2008年04月08日
デスクトップをナパーム弾で焼き尽くすストレス解消 NAPALM
・NAPALM
http://www.fiastarta.com/NAPALM/
ナパーム弾でデスクトップを焼き尽くしたい気分の時に、デスクトップをナパーム弾で焼き尽くすことができるフリーソフト。起動するとデスクトップにNAPALMの文字が燃え上がる。マウスカーソルが発火するので、振り回すとそこらへんが炎上する。アイコンを炎上させることもできる。
これといった便利な機能はないから特に役には立たないのだが。
特筆すべきはナパーム弾炎上のビジュアル効果を徹底カスタマイズできること。炎上の激しさ、色合い、炎上時間、重力などを自分好みに変更できる。これがやってみるとかなり楽しい。
設定パネルのStyle&artの項目でLoadを選ぶと、演出効果のプリセットが多数用意されていることがわかる。戦争映画にでてくるようなリアルなナパームから、虹のように美しいレインボーナパームなどバリエーションがあって、20分くらい遊べる。
2008年04月07日
愛の空間
大変面白い。日本独特の文化である「性行為専用空間」の歴史学。井上章一が10年がかりで書いた傑作。好事家もここまで極めると新学問の開祖といってもよさそう。
敗戦後の時期、皇居前広場は男女の屋外セックスの盛り場だったという衝撃の事実の解説から第一章が始まる。旅館やホテルが空襲で焼かれて性行為の屋内空間の確保が難しく、庶民にもお金がなかったために、当時の若い男女は夜になると皇居前広場で抱き合っていた。朝日新聞には「いっそ都がアベック専用の公園をつくって入場料をとれば、皇居前なども荒らされず、アベックも気がねなくてよかろう。」などという意見が記事になったそうである。
「待合」「蕎麦屋の二階」「円宿」「ラブホテル」など明治から現代までの性行為専用空間の変遷を、メディアの記録や文学の記述を丹念に追うことで検証していく。野山での開放的な交接スタイルから、閉じられた空間での愛の交歓へと移行していく。プロの売春婦たちと客の愛の空間と、素人の男女の愛の空間が互いに影響を及ぼし合いながら、途中に「家族風呂」「鏡張り」「SMルーム」「電動回転ベッド」のような隠微な技術や文化を発達させてきた。
そして西洋のお城風のゴージャスな外観やメルヘン調のラブホテルが登場する。メディアは盛んに新しいホテルの意匠を取りあげた。一方でシティホテルも男女が愛をかわす場として利用されるようになる。戦後の経済発展に伴い、日本人の性愛空間はどんどん進化していった。「性行為専用の空間をもち独特の趣向をこらすのは、日本のみに見られる現象である。われわれが屋内を好み、その意匠にこだわるのはなぜだろうか」。
答えを出すのは簡単ではない。遊郭以来のプロの娼婦たち、素人の男女、メディア、空間を提供する経営者たち、警察といった人々の相互作用を通史的にひも解いて、作者は「場所にこだわった性愛の歴史」を提示してみせる。実に濃厚濃密な内容。
・性の用語集
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004793.html
・みんな、気持ちよかった!―人類10万年のセックス史
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005182.html
・ヒトはなぜするのか WHY WE DO IT : Rethinking Sex and the Selfish Gene
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003360.html
・夜這いの民俗学・性愛編
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002358.html
・性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004747.html
・武士道とエロス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004599.html
・男女交際進化論「情交」か「肉交」か
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004393.html
2008年04月06日
ブッダ 全12巻 漫画文庫
(読んだのは昨年末でしたが。)
実に8年がかりで手塚のブッダを完読した。
個人的な話だが8年前に会社を作ったときに、オフィスで息抜き用にと思って全12巻を買った。ところが仕事が忙しくて2巻までしか読めずいたら、すぐオフィス引っ越しになり、ドタバタで本を紛失してしまったのである。だから、長いこと私の記憶の中では「ブッダ」はブッダがほとんど出てこない不思議な漫画であった。
と、書くと未読の人にはわけがわからないかもしれないが、このブッダの生涯を描いた漫画は主役が途中で何度も交代する。中盤以降はブッダが主人公として一応活躍するのだが、冒頭からしばらくは、やがてブッダの弟子(あるいは敵)となる人間の話だったりする。読者はそれぞれの人物の視点に一度は感情移入を経験させられるから、後半でいくつもの支流が合流する大河ドラマとしての厚みが生まれるのだ。
