Books-Internet: 2007年6月アーカイブ
数年前、私は友人・知人にメッセンジャーで「やっぱりさ、岡田有花、乙部綾子、マグラスみづ紀が御三家だよねえ」と言うと、「それは何の御三家ですか?」「誰ですかそれは?」という返事が返ってきたものですが、やはり私の目に狂いはなかった、のだ(謎)。
ITmediaNewsで活躍するライター岡田有花さんの本が出た。2003年から2007年初めまでの主だった記事が収録されている。さらに各記事には当時を振り返るコメントがつけられている。Webで読んだことがある読者にもサービス精神旺盛な内容。
私はリアルタイムにほぼ全部読んでいたのだが面白く読めた。
個人ブログ全盛の時代に、IT関連で大手メディア発の名物ライターで人気者になるというのは、珍しい存在だと思う。出版社在籍の立場を活かした取材ベースのニュース記事と、個人の感性を前面に出したネタ系コラムを、自身のキャラクターのもとで、巧妙にブレンドしているのがうまいなあと感心する。
まえがきで自身でこの本をこう説明している。
「この本は、ITニュースサイト「ITmedia」に掲載した記事をまとめたものですが、ITニュースにありがちな「ネットベンチャー」とか「Web2.0」とかいうカタカナのキーワードや、ヤフーやGoogleといったネット界の大企業は、ほとんど出てきません。その代わり「変」とか「好き」とか「寂しい」とか「幸せ」とか、人間くさくてちょっと格好悪い日本語と、はてなやモンスター・ラボなどといった小さなネット企業が、いくつも出てきます。主人公は、ネットを使う一人ひとりと、そのひとりに対して何かを届けようとする一人ひとり-----インターネットの「中の人」です。」
ニュースとしてのインタビュー記事が、いつのまにか濃い人物ドキュメンタリになっていくのが岡田有花さんの作風。読み物になっているので、複数ページになっていてもついついクリックしてしまう。話題の選び方、評価の姿勢にも独特の価値観があらわれているのもファンが多い理由だろう。言葉の端々から、社会性というか、マイノリティに味方して期待する志が感じられる。ひたむきな人にスポットライトを当てて輝かせるのが上手だ。ライターとして書き方にとても共感できる。
著者の記事をほぼ網羅した、ファンによるリンク集がある。
・IT戦士 岡田有花リンク集
http://www8.plala.or.jp/garden/note/it.html