Books-Internet: 2004年9月アーカイブ

「ネットの未来」探検ガイド―時間と言葉の壁を超える
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著者の歌田明弘氏は「ユリイカ」編集長。「インターネットは未来を変えるか?―現代社会を読み解く」「インターネットは未来を変えるか?―科学技術を読み解く」「本の未来はどうなるか―新しい記憶技術の時代へ」など「○○の未来」がこの人の最近の執筆テーマのようだ。

この本は2004年1月出版なので、その時期での最先端を解説したサイト。

・知っていると役立つツールやサイトを紹介すること
・先端技術やサービスに驚くこと

がこの本のねらいだと書かれている。長い解説がついた百式みたいな本である。

具体的には、

・InternetArchive
http://www.webarchive.org/
過去のWebサイトを網羅的に保存したデータベース。URLを打ち込めば、過去の日付のサイトが閲覧できる。インターネットのタイムマシン。

・Alexa
http://www.alexa.com/
類似したサイトを検索したり、ページの人気度を調べたりが可能な検索エンジン。

・SETI@HOME
http://setiathome.ssl.berkeley.edu/
P2P分散コンピューティングであなたのマシンで宇宙からくる信号を解析し、宇宙人のメッセージをみつけようプロジェクト。

・GoogleLabs
http://labs.google.com/
Googleの実験上。ネットの最先端を垣間見ることのできる場所。

のような、ネットの技術の可能性を感じさせる先端的サイトが、呆れるほどたくさん紹介される。専門家の平易な解説で見所がわかる、インターネット観光ツアーの趣き。

百式やスラッシュドットなどを熟読しているネットウォッチャーにとっては、知っているサイトも多いはずだが、情報の抜けをチェックするという意味でも楽しめる本である。サイトの背景説明や位置づけが説明されるのも勉強になる。

こういう先端を紹介する本は難しいなあと読みながら思った。この本で紹介されたいくつかの実験的サイトは、既にネット上から姿を消していたり、ブログのようにすっかりメジャーになって新規性が感じられなくなったものもあるからだ。この本の賞味期限はあと1年くらいだろうか。出版から9ヶ月経過した今は食べ頃。日本の状況がいい感じに追いついていて、この本に書かれていることがわかりやすくなったと思う。

歌田氏が感じている可能性を知りたくて読んだが、それはこの本の目次に端的に整理されているようだ。要約すると、

・グーグルをはじめとする「検索技術」
・ウェブログやニュースサイト、「メディアの可能性」
・ネットアーカイブなど「時間を超える技術」
・機械翻訳、「言葉を超える技術」
・P2P、「人と人の間を超える技術」

ふむふむ、やはり、ここらへんが可能性なのだなあ。

Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選
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■ブログの改造方法を100本収録

オライリーのGoogleHacks、SpideringHacksに並ぶ、ハック本の逸品が登場。日本のブログ系ハッカー集団が、100個のブログ改造法を伝授する。国内ブログのプログラミングをリードしてきたBulkfeedsの宮川氏NDO Weblog(元@Niftyココログ担当)の伊藤氏の二人が中心になって集めた執筆陣はとにかく豪華で濃い。

この本はブログの初心者や、文章を書くだけの一般ユーザにはお勧めできないが、ブログのシステム自体に自ら手を加えてみたい技術系ユーザなら買わないでどうする的な内容。ブログにあんな機能を実装できないかな?と考えている人は、アイデアとヒント、コーディング参考例が満載。

私が注目したHacksは、以下の3つ。

・HACK#31 HTMLからパターンマッチでRSSを生成する
    動的に生成されたWebサイトのHTMLをパターンマッチでRSSに変換してみます

・HACK#69 BlogのエントリからAmazonアフィリエイトサイドバーを生成
    過去にBlogで紹介したアフィリエイト商品をまんべんなくサイドバーで「再」紹介するための方法を紹介します

・HACK#72 GoogleAPIでBlogサービスのシェアをグラフ化
    GoogleAPIによる検索結果件数をグラフ化することで、Blogサービスのシェアを計測します。

