2006年03月30日
知識と推論
知識情報処理、人工知能研究の素晴らしい入門書。
この本の扱う「知識」とは「人によって認識され、明示的に記述された判断の体系」のこと。人によって確認された「事実」、日常的に使う「ルール」、「法則」、「常識」、「ノウハウ」、「辞書」などをさしている。そして「推論」とは「既存の知識を組み合わせて新しい知識を作ること」と定義される。
こうした知識には次の5種類のカテゴリがある。
1 宣言的知識と手続的知識
2 理論的知識と経験的知識
3 浅い知識と深い知識
4 ドメインの知識とタスクの知識
5 オブジェクト知識とメタ知識
一方、推論には3つのカテゴリがある。
1 演繹と帰納と発想推論
2 完全な知識に基づく推論と不完全な知識に基づく推論
3 オブジェクトレベルの推論とメタレベルの推論
こうした定義で、知識を扱う推論システムを構築するために、必要な概念や操作の仕組みが総合的に解説されている。薄い本だが無駄がない。”考えるコンピュータ”をどう作るか、基本知識が集約されている。知識表現、論理式による情報処理、代表的な人工知能のモデル、状態空間による問題解決法など、目次は以下の通り。
第1章 はじめに
第2章 問題の表現と探索
第3章 論理による推論
第4章 基本的な知識表現と推論
第5章 ルールを導く推論
第6章 仮説に関する推論
第7章 あいまいな知識に基づく推論
第8章 類推と事例ベース推論
第9章 時間に関する推論
第10章 法律における推論
知識表現やオントロジーについては、言語やフレームワークの紹介が少しあるが、実装レベルの話はあまりない。説明のほとんどは論理式で記述される。飽くまで実装の前に、基本をおさえるための良書。知識、推論だけに特化している貴重な本である。
Web2.0の次に、Web3.0があるとすれば、それは情報のレイヤーのひとつ上、知識のレイヤーを扱うものであると思う。メタデータが情報に意味を与え、Webサービスがサーバ間での情報の統合や変換を実現する。その後には「考えるコンピュータネットワーク」の時代、知識情報処理の時代が到来すると思っている。
Google、Yahooを超えるものを作るヒントがこの本に隠されているような気がした。
・メタデータ技術とセマンティックウェブ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004304.html
2006年03月29日
開発者のための実装系Webソースコードマガジン CodeZine(コードジン)傑作選 Vol.1CodeZine BOOKS
・開発者のための実装系Webソースコードマガジン CodeZine(コードジン)傑作選 Vol.1CodeZine BOOKS
まだインターネットがなかった頃、趣味独学でプログラミングを勉強するのは、今よりもずっと大変だった気がする。まず周りにパソコン(マイコン)ユーザがいない。聞く手段もない。書籍も少ない。だから、問題に突き当たり、一度止まってしまうと、一人悶々と悩んでいた記憶がある。
学習としては一人で悩んだ時間も価値があったとは思う。しかし、ひとつの問題解決のために1ヶ月や2ヶ月は、コーディングが止まってしまっていた。Webでサービスを公開し、ユーザの意見を取り込みながら作りこんでいくような、リアルタイム実装には向いていないやり方だと思う。
実装で大切なのは一人で悩まないことな気がする。
CodeZine BOOKSは、言語や目的ごとに整理された、コミュニティ参加型のプログラミング情報サイト。ほとんどの言語とツールについて、解説記事とサンプルコードが大量に投稿されている。参加者数は12000人を超えている。
・プログラミング・開発者・ソースコード CodeZine
http://codezine.jp/
このサイトでの人気記事40本をムック化した第1弾がこの本である。
概要:
1 Java編(JakartaPOIでExcel形式の帳票を出力する
外部のRSSフィードを自サイトで公開する
iTextを利用してJavaからPDF形式の帳票を出力する ほか)
2 Windows編(.NETによるプラグイン機能を持つテキストエディタの作成
DataGridにComboBoxを表示可能な列を作る
.NETとAIでスパムボットに対抗する ほか)
3 Web&Tools編(ADOdbでサクサクDBアクセス
モジュールを使わないシンプルなアクセスカウンタ
コマンドの出力をtop風に表示させるtopless ほか
Codezineのサイトには、印刷機能ボタンがあって、記事ごとに使われた回数が閲覧数と並んで表示されている。ネット時代とはいえ、紙に印刷して落ち着いて読むと頭に入りやすいものだ。この紙の電子化ならぬ電子情報のパルプ化はかなり意味があるように思えた。興味がない記事も紙だと飛ばさずについつい読んでしまう。知識を広げるのにも役立った。
この号ではJavaと.Netの話題が中心だった。PerlやPHPの特集も出ないかな。
関連:
コード解説記事は手元において整理しておきたいとも思った。
JavaScriptのサンプルコードをたくさん集めて収録し、検索できるフリーソフトをみつけた。JavaScript Collectorには、Webプログラミングでよく使われるJavaScriptコード例が、キーワード別に200個登録されており、検索も可能だ。ずばりのコードが見つかれば、コピーアンドペーストですぐ使える。Codezineもこんなアプリケーションになったらさらに便利だと思う。
