Books-Creativity: 2005年2月アーカイブ
記憶の達人としてテレビ出演歴のある、イメージ療法心理カウンセラーの勉強術。
学習の努力と効果は必ずしも比例しないから、コツをつかんで短時間で効率よく学習しましょう、そのノウハウはこうです、という内容。奇をてらった方法はあまりなくて、正攻法な短時間集中学習の手法が幾つか紹介される。
■一夜漬けのノウハウ
人間の集中力の持続時間はせいぜい20分から30分程度であるというのが著者の持論。
そこで50分単位で英語と数学を学習する場合なら、
時間割:
01:00-01:50 英語1回目 Aページ → Bページ
02:00-02:50 数学1回目 Aページ → Bページ
03:00-03:50 英語2回目 Bページ → Aページ
04:00-04:50 数学2回目 Bページ → Aページ
という風に、各教科を入れ替えて、1回目と2回目では逆から学習していきなさいというアドバイスが参考になった。似たような工夫は、学生時代に私も試したことがあり、効果があったことを思い出した。
これがうまくいくのは、各回とも前半20〜30分しか集中力が働かないため、もし2回目もAページからBページの順で覚えようとすると、常に後半の定着が悪いからである。2回目を逆順で行うことで集中力低下による記憶量の低下を防げるという仕組み。科目を入れ替えることで飽きることも少なくなる。
学習で重要なのは記憶プロセスよりも、想起プロセスであるというのも、なるほどと思う。30分のうち25分を記憶に使い、5分は内容を思い出すのに使うべきだというノウハウ。
そうしないと勉強したのに何も覚えていないというありがちな罠に陥ってしまう。
■毎日十五分間を繰り返すのが効果的
集中力の続く10分、20分という単位は、学習にとって、効果的な長さであることになる。
「
たとえば英語の勉強を、一週間に二時間する人と、一週間毎日十五分間するひととでは、どちらが英語力がつくでしょうか?もちろん、後者ですね
」
短く、毎日繰り返すのが学習の秘訣だということになる。
電車通勤の時間など、細切れの時間がある場合、これをいかに効果的に使えるかが課題になる。まとまった時間がとれないから勉強ができないは言い訳に過ぎないと著者は断ずる。むしろ、期限のある短い細切れ時間をうまく設計することで、多忙な毎日の中でも、学習はできるという話。
問題はそうしたシンプルな反復学習にいかに耐えるかなわけだが、著者はその勉強の動機づけを紙に書き出せと勧めている。直接的で具体的であるほど良いらしい。例として「世間を見返してやる」「合格するとかっこいいから」などというのが出ている。よそいきの言葉でなく、自分に火をつける言葉を選び、はっきりさせなさいという精神論。
■速読の技術
ところで、昨年の今頃、私は速読練習に励んでいた。イベント「超本格会議」では当時の成果報告までしていた。
・超「本」格会議に行ってきました [絵文録ことのは]04-01/30
http://kotonoha.main.jp/2004/01/30books.html
その件に詳しい報告ページ
当時、最も参考にしていた本。
その後も速読は続けている。向いている本と向かない本がある。科学系は読み飛ばすと肝心の論理が把握できなくなるので向かないが、この本のようなノウハウ本はちょうど良い。200ページのこの本なら、だいたい1時間で読めるようにはなった。
重要なのは正確な眼球の上下運動と、滞留時間の短縮、視野の拡大(2行をいっぺんに読める)の3つの練習だなと1年後の今、結論している。この本には1行を3ブロックに分けて、3回の眼球移動で読めとアドバイスされている。そんな感じだなあと思う。
・速読・速解の技術―やっぱり使える「ポスト・イット」!!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000990.html
・「10分刻み」ニッチタイム(すきま時間)超勉強法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000836.html
・あなたもいままでの10倍速く本が読める
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000539.html