Books-Creativity: 2005年12月アーカイブ
CMプランナー、コピーライター、クリエイティブディレクター、アーティスト、建築家など、アイデアを仕事にするプロたち20人が、アイデアづくりのノウハウを語る。企画の仕事にかかわる人間にとって参考になる意見がたくさん。
キムタクと岸部一徳の富士通「FMVシリーズ」CMなどをてがけた多田琢氏の後味発想はいいなと思った。今度試してみたい。
「
だいたい、いつも扱う商品について「自分にとって理想的なCMをいま見た」と仮定することからはじめます。それを見た自分はどういう感覚になって、どういう気持ちになるのか、その後味だけをまず思い浮かべてみる。それから、その後味を味わうためには、どういうCMを見なければならないかと考えます
」
後味を判断基準に考えるというやり方、まるでアスリートのイメージトレーニングのようだ。
思いついたアイデアを話す作法を語ったのは、サントリーの「ボス」「モルツ」JR東海「そうだ、京都、行こう。」をつくったクリエイティブディレクターの佐々木宏氏。アイデアだしの会議では、思いつきをドンドン話すことが重要だとし、
まずは、
「全然関係ないんだけどさ」
「それって逆に言えば」(続けて、逆になっていない、言いたいことをいう)
と切り出して、言いたいことを言いあいなさいとすすめている。おもいつきを喋ることを許さないのが、日本の会議の悪いところだと指摘している。
クリエイティブの仕事において、アイデアの価値が日本では不当に低いとし、その原因を業界の構造にあると指摘したのは、「南アルプスの天然水」などをてがけた岡康道氏。
「
欧米ではメディアコミッションが日本の3分の1くらいしかないため、媒体をとったからといって、必ず広告会社が儲かるわけではありません。そのぶん、クリエイターがつくる広告のクオリティがフィーの多寡としてはね返ってくる。つきつめればアイディアの優劣で広告会社の利益が決まるわけです。
」
最初に大きなメディアの枠を電通・博報堂が買い占めてしまう、寡占市場の日本とは違う状況が、海外の広告市場にはあるようだ。
この本には実に多様なアイデア発想のノウハウが語られている。発想を生み出し続けるには、思考のバリエーションをいくつか持っていることも有効だろう。その素材が発見できる本。
・発想法―創造性開発のために
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003913.html
・企画がスラスラ湧いてくる アイデアマラソン発想法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000904.html
・「超」整理法―情報検索と発想の新システム
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003283.html
・「超」時間管理法2005
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002584.html
・創造学のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000846.html
・情報検索のスキル―未知の問題をどう解くか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000616.html
・分かる使える思考法事典―アイディアを生み出し、形にする50の技法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000725.html
・それは「情報」ではない
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000510.html
・デスクトップ発想支援ツール
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000139.html
・文書アウトライン作成支援ツール iEdit
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000317.html
・理想のアウトラインプロセッサを求めて
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000360.html
・現場調査の知的生産法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001804.html
・「挫折しない整理」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001794.html
・知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001734.html
・広告の天才たちが気づいている51の法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000686.html