・JavaScript Collector
http://www.greencow.se/jsc_index.shtml
2006年03月28日
2005年度 年間オススメ書籍ランキング ベスト20冊
今年はこの企画、ずいぶん遅くなってしまいました。
昨年末に下記のランキングを公開しましたが、
・参考:2005年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004116.html
このあとに続けてオススメリストの公開をする予定でいたのですが、なかなか決めることができないでいました。自分の中での順位をつけるというのは難しいものです。
2005年1月1日〜2005年12月31日までの期間にこのブログで書評した本(約200冊)の中から、オススメ書籍ベスト20冊を紹介します。昨年と同様ヘビー級とライト級という2系統のベスト10です。
この分類に厳密な定義はないのですが、ハードカバー中心で深く考えたい本と、新書・文庫中心で軽めのテーマの本という意味です。
順位とタイトルをクリックすると書評に飛びます。表紙イメージをクリックすると直接アマゾンに飛びます。
■ヘビー級のベスト10
【1位】 暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004028.html
暗号学の歴史は各時代の最高の知性たちの頭脳戦の歴史
【2位】 神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003679.html
3000年前まで人類は現代人のような意識を持たず、右脳に囁かれる神々の声に従っていた、という途方もない仮説。
【3位】ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002797.html
古代から現代までサイエンスの世界に革新をもたらしてきた10の理論を、1章各30ページ程度で解説する
【4位】プリンストン高等研究所物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003621.html
真のプラトン的天国:知識の限界をめぐる科学小説
【5位】成長の限界 人類の選択
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003701.html
持続可能な社会とは「将来の世代が、そのニーズを満たすための能力を損なうことなく、現世代のニーズを満たす」社会である
【6位】喪失と獲得―進化心理学から見た心と体
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002945.html
人類はなぜいまのような性質を持っているのかについて、進化論の視点から、多様な考察を行った24編のエッセイ集
【7位】古事記講義、口語訳古事記 完全版
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003755.html
記紀の面白さはエロチックでプリミティブでミステリアスな物語であること
【9位】万物理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002774.html
すべての自然法則を包み込む単一の理論、“万物理論”が完成されようとしていた。
【8位】明日は誰のものか イノベーションの最終解
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004017.html
優良企業はその優良さ故に失敗するという理論の集大成。
【10位】脳のなかの幽霊
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003130.html
脳の中の幽霊は私たちの認識に大きな影響を与えている
■ライト級のベスト10
【1位】 決断力
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003627.html
将棋という固有のゲームについての感覚的な記述が多いのに、科学的な情報論の知見として読むこともできる極めて面白い本。
【2位】 日本のお金持ち研究
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003412.html
本のお金持ちの実態を徹底調査
【3位】会社は誰のものか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003567.html
タイムリーなテーマだった。
【4位】「超」整理法―情報検索と発想の新システム
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003283.html
時間軸とコンピュータ活用で分類しなくても検索できる超整理法
【5位】伝わる・揺さぶる!文章を書く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002952.html
