Books-Internet: 2009年10月アーカイブ
はじめて勝間和代さんの本を読んだ。とにかくわかりやすい言葉で話す。何にでも、とっかかりを示して、読者のモチベーションを高める。そして時代の寵児の勢いを存分に感じられるエネルギッシュな新書。
この本は主にブログを使った自己実現の指南書だ。パソコン通信時代からの20年に及ぶネットコミュニティでの努力が、2007年くらいからの彼女の人気大ブレイクに実を結んだ。その歴史が「勝間和代ができるまで」として自伝的に語られている。
なぜブログなのか?。
「どのように自分自身をスキルアップし、ほかの人の役立つようになっていくかという、自分の人生戦略を策定していく際に、ブログを日常的に作っていくこと以上に役立つことはありません。なぜなら、ブログはいわば市場での自由競争にさらされているわけですから、そこの中で自分というキャラクターを立て、ほかの人に認知され、かつ交流を持つためには、戦略が必要だからです。」
集客力のある情報とは「とてもディティールに踏み込んだマニアックな情報か、あるいは最先端の情報」として、
私も、いわゆるアルファブロガーという分類をされる一人なのだけれども、大人気の勝間氏の考え方に共感するところが多かった。しかし、この国では出る杭は打たれる面もある。目立つ力と同時に必要なのが「めげない力」だと思う。この人は常人の何倍も打たれ強いというか、負のエネルギーさえ取り込んで成長していくパワーを持つ人のように感じた。
「そして、実はこの「自己承認欲求を満たす」ことは、私たちが幸せに生きる際に欠かせないことなのです。ふだん、人に批判的な人と、そうでない人を比べたときに、私が強烈に感じるのは、自分が満たされている人は、人の批判をする気持ちもないし、また暇もないということです。」
とか、リアルでも陰口はあるが本人に聞こえにくいのに対して、インターネットでは「陰口が可視化できてしまった」だけだから気にするなという。こういう境地こそ、勝間氏の強さの秘密なのだと思う。アテンション・エコノミーという自由市場では、勝間氏のように勝てる人と、負けてしまう人が明確になる。負のオーラとどうつきあうか、目立つ人の重要な心得であると思う。それで潰れてしまう人もいるのだから。
いまブログ界隈で起きていることを把握できるWeb2.0 Now的な本でもあった。現在進行中か、少し前に起きたドキュメンタリ的な記述が多くてライブ感に満ちている。聖幸さん、たつをさん、Smoothさん、そして小飼弾さんら、書評系ブロガーがネット上で勝間和代ブームを作りだしていった過程だとか、つい先日のTwitterのヒウィッヒヒー事件などが当事者視点で振り返られている。2009年の今、旬の本だな。
ITの仕事をしているのでしばしば取引先の人々から「橋本さんはiPhone使ってないんですか?」とよく聞かれた。
その度に「まだ普通のユーザーはiPhoneなんか使っていませんよ」「公式携帯サイトを見るとか、リッチコンテンツは見られないとか、普通のユーザーの気持ちを大切にしたいので、敢えてiPhoneにはしないんです。」といいながら「本当ですか」と訝しがられながら、iPod Touchでアプリを試してごまかしていた、わけですが...。
とうとうiPhone 3GSを買ってしまいました。
あの言い訳は何だったんだというと、何だったのでしょう。さようならクリノッペ。こんにちはセカイカメラ。
iPhoneと一緒に購入したのがこのムック。iPhoneの操作ガイドとおすすめアプリが全ページカラーで解説されている。そんな本は巷にいっぱいあるが、この本の魅力は、おまけに特製のシリコンジャケットが付属していて1575円であること。とりあえずiPhoneを買って、カバーをつけておきたいという需要にぴったりであった。
柔らかいゴム状なので、ポケットや鞄の中でのスリ傷予防には十分。対衝撃という点ではちょっと心許ない、かな。市販のごついジャケットと比べると、薄くて嵩張らないのがいい。液晶フィルムは別途購入して貼った。
液晶保護は必要なのだが、外装を守るジャケットって買ってすぐつけるべきなのだろうか?とふと思う。だってこれだとiPhoneの元々の姿が見えないではないか。傷がついてからジャケットを着せればいいという考え方もある。どうせジャケットを着せたら地のデザインは見えないのだから。どっちがいいのだか判断がつかないので、とりあえず着せておくことにした。
・ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」
元ライブドア社長ホリエモンと元2ちゃんねる管理人ひろゆきの12時間に及ぶ対談ログ。格差社会、政治、裁判、メディア、お金、ゴルフ、食事、恋愛、IT、教育、AV、風俗から子飼弾まで、大仕事の役割を終えた二人なだけに、もはや気張らず、何事にもあっさり、しかし、ばっさりと片付けていく。
Web進化論の象徴グーグルだって、こんな風に淡泊に料理されてしまう。
「西村 えぇ。サーバー利用コストが安いから強いっていうだけ。
堀江 それで、オバケサーバーでグレップ(テキストファイルから文字列を検索するプログラムの名称)みたいなことやっているだけ。
西村 まぁ、グーグルは、プロモーションが巧いですけどね。ほら、非営利企業っぽく見せるのが得意ですからね。」
かつて時代を席巻した梅田望夫氏のWeb進化論では、グーグルは超絶テクノロジー企業のように語られていたが、元プログラマの二人からするとグーグルの成功要因は「サーバーを置く土地代が安かったから」「サーバーのオバケを確保できたから」と簡潔に核心を突く。
ひろゆき氏はやる気がない様を装うのが好きであるが、随所で斬新な物の見方を披露するため、過激派であることがときどきバレしてしまう。そういうところが好きだな。
「西村 僕も変わった人は残した方がいいと思っている派なんですよ。極端な話、麻原彰晃って人には何千人という兵隊を作る能力があったわけですよね。あれ戦国武将だったら結構有名になっていたと思うんですよ。今の時代、そこまでカリスマ性を持っていて、人をコントロールできる人物って少ないじゃないですか。やったことは絶対に肯定できないですけど、見方によっては、学べる部分もあると思うんですよ。」
メディア慣れしている二人だけに、長丁場の対談でも基本的にボロは出ないのだが(編集もかかっているだろうし)、恋愛とか人生観みたいなところでは、根底にあるルサンチマンやコンプレクスが見え隠れするのが読み所。
「堀江 俺は自分の経験があるから、そういう隔離するルートを絶対作って欲しいと思うわけ。なんで、つまらない勉強をする田舎の小学校に行かなきゃいけなかったんだ、って思うからさ。」や「西村 教育のそもそもの目的って、上の人たちが命令したことを速やかに実行する部隊を作ることじゃないですか。」。日本の教育や社会の中で規格外の生き辛さを感じているようだ。
本書は全体的に、能力と自信があったが故に獣道を歩いてきた二人が、大衆が通る一般道の在り方を語っているズレも感じる。だが獣道もたくさんの獣が通れば太くなって一般道になるわけで、二人とも政治家になって政策としてやってみたら面白いんじゃないかと思う。政治の風向きも少しずつ変わってきているわけであるし。
・徹底抗戦(堀江貴文著)、本人 vol.09(西村博之特集)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/-vol09.html