Books-Management: 2006年11月アーカイブ

「続ける」技術

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・「続ける」技術
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英会話、試験勉強、日記、手帳術、禁煙、ダイエットなどの習慣を続けるための方法論。

「物事が長続きすることやすぐに挫折してしまうこととあなたの「意志」とは、何の関係もありません。」

ポイントは、

「1 ある行動を増やす 2 ある行動を減らす」

にあるという。根性精神論ではなく行動科学で継続を達成するノウハウである。

継続したい行動(ターゲット行動)が起きやすく、その行動を阻害するライバル行動を起きにくくすることで、自然に継続できる、ということだ。行動のヘルプ(補助)を作る、動機づけ条件を作る、行動のハードルを低くするなど、具体的なケース例が多数提示されており、どうこのメソッドを生活に取り入れるべきかに詳しい。

周囲に継続を宣言し、日々ほめてもらう環境を作るというアイデアはかなり使えそうだ。特に家事労働などのシャドウワークは、ビジネスとしての仕事と違って褒める人がいないのでこの方法論が使えそうだ。

最近、家事や料理の内容をミクシイに頻繁に写真でアップしている主婦をみかけるが、友人知人の主婦が相互にコメントしている。継続のための環境としてネットコミュニティは使えそう。

米国のサービスの43 Thingsは、目標(10キロ痩せたい、恋人を作りたい、早起きしたいなど)を宣言した上でブログを書くコミュニティだ。みんなの目標がタグクラウドで表示されている。同じ目標を持つ人が多いと大きな文字で表示される。同志を簡単に発見して励ましあいながら、ブログを書くことができる。

・43 Things
http://www.43things.com/

仕組みづくりが重要という、この本のシンプルな方法論には共感した。毎日○○したい人におすすめ。

・「書ける人」になるブログ文章教室
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ブログの書籍化に取り組むアメーバブックスの取締役編集長で小説家の山川健一著。

ブログはしょせん日記だけれども日本の文学史は土佐日記や徒然草、枕草子などの日記、随筆に母胎を持つという分析からこの本は始まる。近代になって知識人が大衆に教え諭す上位下達式の難解な文学が流行ったこともあったが、今はその近代文学が力を失い、再び「女子供が平仮名でだらだら書く日記。オヤジのグチ。身辺雑記」の伝統に戻りつつある、ブログの爆発的広がりはその表れなのだと著者はいう。

ブログは高飛車に書くと炎上するし、謙虚すぎても嫌味になる。普通の人間である書き手が、どういう態度でのぞむべきか、作者のアドバイスがいい。

「大切なのは、自分の立ち位置をはっきり決め、優越感と劣等感の両方から自由になり、「普通の人間」として心を込めて文章を書くことではないだろうか」。

私もブログを日々書いていて大切と思うのは自意識をどうコントロールするかである。自意識を前面に出した文章は反発を買いやすいし、しばらくして自分が読み返して恥ずかしいものだ。逆に自意識を殺しすぎると、温かみがなく、懐の深さが感じられない文章になってしまう。著者は「暖かな無意識」という言葉を使っているが、書き手の人柄が、故意に押し出されるのではなく、自然とにじみ出るような自意識のバランス調整が重要なのだと思う。

このブログが長く続いているのは書籍やソフトウェアという他者の著作にコメントする形式だからだと思う。もし今日個人的に考えたことや政治経済や社会について時事評論を書くというテーマのブログだったら続いていなかったのではないかと思う。主観的過ぎるものも、客観的過ぎるものも、自意識の自己崩壊がおきやすいと思うからだ。

それでも個性の手触りこそ表現の核である。

「もっとも個別的なものこそが普遍にたどり着く。それこそが表現が持つ錬金術の秘密なのである。」

読者が1万人になっても特定のターゲット層10人や100人に向けたスタンスで書くのがよいと著者はアドバイスしている。

プロの小説家として文章術も語っている。接続語や語尾のバリエーションを豊かにし、改行や文章のリズムを工夫せよ、など。だが、この本の中心テーマは、小手先の文章術ではない。うまい文章を書くよりも、面白い内容を書き続けるための考え方が主体となる。

そして、編集者の視点でブログを書籍化するためのアドバイスが最後にある。プロフィールをできるだけ公開せよ、ブログ全体レベルに起承転結的な構造を意識せよ、より大きな作品のためのノートとしてブログを位置づけよ、など。

編集者の目からどう見えているか、が重要なのである。私はちょうどブログの書籍化という目標を達成したばかり。3年半かかってしまったが、この本のアドバイスを知っていたら、もうちょっと早かったかもしれない。

・詩人少年、社長になる ぼくが出版社をつくったわけ
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毎月読む書評雑誌「ダ・ヴィンチ」には後ろのほうに、新風舎の新刊紹介コーナーがある。私は最近このコーナーで社名を知った。まだ一般知名度は高くない新風社だが、実は、年間に2700点を超える書籍を出版しており、2005年に新刊の点数で日本一の出版社になった。

・自費出版が進化した!新風舎 本にする原稿いつでも募集しております
http://www.shinpusha.co.jp/

もともとは、15歳の少年が自分で書いた詩を世に出したくて立ち上げた小さな会社だった。従来の商業出版では作品を出しにくかった無名の表現者を支援したいという情熱で、出版不況の中で異例の急成長を遂げている。

出版点数が多いのは、著者と出版社が資金を出し合って本を作る「共同出版」というビジネスモデルをベースにしているから。地方にも直営店舗ネットワークも展開している。数年前に皇室で読まれているという報道で、人気に火がついた絵本「うしろにいるのだあれ」は新風舎の代表作である。

この本は新風舎社長のマツザキヨシユキの自伝。著者の出版への関わりは、8歳の頃に盗作でつくった絵本に始まる。詩や小説を書いたり、ラジオ番組を作ったり、同人誌を作ってみたりと、少年期から大学時代までを、さまざまな表現活動に取り組んだ。

こうしたプロフィールだけ見ると、学生時代に立ち上げた音楽雑誌の出版事業から、成り上がったヴァージングループの社長に似ているが、まったく違うのは、上昇志向が感じられないこと。会社を大きくしようとか、売れ筋ベストセラーを出そうとは、考えない人のようだ。いい本を作りたいの一心で仕事をしている。だからこそ1万人の著者が共同出版のコンセプトに賛同してこの会社から本を出したのだろう。

IPOやM&Aをゴールにしない起業物語がすがすがしい。

無名の著者の本をたくさん出版する。インターネットの話は出てこないが、ロングテール市場の先駆けベンチャーだったと言えそうだ。自分史を出したい、作品集を出したい、ブログを本にしたいというアマチュア表現者は増えているはずだから、目利きとプロデュース能力次第で、自費出版、共同出版の市場にはまだまだチャンスが広がっているのかもしれない。

8歳のときに盗作した絵本の作者の谷川俊太郎、イラストレーターの和田誠と新会社トピスカインクを立ち上げるところで自伝が終わる。この会社が具体的に何をするのか書いていないが、ヌイグルミの販売を始めているようだ。おかしな取り合わせに注目である。

・トピスカインク
http://www.shinpusha.co.jp/wahhahai/

面白い本だったが、ひとつだけ疑問が残った。なんで著者は自分の出版社ではなく、日経BP社からこの本を出したのだろう?。

・童女M
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著者が少年時代に書いた詩集。新風舎が復刊。

・ワッハワッハハイのぼうけん: 本: 谷川 俊太郎,和田 誠
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著者が少年時代に盗作した絵本。新風舎が復刊。