・伝わる・揺さぶる!文章を書く
「自分の書くもので人に歓びを与えられるかどうか」
【6位】頭がよくなる本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003692.html
脳の使い方を変えることで、潜在能力を最大限に発揮する学習法
【7位】 すごい会議−短期間で会社が劇的に変わる!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003427.html
会議したけれど何も起きないのは最悪、すごいことが起きるのが最高。その最高な状態のための秘訣リスト
【8位】アースダイバー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003694.html
東京の無意識を探るスピリチュアルな旅
【9位】逆風野郎 ダイソン成功物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003886.html
サイクロン(遠心分離)掃除機で、革命的な大成功をおさめたイギリスの天才デザイナー ジェームズ・ダイソンの自伝
【10位】ハーバードからの贈り物
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003080.html
ハーバード大学ビジネススクールでは最終講義で教授が、これから世界に羽ばたく卒業生に向けて特別な贈る言葉を話す伝統がある。
番外編:
・Encyclopedia Prehistorica Dinosaurs: Dinosaurs
担当クラスの有志一同から、素敵なプレゼントをもらいました。
2006年03月27日
戦争における「人殺し」の心理学
こんなテーマだが、読む価値がある素晴らしい本である。
著者のデーヴ・グロスマンの経歴。
「
米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役後、Killology Research Groupを主宰、研究執辞活動に入る。『戦争における「人殺し」の心理学』で、ピューリツァー賞候補にノミネート。
」
この本は米軍学校で教科書として使われている。
人は戦争で敵を前にすると、銃を撃てないし、弾は当たらないという事実にまず驚く。
多くの戦争で銃を使う兵士たちのうち発砲したのは15%〜20%であった。8割の兵士は発砲しないで戦闘を終える。理論的には命中率50%の状況で発砲しても、一人を倒すのに数十〜数百発を要する。8割の発砲しない兵士たちは、決して怖気づいて戦闘不能になっているわけではない。弾薬補充や仲間の救出などに回って、撃つより危険な任務をこなそうとする傾向があるという。
なぜそうなるのか。そこには深い人間心理が隠されている。
精神的に弱いわけでもなく、訓練が未熟なわけでもなかった。人は人を殺したくないのだ。特に一対一で、相手が見える距離ではほとんどの人間は殺す行為を回避しようとする。銃剣やナイフ、素手での殺人をできた兵士は、実際の戦闘ではほとんど存在していないという調査もある。戦闘機の空中戦でも敵のコックピットが見えてしまうと、大半の操縦士は発砲できない。それをためらうことがない”生粋の兵士”1%の戦闘機が4割の撃墜数を占めているという。
戦車のように複数の人員で操作する武器、長距離砲やレーダー操縦の爆撃のように、一対一での殺人を意識しないで済む場合の発砲率はほぼ100%になる。権威者の命令や集団行動下では撃ちやすい。この本には引き金を引き、人を殺した兵士の体験談が多数引用されている。
「
私はぎょっとして凍りついた。相手はほんの子供だったんだ。たぶん12から14ってとこだろう。ふり向いて私に気づくと、だしぬけに全身を反転させてオートマティック銃を向けてきた。私は引き金を引いた。20発ぜんぶたたき込んだ。子供はそのまま倒れ、私は銃を取り落とし声をあげて泣いた。
ベトナムに従軍したアメリカ特殊部隊将校
」
そして、人を殺した兵士は嫌悪感、罪悪感、重度のトラウマに悩まされる。第2次世界大戦では、50万人以上が精神的虚脱で兵士として働くことができなくなり、除隊処分になった。戦争とは人を殺すストレスとの戦いなのである。
しかし、ベトナム戦争以後では、発砲率は95%に劇的に高まった。発砲時の殺傷率も高くなった。こうした人間心理を研究した上で、米軍は兵士の訓練方法を変えたからである。条件付けを行い殺人に対する抵抗感をなくすように洗脳を始めたのである。
そうした研究に関わった著者の苦悩の深さがこの本からも伝わってくる。この本には殺人に対する人間の心理の動きが多角的に分析されている。どのように仕向ければ人が人を殺すかが詳細に書かれている。読んでいて恐ろしくなる秘密である。仕事上の研究とはいえ著者もこうした知識が、戦争以外で使われないことを深く願っているようだ。
この本の邦題は「戦争における「人殺し」の心理学」だが、英語の原題は「戦争と社会における...」である。著者は現代のマスメディアには人殺しのメッセージが多く登場する状況は、ベトナム以後の米軍の殺人訓練の手法と似ていて危険であると問題提起をしている。
アマゾンのレビューにも絶賛コメントが多いが、この本は戦争における人殺しの実例から、人間存在の本質へと深く切り込む洞察に満ちた素晴らしい本だと思う。「殺人本」に素晴らしいという形容詞を使うのは少しためらわれるのだが。