手塚治虫は「ブッダ」で本当に描きたかったことって何だっただろうか、読み終わってふと考えた。ブッダの教えを読者にわかりやすく伝えることが目的だったとは思えない。確かに仏教の教義を噛み砕いて説明する部分もあるのだが、実はあまりそういう部分は作者の力が入っていないように思える。悟りを開いた後のブッダの行動はきちんと描くと説教臭いからかもしれない。
むしろ「ブッダ」の面白さは、ブッダを取り巻くわき役たちの野心と冒険に満ちたドラマにあると感じる。これらのわき役たちは仏典に登場する人物もいるが、純粋に手塚の創作キャラもいる。それぞれが主役級の熱い生き方をしているのだが、山場を越えたところで、あっさり死んでしまったりする。そういう登場人物の活躍と死の連続の物語構造が、仏教の教えである諸行無常と重なっている。手塚はそれを意図して全体を設計したのではなかろうか。
「火の鳥」級に読み応えのある一大傑作である。各巻末に寄せられた大物ファンたちの解説も価値。
・シッダールタ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005269.html
2008年04月05日
連合赤軍「あさま山荘事件」の真実―元県警幹部が明かす
群馬県下の山岳アジトにおいて陰惨な大量リンチ殺人を犯した連合赤軍の幹部ら五名が、昭和四十七年二月十九日、ここ南軽井沢「あさま山荘」に押し入り、管理人の妻を人質に、包囲の警察部隊に銃撃をもって抵抗するという、わが国犯罪史上まれにみる凶悪な事件を引き起こした。警察は、人質の安全救出を最高目標に、厳寒の中あらゆる困難を克服しつつ、総力を傾注した決死的な活動により、二月十八日、二百十九時間目に人質を無事救出し、犯人全員を逮捕した。」(「治安の礎」碑文より)。
事件発生時に私は2歳だったので、この世紀の大事件の記憶はない。事件を題材にした映画や小説を通して大人になってから全貌を知った。あさま山荘のドキュメンタリは何冊もある。警察庁特別幕僚の佐々 淳行氏が書いた本などが有名だが、この本は当時の県警本部第二課長が現場側の視点で綴っている。上層部の思惑や権力争いの代わりに、現場の淡々としたリアリティがあって凄味を感じる。
著者は事件を日誌的に記録している。<情勢の分析><警備方針><部隊配置><装備資材><重点実施事項><警備体制>などの項目で、簡潔に事態推移を記録する。人質をとっての籠城戦略の手ごわさが印象的だ。10日後に犯人全員逮捕と人質救出を成功させるものの死者3人、負傷者27人の犠牲を出した。
犯人一味の数は(警察は最後まで把握できなかったのだが)たったの5人。包囲する警察は1000人以上であった。「隊員の二十代の若者らに対して、『明日は死ぬかもしれないが、その危険な任務に就いてくれ』と命じて、それが計画どおりに遂行されること、それは考えてみれば実に大変なことだと思う」(警備本部長)。決死の覚悟の突入現場でどんなやりとりがなされていたのか、案外浪花節であったりするのだが、現代でも本当にそのような場面では、こんな風なのかもしれないな。
なぜ突然この本を読んだかというと、ベルリン国際映画祭では最優秀アジア映画賞と国際芸術映画評論連盟賞のダブル受賞の映画の予習のため。現在公開中。
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11914/index.html
若松孝二監督。
・あさま山荘事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%95%E3%81%BE%E5%B1%B1%E8%8D%98%E4%BA%8B%E4%BB%B6とても充実した記事。
2008年04月04日
失敗してもやり直す、しぶとさが特長のFlickrアップローダー
Flickrの有料会員である私は、写真データを2ギガバイトとか4ギガバイトとか、一度に大量にアップロードする。juplodrは欠かせないツール。機能やインタフェースは他のFlickrアップローダーと似たようなレベルにあるが、なにより便利なのはしぶといアップロード機能。
Flickrに大きなファイルを大量にアップしようとすると何時間もかかるわけだが、回線状態などの影響で途中で失敗してしまうことが多い。オフィシャルを含むほとんどのFlickrアップローダーは、1枚のアップに失敗するとそこで動作が停止してしまう。停止したら再開するようにユーザーは長時間のアップを見守っていないといけないのだ。
juplodrはエラーという弱音を吐かずに、黙々とやり直して動作を続ける。画像でないものをアップしようとしていましたエラーなどはすべての作業が終了した後に出る。だから、就寝前にアップロードをセットしておけば、朝には数ギガバイト分の写真がFlickrにあがっている。
2008年04月03日
土間の四十八滝
昨年、こんな芸能ニュースがあった。
・布袋、町田康さん殴る
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20070726-OHT1T00101.htm
「布袋と町田さんは旧知の仲で、布袋の曲の作詞を町田さんが手がけたり、布袋が昨年発売したコラボレーション・アルバムにも町田さんは参加している。趣味でともにバンド活動を行ったりもしているが、音楽活動を巡り双方の意見に食い違いが生まれ、トラブルとなったようだ。」
