Books-Economy: 2010年3月アーカイブ
JALの経営破綻と敗戦処理は大きな問題だが、これからのグローバル市場での格安航空会社(LCC)の市場競争でも、日本は敗戦濃厚のようだ。
「日本の航空自由化が遅れたために、日経キャリアのコストは世界のレベルからかけ離れてしまった。キャセイやシンガポール航空など、アジアの大手に比べて2倍、エアアジアに比べて5倍も高い。2割、3割ならばコストの削減で対応できるが、コストを2分の1や5分の1に引き下げるには、コスト構造や仕事の仕組みを変えなければならない。」
国内の格安航空のパイロットの平均年収が800万円に対して、JAL、ANAのパイロットの平均年収は2000万円前後。就労時間も少ないし、通勤は送迎タクシーがつく。一方で、人件費をはじめとする低コスト体質を活かしたマレーシアの格安最大手エアアジアは、格安どころか「400万席無料」という無料キャンペーンで話題をさらっている。それでも利益が出る。
「エアアジアの売上高はスカイマークより23%多いだけだが、営業利益は3.5倍もある。販売単価は58%低いにもかかわらず、1座席当たりのコストが63%も少なく、特に採算分岐点は、スカイマークが搭乗率72%であるのに対して、エアアジアは60%だ。」
このエアアジアXが10年度に日本に就航する。日本から世界へのハブ空港クアラルンプールまで1万円、そこからは世界のLCCに接続されている。世界の主要都市への格安旅行が可能になる。
・激安航空、エア・アジア日本へ マレーシア便1万円も
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012301000357.html
日本の格安航空会社はグローバルの"激安"を見るとまだまだ割高であるという視点が勉強になった。日本の国際化を進めるのに、これまで高かった渡航費を限りなく安くするというのは効果的な政策になると思う。渡航先の国に富と情報をもたらす人は、航空券を無料にする、くらいでいいのじゃないか。
格安航空のデメリットとしては、
・座席のスペースが狭い
・キャンセル料が高い
・座席指定を行わない
・機材繰りによる遅延が多い
・機内サービスがない
・手荷物の無料枠が少ない
・トイレが少ない
・欠航時のフォローがない
などが挙げられているが、バスや地下鉄みたいな気軽な交通機関にするには、まずは安ければいいような気がする。