2006年03月26日
俺流amazonの作り方―Amazon Webサービス最新活用テクニック
・俺流amazonの作り方―Amazon Webサービス最新活用テクニック
Amazon Webサービス(AWS、ECS)を使って、自前のサイトを作りたい人向けの開発ガイド。開発言語はPerl。商品の検索、類似商品の表示、商品カテゴリの表示、リスト情報の利用、ショッピングカーとの操作など、Webサービス経由でAmazonのあらゆる機能や情報を取得して、自分のサイト上に組み込む手法が示されている。最新の技術情報やコーディングノウハウがたくさんみつかって役立つ。
Amazonの情報は膨大で、商品画像、価格情報、ユーザレビューなど使える情報が豊富にある。短いコードを追加するだけで、自分のテストサイトが、情報でにぎわう。コードを試しながらワクワクしてしまう。さあ、何ができるだろうか?。
実はそのアイデアが結構難しい。
Amazonの機能をWebサービス経由でフルに使って自分のサイトに実装できても、アイデアがなければ、単にAmazonのコピーサイト、劣化サイトを作り出すに過ぎない。Amazonというサイトは長年のユーザフィードバックで、既にかなりよく作りこまれている。その完成度を超えることは真正面からでは難しい。
著者は、Amazonにはない魅力を持つサイトを作成するために、次のような戦略を提案している。
・Amazonとほかのサイト情報を組み合わせる
・特定の利用者にターゲットを絞る(セレクトショップ
・情報を加工して表示する(ランキング推移のグラフ表示など)
米国のWebサービスの開発者向けのブログがこうした創意工夫をワールドレベルで見られて楽しい。
・Amazon Web Services Blog
http://aws.typepad.com/aws/
このブログには「Cool Sites」カテゴリがあって、AWSを使ってユーザが開発したサイトが紹介されている。まさにAmazon Webサービスのショウルーム。
・Amazon Web Services Blog: Cool Sites
http://aws.typepad.com/aws/cool_sites/index.html
3つほど面白いと感じたサイトをピックアップしてみた。
・Track Amazon price changes With RSS Feeds
http://www.rsstalker.com/
指定した商品の価格の推移をRSSとして配信してくれる。値段が安くなったら買おう思っている商品があったらチャンスを見逃さない。
・AMZ Dashboards
http://www.amzlists.com/amazondashboards/main.cfm
Amazonにおける人気商品ランキングや、ユーザ評価の星の分布、肯定的評価と否定的評価の数などを時系列でグラフ化する。
・S M A R K E T S :: Salesrank Markets
http://www.smarkets.net/
SmarketsはAmazonで販売されている商品を仮想的な株式とみなし、売り上げランキングを株価とみなす。ユーザは売れそうな商品の株を売り買いする。新製品がどれくらい売れるかを予想するゲームなので、マーケティングを仕事にする人間にはいいトレーニングになりそうだ。
関連:
・Amazon アソシエイト・プログラム ブログ
http://aws.typepad.com/assoc_jp/
2006年03月25日
デジカメ写真の公開用のお化粧が直感的にできる 額プチ
・額プチ
http://nakasendo.com/seedea/
デジカメ写真の枠をぼやかしたり、中央を丸く切り出したり、サイズの拡大縮小を行ったりの、お化粧処理を実に簡単にできてしまう画像処理ソフト。処理したい画像を読み込んだら、メニューから加工パターンやサイズをクリック選択する。
一般的によく使われる縮小サイズだとか、枠の縁取りデザインが登録されているのが便利。縁の厚みを何ドットにしようなどと悩む必要がない。
適当に選んでいくだけで、素材がちょっとハイセンスになった感じがする。「mixiのフォトアルバムや、ヤフオクの出品などに最適です。」と作者さんがおすすめ用途を挙げている。今後、このブログでも写真公開の際に、使ってみようかな。
2006年03月24日
ズバリ要約
テキストを入力すると指定文字数に要約するソフトウェア。1980円。
日本国憲法 前文を要約してみた。
要約技術はSematics社の技術を使っているとのこと。
・Sematics Inc.
http://www.sematics.co.jp/
結果表示では重視したいキーワードをクリックで指定して、再度要約処理をやり直すことができる。文章の入力は、テキストファイルの直接読み込みに対応している。機能はほぼそれですべてなシンプル仕様。
いろいろな文章を試してみたが、向いていると感じたのは、
・官公庁の長い文書
・プレスリリース
・長い論説記事
・文系の学術論文
であった。
次はこれを応用して、2ちゃんねるのログを要約し、要点解説サイトを自動生成する「ズバリまとめサイト」なんてでないかな。
2006年03月23日
ブランド王国スイスの秘密