表現者としてエッジがたちまくる二人は実生活でもちゃんと殴り殴られるような仲なのだなあと感心した。作家として権威のある文学賞を総なめにしている町田康だが、その危険なパンクっぷりは本物なのだなと納得した。
これは第九回萩原朔太郎賞を受賞した詩集だ。中身はポエムというよりむき出しのソウル。それぞれ独白から個性的で強烈なドラマが立ち上がる。印象に強く残った作品の出だしを拾うとこんな感じ。
「あいつにかかったら自分なんかもう犬ですよ あれ買ってこいこれ持ってこいって追いまくられて で もう嫌んなって朝から仕事しないで魯迅ばっかり読んでたんですよ そしたら半田鏝で肉あっちこっち焼かれて折檻って感じで しかもあいつホモだったんですよ」(「俺も小僧」より)
「お車代二万円 これをしねしね遣えば、まあ、悪いけどはっきりいって二週間くらいわたくしは安泰 ところがそんなせこいことをわたくしはせぬ オッソブーコの材料代 それに二万円を全部一気に爽快に遣っちゃったい」(「オッソブーコのおハイソ女郎」より)
「経営会議で如何に叱責されようと俺は重役 常務取締役だ 兼、営業本部長だ へへんだ 羨ましいでしょ」(「その俺は重役」より)
体言止めとオノパトペを多用した独特のリズムの文体。声に出して読むことが前提とされているように感じた。あるいはラップミュージックの歌詞のようでもある。日本語の使い方にはこういうかたちもありえるのかという衝撃を受けた傑作詩集。
2008年04月02日
カラー版 カメラは知的な遊びなのだ
1 常にカメラとともにあるべし
2 バッテリーは常に切らさないように注意すべし
3 最初の1枚に、真実がこもっている
などと始まるチョートク流カメラ指南十二か条から始まって、カメラの購入アドバイスや正しい工業デザイン論まで、カメラを巡る薀蓄エッセイ集。ところどころに、撮影したカメラが気になる、雰囲気のあるカラー写真が満載。
カメラマン、カメラコレクターとしての芸暦が長い著者だが、まだまだ現役であって話は銀塩懐古趣味には終わらない。「容量の少ないメモリーカードを使うべし」「RAWモード使うべからず」などデジカメ時代ならではのアドバイスがいろいろとあるが、極めつけは「デジカメは1年で2万円分」だろう。(コンパクトカメラの話)
「デジタルカメラは、型遅れでも全然問題ありません。だって、デジカメは3年も使わないんだから。使っても1年半か2年で、それで次のに買い替えちゃう。今のデジカメってそうなんですよ。たかだか1,2年のために、7万円も出すのは嫌じゃないですか。ただし、3年使うならば、7万円ぐらいでもいいかな。つまり1年2万円分だとしたら、3年経ったら6万円ということでしょ。そういう減価償却の考え方をすれば、高いお金出してちょっと自慢しながら、3年楽しむというのもありだと思いますね。」
この「7万円」の、というのはGR Digitalあたりを指しているようだ。私のデジカメ遍歴でもだいたいコンパクトカメラは4万円前後の機種で、2年で(壊れて)買い替えている気がする。この1年で2万円というの数字はかなり適切なのかもしれない。
田中長徳氏は趣味道楽のカメラの人だから、スタイルが無粋なのは許せないらしい。ケータイのカメラについてはこんな風にこきおろす。
「なぜケータイが、カメラのメディアとしてダメか。最近のケータイって性能はいいんです。500万画素くらいあってね。ところが、あの格好がよくないんです。あれを、腕を突き出して撮っていると、「ケータイを持って写真を撮っている人」って意外には全然見えない。「ケータイを持って写真を撮っている人だけど、実はすごい有名なジャーナリスト」だなんて誰も見てくれない。今の世の中で、ケータイを持っている人の姿っていうのは「ケータイを持っている人」以上の存在にはなれない。」
この指摘はかなり正しいと思う。撮る姿がさまになるカメラ付き携帯というのをメーカーは開発すべきであると思った。
2008年04月01日
平面から立体造形をつくりだす知育ブロックのLaQ
4歳の息子がレゴの次にはまった立体ブロック。これを始めると動かない。
大人の私の第一印象はレゴに比べて面倒そうだなあという、どちらかというとネガティブなものだった。小さな、平面的なパーツを組み合わせて立体を作る。汎用的な部品の組み合わせのレゴと比べると、LaQは上と右をくっつけるパーツ、上と左をくっつけるパーツ、上と下をくっつけるパーツのように、パーツの種類が多い。それが最初は面倒そうに感じる原因なのだが。
息子につきあって隣で私もはじめてみると、これがなかなか奥が深くて面白い。平面を組み合わせて立体を作るという原理が、立体で立体をつくるレゴの原理とは違うため、まったく異なるタイプの造形が産み出せる。LEGOを一通り遊んだ後に試すと一層楽しめるブロック遊びといえそう。
上は適当に悪魔?のような形を作ってみた例。
LaQは付属の設計図や市販の本を参考にすると非常にかっこいい造形をつくることができる。
さらに公式サイトには多数の作品の設計図がPDFで公開もされている。
・ギャラリー
http://www.yoshiritsu.com/html/new_sample/new_sample.html