。でないと聴衆は耳を傾けてくれないのだ。」

という苦労も語っており、肩書のある人も、ない人もスピーチの苦労には似たところがあるのだなと感心。講演者としても人気を誇る著者が語るノウハウは、品が良くて無理がなくて、実践しやすい。

たとえばサクセスストーリーは人気があるが、自慢話は敬遠される。さてどうするか。著者は「3人の恩人」の話として、自分の華やかな経歴を、恩人への感謝の話として、再構成した。結局、同じ事実を語っているようであるが、聴衆に受け入れられやすくなるし、何より印象がよくなる。

「聴衆の緊張をうまくほぐせたら、スピーチは八割方成功」「自分が言いたいことより相手が聞きたいことを話す」「「よく聞こえるささやき」がスピーチ力を高める」など、スピーチに臨む姿勢や、技術を自身の経験談にからめて紹介している。

一部にはやはりそれはあなたがVIPだからでしょ?と突っ込みたくなる部分もあるが、要するにある程度の社会的地位を持っている人向けに、特に役立つ本といえる。寺澤 芳男氏の自伝として読んでも面白い。

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