スウォッチ・グループ オメガ ブランバン ブレゲ リシュモン・グループ カルティエ ロレックス パティックフィリップ ネスレ・グループ ABB 航空スイス クレディ・スイス UBS ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ チューリッヒ・ファイナンスサービシズ スイス再保険
これらはすべてスイス企業のブランドである。高級時計、金融、食品会社、保険など内容は多彩だ。
スイスの人口は730万人であるが、スイスの株式市場に上場する企業の株式時価総額を人口で割ると、12万8千ドルで世界第1位になるという。この数字は米国では5万8千ドル、日本は5万9千ドルであり、スイスがいかに資本主義を濃縮しているかがわかる。ブランドがスイスという小国の経済を世界トップクラスにのしあげてきた。
スイスの数々のブランドの成功は偶然ではない。これら成功したスイス企業は傘下に数多くのブランドをそろえる「ポートフォリオ型」のブランドマネジメントを採用してきたことに特徴がある。たとえば、オメガ、ブレゲ、ラドー、ロンジンといった高級時計ブランドはすべてスォッチグループである。スォッチグループは18のブランドを傘下に持つ。カルティエ、ピアジェ、アルフレッド・ダンヒル、モンブランはリシュモングループのブランドだ。コーヒーのネスカフェ、調味料のマギー、パスタのブイトーニ、飲料のミロ、ミネラルウォーターのヴィッテルはネスレの傘下のブランドである。
日本型ブランドマネジメントでは、企業は他のブランドを持つ企業を買収すると、多くの場合、統一ブランドに統合してしまう。その結果、元のブランドが持っていた価値を失うケースが多い。
日立や富士通やソニー、パナソニックやナショナルなどは、世界的知名度を持つブランドであるが、あらゆる製品を扱っているために、ブランドの中身のイメージが湧きにくい。超高級品もあれば廉価な普及品もひとつのブランドに収まってしまっている。最近では、セブンイレブンとイトーヨーカドーとデニーズが「セブン&アイ」というブランド名に統一されてきている。看板を見ただけではさっぱりわからない状態になっている悪い例として、この本でも挙げられていた。
スイス企業のポートフォリオ型ブランドマネジメントは、個々のブランドが持つイメージや顧客を維持することを考える。ブランドの特徴を明確にし、ブランド同士が競合にならないように巧妙に差別化を行っている。スイスのビジネスマンは、こうした創意工夫によって、少ない人口でも、現在の経済的豊かさを築いてきた。いまやスイスは国旗さえもブランドの一部となっている。
この本ではブランドマネジメントの他に、特に詳しく銀行守秘義務制度によるスイスの銀行の繁栄が分析されている。この制度によって、匿名性を守りたい世界の資産家から巨額のマネーがスイスに集まってきている。マネーロンダリングや脱税といった犯罪の温床と批判されながらも、EU統合に際しても、スイスはこの制度を強行に守り通してきた。スイスの高付加価値型経済の実現は偶然ではないのだ。
著者は日本の進むべき未来がスイスにあるのではないかと自論を展開する。日本企業はこれまでは「良いものを安く大量に」をモットーに製品・サービスを提供してきた。しかし、価値観が多様化しニーズが変化した今日ではスイス流の「良いものをいかに高く売るか」に路線を変更すべきではないかと提案している。
スイスという国は一般に永世中立国で美しい自然に恵まれた観光国というイメージがある。だが、歴史的には天然資源に乏しく、国境を接する国が多いために侵略もされやすく、厳しい状況に置かれた貧しい国だった。スイスは、そうした否定的な要素を逆手にとってプラスに変えるアイデアと、それを実行に移すための独特の政治制度や社会制度を持っている。
日本はコンテンツ、知的財産を活用して経済再生すべきだという意見があるが、スイスのブランド立国政策は確かに見習える部分が多そうだなと感じた。
・模倣される日本―映画、アニメから料理、ファッションまで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003155.html
2006年03月22日
量子が変える情報の宇宙
大変面白かった。
原題は
Information The New Language of Science
科学の新しい言語 情報とは何か?
古典理論から最新の量子力学まで情報論の歴史と最前線が語られる。
■物質世界と情報
「ブラックホール」の名付け親である偉大な理論物理学者、ジョン・アーチボルト・ウィーラーは、科学の根源的な疑問「ビッグクエスチョン」を5つ設定した。
・いかにして存在したか
・なぜ量子か
・参加型の宇宙か
・何が意味を与えたか
・ITはBITからなるか(ITはInfoTechではなくて”それ”、実在の意)
中でも最後のクエスチョンは「真のビッグクエスチョン」とされ、ウィーラーはその意味を「”IT”すなわち物質世界は、その全体あるいは一部分が、”BIT”、すなわち情報から作られている」と語っている。
20世紀までの物理学では長い間、物質の最小構成単位やエネルギーとは何かが主な問題であった。物質の正体を暴くべく、分子や原子、電子といった極小の構成単位が次々に発見されていった。その正体はエネルギーとして記述された。アインシュタインの方程式 E=MC^2も、Eはエネルギーである。物質の皮をどこまで剥いていっても、古典力学系では構成単位に「情報」は見当たらなかった。
