Books-Culture: 2006年3月アーカイブ
本当に永久保存したい。マイコン世代におすすめ。素晴らしい。絶賛。
80年代の名機 NEC PC-8801のムック本。NECの開発者、有名なゲームの開発者、著名人ユーザのインタビューが盛りだくさん。”ハチハチ”が今も愛されていることがよくわかる。初代PC-8801の発売は1981年9月だが、全盛期はPC-8801mkII(1983)からPC-8801SR(1985)の時期だっただろう。
まだ16ビットのPC-9801がビジネス向けの機種と位置づけられていた時期で、ホビーユースのユーザは、8ビットのPC-8801を愛していた。私も最愛のFM-7に次いで、大好きだったマシンだ。FM-7やPC-8801がなかったら私は今の仕事をしていないのは確実だ。人生を変えた機械である。
そして時代は変わった。パソコンは愛されなくなった。ユーザ同士が自機を自慢したり、多機種を批判して喧嘩することはほとんど考えられない。かつては日常的にあった光景だった。思い入れのあったマイコンに新機種がでたときの胸の締め付けられるような敗北感、あれはなんだったのか。やはり、愛していたのだ。
そうした熱い思いを、当時のキーパースンたちが語っている。
第一特集で取り上げられるゲームはCDにエミュレータとともに収録されている。ブラックオニキス、ハイドライドがWindowsで遊べるのが感激であった。
以下 目次:
■座談会
・時代をリードしたゲームクリエイター、木屋氏&内藤氏による座談会
■インタビュー
・高校生プログラマだった赤松健氏
■【第1特集】いま蘇る!PC-8801懐かしの8bitゲームたち
・ザ・ブラックオニキス
・ファイヤークリスタル
・大打撃
・ハイドライドI
・ハイドライドII
・ハイドライドIII
・スーパー大戦略
・ハラキリ
・うっでぃぽこ
・リグラス
・ファイナルゾーン
・ドーム
・アーコン
■伝説の森田将棋その強さの秘密とは
・森田和郎氏インタビュー
■ゲームアーツ徹底研究
・ゲームアーツのプロダクト紹介
・ジー・モードの宮路武氏&池田氏の対談
・宮路洋一氏インタビュー
■PC-8801サウンドコンポーザー
■PC-8801解体新書
・PC-8801分解写真とハードウェアスペック解説
■デービーソフト
・8bitソフトにおいてワープロ、ゲームで有名だったデービーソフトにいたメンバーにインタビュー
・PC-8801用ワープロ
・主なゲームソフトの紹介
・開発苦労話など
■【第2特集】PC-8801ジャンル別ゲーム研究
・アクションゲーム
・ロールプレイングゲーム
・シミュレーション
・アドベンチャーゲーム
■PC-8801キーマンインタビュー
■ツクールシリーズの血統
・ツクールシリーズの進化について紹介
■ソフトハウス興亡の歴史 北海道vs九州
■日本ファルコム研究
・「イース」「ザナドゥ」などの名作ゲームを産み出し、PC-8801全盛期に不動の地位を確立した日本ファルコムの特集
■ログイン ゲームランキング
■アクションRPG研究
・PC-8801が産み出した独自ジャンル「アクションRPG」
■PC-8801データブック
・歴代のPC-8801機種紹介
・ログイン ゲームランキングの歴史
■ももいろPC-8801(袋綴じ)
・真樹村正氏インタビュー(「まりちゃん危機一髪」)
・ジャンル別ゲーム研究 エロゲー編
・マカダミアソフト(dbソフトの別ブランド)インタビュー
・もちつきかすみ
関連書籍:80年代のマイコン アスキー万歳!
・みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001 CD-ROM1枚(Windows 2000、XP対応)
楽しみにしていた2冊目もやはり面白かった。前作を超えている。
世の中には、諸事情あって公開できなくなった「封印作品」たちがある。封印の謎に元新聞記者が粘り強く迫るドキュメンタリである。
そこには国民的な有名作品も含まれる。
「キャンディ・キャンディ」
「ジャングル黒べえ」
「オバケのQ太郎」
「サンダーマスク」
まず私が驚いたのが「キャンディ・キャンディ」と「オバケのQ太郎」が封印されているという事実。私はふたつともよく見ていた親しみ深い作品だ。だが、これらの作品は現在、テレビ放映はおろか、単行本や関連製品の販売もできなくなっている。
キャンディ・キャンディは、原作者と漫画家が著作権をめぐりもめている。
原作者のサイトはこれである。
・Nagita Keiko Office Home Page
http://www.k-nagi.com/
「
みなさまにはご心配、ご協力をいただきながらそのままにしていたことお詫びしなくてはなりません・・・。
水木がこの件について話せば、結局、非難と嘆きになってしまうことが切なく、なるべくなら自然な形で静かに事がおさまることを願っていました。
しかし、いがらし氏はどうしても判決に納得がいかないらしく、最高裁判決から4年もすぎた今でも、相変わらず水木への誹謗中傷を繰り返しています。聞くたびに耳に熱湯を注がれる思いです。
キャンディのマンガ作品を愛し、忘れずにいてくれる読者の方たちの事を思うと、いたたまれず、原作者としてどうすればいいのか・・・苦悶は去りません。(これからも、ずっと。)
しかし、このような状況では水木は自分の気持を偽ってまで、マンガに手を差し伸べることはできません。水木の平安はもう見るのさえ苦痛になってしまったあのマンガの<絵>から遠ざかることしかないのです。
読者の人たち、ほんとうにごめんなさい・・・。
」
そして、漫画家のサイトはこちら。
・CCNET☆いがらしゆみこオフィシャルページへようこそ!
http://www.candycandy.net/top.html
二人が最高裁まで権利関係を争った結果、両者に著作権があるという司法の判断は下ったにも関わらず、二人の権利者の争いは泥沼化して決着できないでいる。第一章の特集ではその経緯と現状が解説されている。原作者への取材で当事者の声が聞ける。
フリーライターである著者の、関係者への取材活動は苦難の連続である。取材拒否が当然のようにあるし、喋りたくない相手に喋らせなければならない。差別問題と関係する「ジャングル黒べえ」の取材では、ある出版関係者から「業界人の目で見ると、あなたのやっていることは誰にとってもメリットのないキツネ狩りをやっているのと同じですよ」とまで警告を受けたそうだ。
今回の4つのケースでは、権利者間の感情的な争い、過去の不明瞭な権利処理、圧力を恐れた出版社の過剰な自粛などが原因となっている。そして原因には大抵、表と裏があるようだ。表というのはタテマエ的な説明である。裏というのは送り手側のできれば隠しておきたい事情である。そうした裏のある業界事情で封印は続く。おきざりにされているのは、各作品のファンである。封印の内情を地道な取材と考察で明らかにすることで、著者はこの問題に一石を投じようと、人生をかけて各章のテーマを追いかけている。
読み終わっての感想は「3冊目が読みたい」。
・封印作品の謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002818.html
・放送禁止歌
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001449.html
・案外、知らずに歌ってた童謡の謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003167.html