Books-Internet: 2009年3月アーカイブ
インターネットやソーシャルネットワークの発達によって、今、企業と消費者を結ぶメディアリレーションの法則が大きく変化しようとしている。ネットで成功するマーケティングPRの方法論を語る米国ロングセラーの邦訳。ネットPR会社の老舗ニューズ・ツーユー社の平田大治氏(元"ブログ神")翻訳、ネットPRの国内第一人者 神原弥奈子社長が監修。
「何百万人もの人がメディアを通さずに直接プレスリリースを読んでいる。もはや人々に直接話しかけなくてはならない。」。
これはネット企業の経営者兼ブロガーとして同感だ。今時はプレスリリースを出す目的はメディア記者の目にリーチすることだけではない。出せば検索に引っかかるから一般読者も読んでくれるのだ。SEO対策にもなる。ブロガーも記事に引用しやすくなる。
だからプレスリリースは記者以外も想定して書くべきである。業界記者のマニアックなツボを突く必要はないし、業界では常識の専門用語で埋め尽くしてもいけないのだ。ニューズ・ツーユー社では、マスコミに向けて発信するのが「プレスリリース」、インターネット上のマスコミも含めたステークホルダーに対して直接発信するのがニュースリリースと区別しているという。
テクノロジーマーケティングでは"ゴブルディグークを使うな"という警句にも感心した。ゴブルディグークとは「次世代」「最先端」「フレキシブル」「堅牢な」「ワールドクラス」「スケーラブル」「使いやすい」「重点計画」「マーケットリーディング」「業界標準」「革新的」「ユーザーフレンドリー」。こういう言葉はなくても通じる、いや、ないほうが通じるものだ。こうしたメディアやブロガーへの有効なアプローチ方法が、海外でのエピソードを交えて紹介されている。
記者との関係性についてはこんな記述があった。
「売り込む前に、相手の書いた物を読もう」
「一人の記者に絞る」
「記者がブログを持っていたら、それを読んで、コメントを残し、トラックバックしよう」
個人的な話になるが、私は先日ある企業から「情報力」というテーマで講演を頼まれた。パソコンやネットを「外部脳」として徹底活用しましょうという内容で、結構ウケた。後日個人ブログに会社で聴いた話がおもしろかったと書いてくれた人もいた。
講演が終わってから、私を呼んでくれた担当者とランチをしたのだが、彼は私のブログをちゃんと読んでくれていた。さすがだ。的確なコメントをされるので私はとても楽しかった。ただ私は楽しかったのだが、担当者氏はなにか物足りない表情をしている。
帰ってから謎が解けることになる。なんと彼は以前より「外部脳」をタイトルにしたブログを書いていたのだ。す、すいませーん。私は事前にそれを把握しておいて講演でもランチでの会話でも、そこをもっと話題にすべきだったのである。大反省だ。
まさに関係者総ブロガー時代の到来である。
もう油断がならない。
取材を受ける人ではなくて、取材をする記者がブログを書いている場合がある。ちゃんと取材してもらうには、お互いがブロガーである可能性を意識し、両者がお互いのブログを読んでおくべきなのだ。インタビューはInterーViewと書く、互いをちゃんとみることだなんていうが、インタビュー成功の秘訣は互いのブログを読んだ状態で始めることだと思う。本当に。
さて話が変わるが...。
この本の出版のきっかけになったのはニューズツーユー社の取締役の石谷さんだそうだ。石谷さんは著名なブロガーであるが、ブロガーにインタビューしてまわる名物企画の「連載いしたにまさきのブロガーウォッチング」を連載している。
このたびめでたく私がインタビューを受けることになった。
この取材は互いのブログを熟読した上で臨んだまさにInterーViewセッションになった。出来はどうでしょう。読んでね、みなさん。宣伝オチ。