ところが量子力学の登場により、ミクロの世界の振る舞いは情報論的に記述しないと理解できないことが共通認識となった。量子レベルの存在は、確率論的に振舞う。たとえば原子の核の周りを回る電子の位置は、確率的にしか特定できない。観測技術の問題ではなく、それは本質的に確率的な存在であるからである。こうして量子力学という場で、確率という情報(BIT)が、実在(IT)とはじめて接点を持ったのである。
■情報とは何か、定量化をめぐる議論
では、情報とは何か。
情報の定義として古典的なものに、シャノンが通信理論の中で定義した情報量の概念が挙げられる。通信経路を流れるビットの量が情報量であるとする定義である。この定義に従えば、短い文章より長い文章の方が情報量がある。テキストより映像の方が情報量があることになる。シャノンの情報量は通信経路上のビットを数えるため「ビットの数え上げ」とも呼ばれる。
このやり方では、情報の質が測れない。たとえば株式取引をする人間においては、次に確実に高くなる株式の銘柄コード4文字がわかれば、それ以外の情報はいっぱいあっても無駄である。通信経路を流れるビット量では測れない情報の質が問題になる。
シャノンの情報量に代わる新しい情報の定義として、ベイズ確率、信憑性、論理深度、<外>情報など多数の情報量が提案された。イアン・コーリはシャノンの論文「通信の数学理論」に対抗して「情報の数学理論」という論文を発表し、シャノンの方法論は情報定量化の無数の手法の中の一つに過ぎないこと、そしてあらゆる情報定量化の方法が従うべき基本原理を提唱した。
・コーリの情報逓減の法則
「情報を直接送受信するケースと比べた場合、中継者、すなわち二番目の通信経路は、情報をそのままの量で送り届けるか、あるいは情報量を減らしてしまう(逓減)かのどちらかである」
というもので、中継経路は情報を増やさないというものであった。中継経路でノイズが加わり、正確に伝達できなくなる、伝言ゲームと似ている。何らかの解釈や価値判断をする中継者がいた場合には、一見、情報量が増えたかのように思えるが、その種の情報は、受けての予備知識、主観に依存する情報であって、計量の対象としないのである。
こうした情報の定義、定量化の議論の歴史の解説がこの本の最も面白いメインパートとなっている。「量子が変える情報の宇宙」という邦題の通り、量子力学の成果が情報論の世界に大きな影響を与えている。長く君臨した情報の最小単位ビットさえも新たな概念に置き換えられるかもしれないのだ。
■電子ビットから量子ビット(キュビット)へ
ザイリンガーによる量子力学の基本原理 第1法則
「1つの基本系は1ビットの情報を伝える」
世界に関して受け渡しできる情報の最小量は1ビットである。私たちは1ビットに満たない情報を想像することはできない。だから私たちが理解可能な最も単純な物理的存在(基本系)は1ビットで記述できる、という論理にこの原理は基づいている。
この原理はウィーラーのビッグクエスチョンのひとつ「なぜ量子か」に次のような答えを与える。「我々は、世界が本当はどのように構成しているのかを知らないし、それを問うべきでもないが、世界に関する知識が情報であることは知っている。そして、情報が本来ビットへと量子化されているがために、世界もまた量子化されているように見えるのである」。
そして第2法則
一部の測定結果はランダムになる
量子レベルの振る舞いは確率的であり、量子世界特有の「絡み合い」も生じている。観測結果がランダムとなりことがあるし、ある系の状態を観測した途端、絡み合った別の、離れた系の状態が確定されるという不思議な現象が起きてしまう。
ビットの取りうる値は「0または1」「真または偽」「イエスまたはノー」というORのどちらかであった。量子レベルでは系が観測され状態が確定されるまでは「0でかつ1」「真でかつ偽」「イエスでかつノー」という重ね合わせ状態を取る。こうしたANDの値を表わすために量子ビット(キュビット)という概念が提唱されている。
後半では量子コンピュータの最新事情(2002年にXY=15を3*5と分解できるようになった程度)と可能性が語られる。まだ実用化までは20年以上かかりそうに思えたが、科学の進歩は予想以上に速いことがある。電子ビットが量子ビットで置き換えられる日は結構近いのかもしれない。
量子力学は正確さと明快さの相補性の理論だと言う冗談があるが、量子世界の振る舞いはマクロ世界とあまりに違うので、感覚的にとらえにくい。量子コンピュータの普及する頃には、私たちはキュビットという概念を直感的に受け入れられるようになっているのだろうか。
・ユーザーイリュージョン―意識という幻想
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001933.html
2006年03月21日
はじめての“超ひも理論”―宇宙・力・時間の謎を解く
高名な物理学の権威が書いた超ひも理論の入門書。
超ひも理論とは「ものの最小にして究極の構成単位はひも状の物質である」と考える最先端の物理理論。この超ひもは、かつては最小単位とされた原子やクォークよりも小さく、それ以上は何者にも分割できない最小の物質であるとされる。
