Books-Education: 2011年4月アーカイブ
「「ワークショップ」とは、まだまだ聞き慣れない言葉かもしれない。もともとは「共同作業場」や「工房」を意味する英語だが、ここ数十年の間に、「先生や講師から一方的に話を聞くのではなく、参加者が主体的に論議に参加したり、言葉だけでなくからだやこころを使って体験したり、相互に刺激しあい学びあう、グループによる学びと創造の方法」として欧米から世界中に広がってきた。」
今のように未来の不確実性が高いときほど、分析的アプローチよりも創造的アプローチが活きてくるものだと思う。教育や企業活動の場で、ワークショップ=参加体験型グループ学習の人気が高まってきたのを感じる。私もこの本が出た2000年初めころから、ワールドカフェなどのイベントを主催するようになった。最近特に頻度が増えている。
コミュニケーションの中に解決を見出すワークショップを、著者は「人にとっての根源的な喜びを内在した魅力的な方法」と説明しているように、参加者の満足度が高く、アイデアも広く受容されやすいものが多く出てくる。こたえをつくりだすワークショップは、数学の問題は解決できなくても、社会的な解決法は話し合いで作りだすことができる。
アート系、まちづくり系、社会変革系、自然・環境系、開発教育系など、国内、海外のさまざまなワークショップが紹介されている。「絶望と再生のワークショップ」「つながりを取り戻す」などドラマチックで精神性の高いワークショップ、瞑想や野外体験を含めた体を動かすワークショップも多くあって、もうちょっとビジネス系のワークショップしかみていない私には新鮮だった。
ワークショップにおける議論による創造には「共有」、「拡げる」、「混沌」、「収束」という4プロセスがあることや「知恵も力も関係の中から生じる」に深く納得。ワークショップを活動に取り入れてみたい人、ファシリテーションに悩んでいる人におすすめ。