■著者宮川氏のおすすめ。

著者の一人宮川氏に聞いたところ、個人的お勧めは以下のHacksだとのこと。

Hack#50 OPMLをパースしてRSSをアグリゲート
    RSSの購読リストとしてOPMLを利用して、新着記事をHTMLメールで配信するRSSアグリゲータを作成します。

Hack#87 MSNメッセンジャーの会話ログをBlogにポスト
    インスタントメッセンジャーの会話ログは、インタビューやブレインストーミングのログとして最適です。MSNメッセンジャーのログをmetaWeblog APIでBlogにポストしてみます。
    
Hack#92 AMIPとWSHで今聞いている曲をBlogエントリに掲載
    mp3プレイヤーで「いまきいている曲」を、Blogエントリの末尾に”Now Listening”として載せてみます。

Hack#97 ベイジアンアルゴリズムによるRSS自動フィルタ
    SPAMフィルタなどで注目されているベイズ理論を使用して、RSSフィードの記事が面白いかつまらないか、自動で確率計算してみます。

■出版記念イベント Blog Hackers Conference 2004開催

で、私もこのブログで自作Hackをひとつここで紹介しようと思ったのですが..。

・Blog Hacks 発売記念イベント Blog Hackers Conference 2004 開催!: Blog Hacks - プロが教えるテクニック & ツール100選
http://hacks.bloghackers.net/archives/2004/09/blog_hacks_blog.html

こんなイベントがあるとのこと。私もご縁あってお手伝いしていますが、著者の二人に「私もゲスト参加させてよー」と頼んでます。うまく調整がつけば、当日、私もここで101個目のHacksをご紹介しようと思っています。会場でお会いしましょう。


以下、主催者発表のデータ:

開催概要

タイトル
   Blog Hackers Conference 2004
日時
   2004/09/15 (Wed) 19:30
会場
   デジハリ東京御茶ノ水本校 (住所・地図)
費用
   無料

協賛
   デジハリ
事前登録
   こちらのフォーム (shibuya.pm.org 内)よりお申し込み下さい。

プログラム
   現在調整中。随時発表します。
備考
   事前登録のない場合、入場をおことわりする可能性があります。会場定員に達し次第申し込みを締め切ります。
   
著者、寄稿者をはじめとする Blog Hacker によるプレゼンテーションを予定しています。開催まで間がありませんが、ぜひご参加ください。なお、書籍 Blog Hacks をお持ちでない方も参加可能です(会場で販売も予定しております)。

行列のできるメルマガ作成入門
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メールがテーマの会議主宰にあたって予習的に読んだ本。初心者向けだが、分かりやすくて、面白かった。

・高橋浩子ホームページ
http://www.t-cube55.com/cgi-bin/whatsnew/top.cgi

著者のサイト 読み物が満載

メールマガジンは大別して2種類あると思う。

A 個人が発行するもの(趣味)

B 企業が発行するもの(営利)

この本はAの趣味で個人を主な対象としている。もちろん、読者が増えてきて広告や商品販売を開始してBへと移行するメールマガジンのことも、成功例として取り上げられている。

今回のRE:会議ではメールがテーマであるにも関わらず、Aのメールマガジンがあまり話題にならなかった。先端ユーザの関心はブログやソーシャルネットワーキングに向いていて、相対的にメールマガジンは存在感が薄れてきているのかもしれないと感じた。

日本初の最大の配信スタンド「まぐまぐ」はAのタイプが29000誌集まる牙城であるが、開始以来の総配信部数の推移が公開されている。

『まぐまぐ!』まぐまぐデータ>まぐまぐ一般マガジン
http://www.mag2.com/magdata/magmag.htm
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総発行部数でみると2001年4月くらいと同じレベルにある。発行者数と読者数を見ても、同時期から横ばいに近い状況である。どうやらブームはこのくらいの時期で終わってしまったらしい。ADSLなどブロードバンド常時接続の普及によって、メールマガジンよりも、リッチな表現ができるWebに人気が移ったように思われる。