超ひもには両端の開いた、うなぎのような形のひもと、閉じた輪ゴムのような形のひもの2種類があって、どちらも常に振動して動いており、静止することはない。これがクォークやレプトンという粒子の正体である。この超ひもにエネルギーを与えると振動モードが変化する。この振動の違いにより超ひもは異なる粒子のように見えるように振舞う。
超ひもは10次元に存在する。10次元のうち6次元は極小の大きさに”折りたたまれ”て、4次元が残る。この4次元こそ、3次元+時間の私たちの宇宙である。超ひもの大きさは、1メートルの1兆分の1の1兆分の1の10億分の1という気の遠くなる小ささである。超ひものある極小世界では、私たちの住む世界の物理法則は成立しない。時間の概念も異なり、虚数の時間があったりもする。
超ひもの研究は宇宙の成り立ちの根源についての研究である。この理論が完成すれば、世界を構成する4つの力(電磁力、重力、強い力、弱い力)の関係を統一的に説明する万物理論となる。宇宙のはじまり(ビッグバン)や終わり(ビッグクランチ)について明らかにする物理学の最終理論といえる。
著者はさらに巻末で最新の新サイクリック宇宙仮説を展開する。この仮説によると、宇宙は過去に約50回ほどビッグバンとビッグクランチを繰り返し、いま私たちがいる宇宙は50回目の宇宙だという理論である。現在の宇宙観測の成果によると、宇宙がビッグバンではじまり、現在に至るまでに発生するはずのエントロピー量をはるかに上回る量のエントロピーがあることがわかっている。もし過去にビッグバンとビッグクランチが30〜50回程度繰り返されたのであれば、そのたびに大量のエントロピーが蓄積されるので、つじつまが合うということらしい。
この仮説が本当であれば、私たちは50回目の宇宙に生きているのである。
以上、ざっと私の理解を要約してみた。
超ひも理論は、万物の根源は何か、という哲学的な問いに真正面から科学が答える究極の理論であり、魅力的だ。ぜひとも理解したいと思うが、数学や物理の知識が相当量必要なので、その詳細まで理解できる人は僅かだろう。一般向けの本だが難易度は高めで、概略説明はともかくとして数式部分は1割もわからなかった。しかし、究極の理論がどのようなイメージのもので、どれくらい複雑で、いまどのくらい究明されているのか、はわかった気がして楽しめた。サイエンスライターが一般向けに要約しているのではなくて、科学者ができるだけかみくだいて直接書いていますという雰囲気がいい。
・万物理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002774.html
・ホーキング、宇宙のすべてを語る
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004047.html
・奇想、宇宙をゆく―最先端物理学12の物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003562.html
・科学者は妄想する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003473.html
・ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002797.html
2006年03月20日
スポーツ新聞風の見出しフォント画像を簡単に作成する 文字作
・文字作
http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/writing/se106108.html
文字作は、スポーツ新聞の見出し風フォントを簡単につくるツール。テキストを入力し、修飾デザインを選ぶとデザインが生成される。jpeg、BMPなど任意の画像形式でファイル保存が可能。スポーツ新聞風のフォントは迫力がある。壁新聞やスポーツ新聞風Webサイト、はがき作成などに役立ちそうだ。
このサイトのロゴを試しに作成してみた。作成時間1分。
デザインは細かく設定を変更でき、即座に変更イメージを確認できる。やり直しが簡単なので、とにかくいろいろ試して、良いものができたら保存することができるのが、使い勝手が良い。
2006年03月19日
Worlds of Tomorrow: The Amazing Universe of Science Fiction Art
・Worlds of Tomorrow: The Amazing Universe of Science Fiction Art
1920年代から1960年代までの海外SFの本や雑誌の表紙を、カラー掲載した大型本。洋書。ちょっと値段は高め(私は東京、丸善の洋書フェアで購入)だが、その価値は充分にある。
このテーマが好きならページをめくりながら、2時間はウットリしていられる本だ。
ジュール・ベルヌ、アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラークなど、SFの創始者、大御所たちの作品も多く含まれている。
オレンジの肌、緑色の眼をした宇宙人が美女をさらうイラスト。流線型の宇宙戦闘機がレーザー光線らしい武器で戦闘するイラスト、昆虫のような形をした巨大ロボットの来襲、胸のパネルをはずすと機械が露出するアンドロイド美女。アメリカンな古典SFの美学が、これでもかとばかりに満載である。
