Books-Culture: 2013年1月アーカイブ

・江戸300藩 殿様のその後 [Kindle版]
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明治維新。大政奉還と廃藩置県により、各藩の大名たちは「お殿様」ではなくなった。明治、大正、昭和、そして平成と、元お殿様たちはどう生きたのか。末裔たちはいま何をしているのか。

著者は徳川宗家含めて幕末にあった約300の藩の最後の殿様たちのその後を調べまくった。ひとつの藩につき数行から数ページの記述であるが、かなり面白い。学校を設立したり、地場産業を興したり、元武士だから軍人として偉くなったり、さまざまな方面で活躍をしていた。

「本来、明治維新を革命とするならば、大名家は消滅すべき存在なのだが、そこが、明治維新の不思議な部分である。旧体制の代表的存在の大妙な抵抗勢力とはならず、むしろ近代日本の補佐的役割を果たしていく。」

皇室を支える、教育(学校設立など)、地方経済(地域産業振興)、政治、軍事(軍人として生きる)、文化の継承という6つの分野で、多くの元お殿様たちは活躍をした。「旧大名家は日本の近現代史形成の確かな一翼を担った存在だった」といえると著者は結論している。

徳川宗家や御三家などの大きな藩はそれなりに余裕があるのだが、1万石の小さな藩の殿様たちはかなり苦労した人たちも多かったみたいだ。サラリーマンとして、いろいろな会社で活躍した殿様が多い。

幕末の実態理解がすすむ本だ。

Kindleで読書。

・八重の桜 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
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NHK大河ドラマの毎年恒例のオフィシャルムック。前編となっているが、おそらく今年も
後編、完結編と3冊でる。オフィシャルなので編集段階で撮影済みのドラマの写真、配役紹介とインタビューがたっぷりある。毎週見る人はお茶の間に置いておくべき一冊。

綾瀬はるかが「『勝った側ではなく、負けた側を描くドラマなので、有名でない人たちがたくさん出てきます。大河ドラマにしては珍しいかも』って言われたんです」とインタビューに答えているが、今回のドラマは幕末の知る人ぞ知る人物の発掘がテーマになりそうだ。

ドラマのファンブックという側面だけではなく19世紀半ばの幕藩体制の弱体化から西洋列強の脅威、幕府の崩壊、明治維新にいたる歴史背景の解説もある。ここで八重の生涯が対応していて、

1845~1856 1歳から12歳 ならぬことはならぬ
1857~1868 13歳から24歳 幕末のジャンヌダルク
1869~1890 25歳から46歳 ハンサムウーマン
1891~1932 47歳から88歳 日本のナイチンゲール

とまとめられていた。ドラマもだいたいこの4部ということか。

ところで俳優の役柄への思い入れ部分ってどの程度、本人が書いているのだろうか。ちょっと文章がうますぎであり、優等生的な抱負ばかりであり、ちょっと疑ってしまうが、まあゴーストライターで当たり前か、私のライター倫理意識が高すぎるか(笑)。

今年の私の一番の注目はなんといっても八重の父親役の松重豊だ。昨年の『孤独のグルメ』の主演に強烈な印象があって、厳格なお父さん役なのに、黙々と食べる五郎さんに見えてしまう。

・新島八重 明治維新を駆け抜けた才女
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1732.html

・新島八重 愛と闘いの生涯
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1731.html

・幕末銃姫伝―京の風 会津の花
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/07/post-1677.html

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