Books-Management: 2004年12月アーカイブ
会社や学校の面接についてのノウハウ本。面接をする方、受ける方、両者のために書かれている。受験、入社試験、プロジェクト採用、人事評価など幅広い面接に対応している。
■ありのままの自分をアピールしてはいけない
著者は外資系企業で人事部長として1000人のクビを切り、”クビ論”を書いてベストセラーになった人物。
著者にとって面接は狸の化かしあいであるようだ。ありのままの自分をさらけだしたりするのは愚の骨頂であり、良いところだけをうまく見せるための技術の数々が紹介されている。
「面接の達人」的技術は一通り知っている必要はあるがそのまま使ったら皆と一緒になるから、個性を発揮して差別化せよ、が基本であるが、面接官の求める個性=ありのままの自分ではないのだという。
伝統的企業や学校で応募者が多数いるようなケースでは、個性は逆に落とす理由となる可能性もあると分析されている。平均して優秀な応募者群の中から能力のない人を落とすための面接なのか、優秀な人を発掘して採るための面接なのか、見極めて対応することが大切とされている。
・ITmediaニュース:Googleのユニークな適性テスト、実は求人広告?
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0410/04/news008.html
Googleのように個性と飛びぬけた優秀さを求める企業もある。これどんな人が通過したのだろうか、大変気になる。
・ ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?
マイクロソフトのユニークすぎる面接問題。無敵会議に通じるものが...
■ダメージ・コントロール
一番、参考になったのは「イヤな質問」についてのノウハウである「ダメージ・コントロール」の技法。面接官は応募者に「イヤな質問」を投げかけることで本当の姿を見極めようとする。
たとえば自分の欠点や過去の失敗例を10個も挙げてみよという質問だ。これに対して、あらかじめ弱点を強みに言い換えたリストを準備しておくと効果的な受け答えが可能になるという。弱点は弱点として答えた後で、話の流れを強みに思わせるようにもっていくというテクニックである。
たとえば、この本から引用すると、
「
用心しすぎる傾向がある → 注意深く、正確さを大切にする人間である
まとまりがつかなくなることがある → 自由に、先入観にとらわれずに物事を考える方である
行動が遅いと言われる → 軽率な行動をさけ、注意深く行動する方である
ガンコなところがある → 一生懸命なところがあり、また首尾一貫しているとも言われる
思いやりにかけるところがある → 率直であり、直截的な裏表のない性格である
なんでもかんでもコントロールしたがる → 結果をとても重要視する性格である
」
といった具合。
普通、面接時には自分の強み、長所のリストアップばかりを考えがちであるが、確かに面接で困るのは弱点の方である。その対応策を用意しておくというダメージコントロールは効果がありそうだ。
読んでいて営業との共通項が多いように感じた。