Books-Economy: 2007年4月アーカイブ

1万円の世界地図

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・1万円の世界地図
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日本の格差、世界の格差を多数の統計データを使って解説する。世界と国内の経済状況を把握するための、とても有益な情報源。

国際比較というと気になるのは購買力平価である。マクドナルドのビックマックの価格を比較する、有名なビックマック指数というのがある。日本のビックマックは280円、米国では3.1ドル。この本の執筆時点でビックマック指数で為替レートをつくると、1ドル=90.3円になる。ビックマックで経済をはかると、東京は一人当たりの可処分所得でトップになる。

しかし、より広い商品・サービス(2500品目)で比較した場合、日本は10位に後退する。世界の可処分所得1位はスイスのチューリヒ、最下位がインドのデリーだそうで、そこには16倍の格差がある。住宅や教育などの支出も大きな差がある。これらの国々でのお小遣いとしての1万円の使い手は、何十倍も違いそうである。

国際間と同時に国内にも格差はある。所得の分配における不平等さを表す指数「ジニ係数」が紹介されている。発展途上国の多くはジニ係数が極めて高い。この係数は0〜1の間の値をとる。1は一人がすべての富を独占している状態で、0は全員が平等な状態だ。1位のナミビアは0.7を超える。0.2〜0.3が普通の所得分布らしい。0.3を超えると格差の大きい社会に分類される。現在の日本は0.314。まさに格差社会に突入していることが国際比較でも明確になった。

世界のGNI(国民総所得)を見ると日本は第2位の経済大国である。しかし国民一人当たりのGNIを出すと11位に転落する。日本人は勤勉で労働時間は国際比較でも長い。にもかかわらず、一人当たりGNIが低いということは、労働生産性が低いということである。OECDの労働生産性を調べたデータでは加盟30カ国のうち20位に位置する。

ホワイトカラーの生産効率を高めるIT化は日本は世界のトップクラスである。研究者も数は多くて世界第3位。研究費もそこそこある。しかし、実績評価のレベルでは日本の研究者は自慢できる状態にない。つまり、恵まれた労働環境にあり、いっぱい働いていているのに、生産性が悪いのである。

だらだら働いている日本の会社、最適化されていない経済構造が、日本の伸び悩みの最大の原因であると、データで再認識することになった。

この格差データブックを読んで、可能性を感じるのが今、大人気の仮想世界セカンドライフである。セカンドライフでは、世界中のプレイヤーが仮想通貨リンデンドルでバーチャルな不動産や動産を売り買いしている。労働して稼ぐこともできる。そしてリンデンドルを実世界のドルや円に交換するサービスがある。

考えてみるに、日本人の1万円が途上国の数十万円に相当するのであれば、仮想世界内での労働は、圧倒的に途上国のプレイヤーに有利である。セカンドライフで必死に働いて一万円を得ても日本ではお小遣いに過ぎないが、途上国のプレイヤーにとってそれは一か月分の生活費に相当してしまうのだ。これからは仮想世界へ出稼ぎという発想も生まれてくるかもしれない。

逆に考えれば、日本のプレイヤーは手持ちの1万円をセカンドライフへ投資することで、数十倍の労働力(ゲーム内の、だが)を手に入れることができるのだとも言える。アウトソースの場としてのインターネットという発想は、仮想世界でこれから盛んになったりするかもしれない。

しかし、結局のところ、このモデルでも途上国は出稼ぎができて助かるが、手持ちの金額の初期設定が多い先進国プレイヤーが最終的には儲かるという格差拡大の図式は変わらないわけで、世界の格差の解消にはつながっていかない気もする。

セカンドライフに限らず、インターネットこそ、世界の格差解決の手段になりうると思うのだが、そのためには市場メカニズム以外の発想が求められているのだなあ。この本にも何項目がでてきたが、生活の質、幸福感、価値観といった要素がカギを握っているような気もするのだが。

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