これに対してBの企業発行のメールマガジンは統計データはないが、今も増えているような気がしている。企業サイト構築のプレゼンでは同時にメールマガジンの企画も、というケースが多い。

■個人発行のメールマガジン成功の秘訣 ナレアイマーケティング

私も昔、Aタイプで、3万部のメールマガジン読者を集めたことがあるのだが、5年近く前のことなのでノウハウの移り変わりを意識して読んでみた。

この本では、最初に5人の成功者として1万部以上のメールマガジンを作った個人が登場する。

紹介されたメールマガジン:

・“あの”出す本見事に超ベストセラー!! 幸せとお金の専門家 本田健さん
http://www.aiueoffice.com/

・・「売れるしくみはこうつくれ」の通販業界の風雲児 岡崎太郎さん
http://www.it1616.com/

・創刊前から1万人の読者を集めた中小企業の正義の味方 吉本俊宏さん
http://www.akibare.net/

・ネットショップのメルマガを指導させたら日本一の 込山民子さん
http://www.win-and-win.net/

・1日2回配信の日刊メルマガ「日経でブレーンストーミング」のターレス今井さん
http://www.carriageway.jp/

読者の増加傾向としては、登録時にまぐまぐの新着紹介でドカンと増え、その後は地道に、大きなメディアの紹介を軸にして、階段状に増えていくパターンが多いようだ。これは昔とあまり変わらない。

メールマガジン同士での無料の相互広告が推奨されている。私の経験では、コンテンツ選びが大切だった。テーマがまったく異なるものでは意味がないケースが多かったが、読者層がマッチしていれば1000人以上を一度のバーター広告で得ることができた。協力は強力だ。

で、私はもうメールマガジンを当面発行するつもりもないので、長いこと語らなかった、読者増加の極意をひとつ告白する。個人発行のメールマガジンが一気に読者を伸ばすなら、濃い内容とともに「馴れ合い」である。人気メールマガジンをよく読むと発行者同士がつながって、よく紹介しあっているのを見ると思う。あれが読者数を確実に伸ばす最大の秘訣だ。

だが既に部数が先行したメールマガジンは馴れ合い関係になりにくい。まぐまぐ新着をチェックしてこれは伸びそうだというものを探し、開始数週間以内に感想メールを送る。そして部数の比率が違っても広告交換を行うことで、馴れ合いネットワークを先導していくことができる。無論、最初は戦略的な馴れ合いであっても、相手と気が合えば次第に本当の友人になることもできる。

馴れ合いは共同マーケティングなのだ。うまくいけば、やがて馴れ合いメール連合全体に共通の雰囲気が生まれる。この雰囲気に対してファンがつき始める。発行者同士もその雰囲気を共有して効果的な読者共有の広告戦略が立てられるようになる。

これが今も効果的なノウハウであることは、直接は書かれていないが、この本からも十分読み取れる。


また、企業のメールマガジンにはHTML形式も増えてきている。この本では最後に少しだけ触れられていたが、詳しいサイトがある。

・HTMLメールマーケティングガイド
http://www.html-mail.jp/

■メールマガジン発行支援ツール

幾つかツールも紹介されている。例えばメールマガジンのアドレスを把握して配信したいユーザ向けの配信ソフト「コンビーズメール」など。

・メール配信システムASP(2300円より) CombzMail
http://www.combzmail.jp/index.php?afid=iq4dyf1t

私も幾つか知っているのでここで紹介してみる。

【エディタ】

・製品紹介 - メールマガジン編集ワープロ aquanotes Coordinator
http://www.h2o-space.com/software/coordinator/detail.php

・メールマガジンや文書作りに最適な無料ライティングソフトTeraPad
http://korekini.com/soft-terapad.html

・ベッキー2 プラグイン お勧めメールソフト mailer
http://www.interq.or.jp/world/naoto/benricho/merumaga/plugin.html

【メールでアンケート】

・クリックアンケート
http://clickenquete.com/what.htm

【掲載URLの短縮】
・QRL.jp : URL圧縮、QRコード生成サービス
http://www.qrl.jp/


【文字絵】

・文字絵署名   
http://iwa.eheart.jp/mo/

・@@メールサインデザインコレクション@@
http://www.komasa.net/sign/
コピーして使える実用署名

【リサーチ】

・電子メールマーケティング2003
ユーザーに好かれる企業メルマガの条件とは ダイジェスト版
http://www.fri.fujitsu.com/cyber/mail2003/mail2003.pdf
とてもよくまとまった企業メールマガジンのノウハウ 富士通総研

・メールマーケティング実態調査2003
http://www.mailstyle.com/feature/2003report.html

・HTMLメールマーケティングガイド:ヤコブ・ニールセン氏、メールマーケティングのエッセンスを語る
http://www.html-mail.jp/News-01/000221.html
ユーザビリティの権威が語るメールマーケティング論

・顔文字やアスキーアート、5割が「メールマガジンには必要」
http://japan.internet.com/research/20020614/1.html

・ショッピング HTML メルマガ、52%が購読
http://japan.internet.com/research/20040123/1.html

・これがメールマガジンの効果測定
http://www.aimnow.com/STRG/STRG0311_1.HTM 
・平均の開封率 : 38.8%(前年比 3.2%増)
 ・到達率 : 88.5%(前年比 2.4%増)
 ・平均のクリック率 : 8.3%(前年比 10.7%増)

■いまどき読まれるメールマガジン

私は、というと、実はほとんど読めていない。百式、今日の雑学+、デジクリなど友人、知人が発行するメールマガジンは目を通しておかないとまずいので、過去ログをまとめ読みするか検索して読んでいる。他はほとんど読む時間がとれないので、ときどき開いてみる程度。

唯一毎日読んでいるのが有料のインプレスのウォッチシリーズ3誌。これサイトでほとんど全文読めることは知っているのだが、トップページから個別記事をクリックするのが面倒であるため、メールの価値があると感じて購読を続けている。記事全文がスクロールで読めるのが便利。仕事柄、業界動向を常に把握しておく必要があるので、有料もやむなし。

・impress Watch Headline
http://www.watch.impress.co.jp/

こんな状況の中、最近、読むリストに追加しているメールマガジンが幾つかある。アラート系である。

終わってしまったが良かったのがこれ。NHKのオリンピックメダル速報。

asahi.com : ネット最前線 : NHKの五輪メール、「民業圧迫」の懸念も 新聞協会
http://www.asahi.com/tech/asahinews/TKY200408310265.html

日本人選手がメダルを取る度にメールがリアルタイムに携帯に飛んでくる。野球は3イニングごとに結果を知らせてくれた。期間中はとても楽しめた。

もうひとつはライブドア未来検索のアラートメール

・未来検索livedoor アラート
http://sf.livedoor.com/alert/

ブログを検索して、登録したキーワードに合致する新着があればメールで教えてくれる。自分の名前や近所の地名などを登録している。情報の発見にとても便利。

・読みたい内容や作者の本がメールでいち早くわかるアラートサービス - める?くる!ブックナビ
http://www.gimix-web.com/bknavi/

登録キーワードが合致する新刊書籍が出るとメールで教えてくれる。


RE:会議でアルトビジョンの椎葉さんがタイミングの重要性を言われていたが、こうしたアラートメールはタイミングメールである。メールの最後にキーワードに関連する賞品の広告などが入っていたら、結構買う人は多いのではないだろうかと、思った。

関連:

読んでいないといいつつ、旬なメールマガジンは捜索中。幾つかこれは!というものをご紹介。もし私が今もメールマガジンを続けていたら、こういう方々とナレアイたい。

・日刊「小島章裕の企画“生”ノート
http://www.witem.co.jp/mailmagazine.htm

・ウォートン発 マーケティングコラム
http://www.mag2.com/m/0000102770.htm

・オシャる技術
http://www.zeel.jp/og/
オシャる技術は待ち構えて読んでいます。待っている唯一のメール。ミズノンノ最高!

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