当時、ジャンルとして確立されていなかったSFでは、表紙に多額の予算は組めなかった。それにも関わらず、小説の内容に感化された想像力あるデザイナーたちが、読者の好奇心を刺激する絵を提供してきた。
SF小説は著者の名前ばかりが有名だが、実はこの無名の表紙デザイナーの果たした役割は、とてつもなく大きいのではないか。頭でっかちでタコのような手足の火星人、流線型の光速ロケット、高層ビルの立ち並ぶ整然と区画された未来都市。今では誰もが古典的な未来イメージも、誰かが絵に描かなければ、小説の文字だけでは十分に伝わったとは思えない。表紙買いした読者も相当多いはずだ。
SF本の表紙の研究は、過去の人間が未来をどのように思い描いたかを知る貴重な未来学史の資料だといえる。
この本の作者は、SF研究とB級SFホラー映画の収集家、研究者として著名な人物で、アイザック・アシモフをして最も重要な読者と言わしめたForrest J. Ackerman。基本は200ページ以上の表紙イラストを、大判フルカラーで集めた画集だが、アッカーマンの豊富な知識が披露される解説文も読み応えがある。
日本では、SF小説の層が薄かった代わりに、手塚虫治が描いた未来都市やロボットが、同じように科学者の卵に、未来イメージをインストールする役割を果たしていたのだろうと思う。科学者だけが科学の未来を作っているわけではない。アーティストやクリエイターの想像力も、未来の行方に大きな指針を提供しているのだと確信する一冊であった。
・Collectors Press
http://www.collectorspress.com/
この本に紹介されているような古典SF本やアメコミ、往時の米国の雑誌が購入できるセレクトショップ。
2006年03月18日
画像を開くだけでテキストアートに変換するTextArtist
・TextArtist
http://rd.vector.co.jp/soft/dl/win95/art/se380740.html
写真やイラストを文字絵(テキストアート)に変換するソフトウェア。
日常的な実用性はよくわからないが、ITオタクっぽいイメージが欲しいときなど、デザイン方面で需要があるかもしれない。メールで誰かに送りつけてびっくりさせるのも面白いが、あまり大きなサイズのテキストアートは、フォントサイズを調整してみないと、何がなんだかわかってもらえないかもしれないので注意。
このソフトは画像を開くだけでテキストアートに変換してくれるお手軽操作。文字の種類やパターンを細かくカスタマイズすることができるので、プロの使用に耐えると言えよう。しかし、何のプロだ?。
サンプル変換例:
2006年03月17日
蘇るPC-8801伝説 永久保存版
本当に永久保存したい。マイコン世代におすすめ。素晴らしい。絶賛。
80年代の名機 NEC PC-8801のムック本。NECの開発者、有名なゲームの開発者、著名人ユーザのインタビューが盛りだくさん。”ハチハチ”が今も愛されていることがよくわかる。初代PC-8801の発売は1981年9月だが、全盛期はPC-8801mkII(1983)からPC-8801SR(1985)の時期だっただろう。
まだ16ビットのPC-9801がビジネス向けの機種と位置づけられていた時期で、ホビーユースのユーザは、8ビットのPC-8801を愛していた。私も最愛のFM-7に次いで、大好きだったマシンだ。FM-7やPC-8801がなかったら私は今の仕事をしていないのは確実だ。人生を変えた機械である。
そして時代は変わった。パソコンは愛されなくなった。ユーザ同士が自機を自慢したり、多機種を批判して喧嘩することはほとんど考えられない。かつては日常的にあった光景だった。思い入れのあったマイコンに新機種がでたときの胸の締め付けられるような敗北感、あれはなんだったのか。やはり、愛していたのだ。
そうした熱い思いを、当時のキーパースンたちが語っている。
第一特集で取り上げられるゲームはCDにエミュレータとともに収録されている。ブラックオニキス、ハイドライドがWindowsで遊べるのが感激であった。
以下 目次:
■座談会
・時代をリードしたゲームクリエイター、木屋氏&内藤氏による座談会
■インタビュー
・高校生プログラマだった赤松健氏
■【第1特集】いま蘇る!PC-8801懐かしの8bitゲームたち
・ザ・ブラックオニキス
・ファイヤークリスタル
・大打撃
・ハイドライドI
・ハイドライドII
・ハイドライドIII
・スーパー大戦略
・ハラキリ
・うっでぃぽこ
・リグラス
・ファイナルゾーン
・ドーム
・アーコン
■伝説の森田将棋その強さの秘密とは
・森田和郎氏インタビュー
■ゲームアーツ徹底研究
・ゲームアーツのプロダクト紹介
・ジー・モードの宮路武氏&池田氏の対談
・宮路洋一氏インタビュー
■PC-8801サウンドコンポーザー
■PC-8801解体新書
・PC-8801分解写真とハードウェアスペック解説
■デービーソフト
・8bitソフトにおいてワープロ、ゲームで有名だったデービーソフトにいたメンバーにインタビュー
・PC-8801用ワープロ
・主なゲームソフトの紹介
・開発苦労話など
■【第2特集】PC-8801ジャンル別ゲーム研究
・アクションゲーム
・ロールプレイングゲーム
・シミュレーション
・アドベンチャーゲーム
■PC-8801キーマンインタビュー
■ツクールシリーズの血統
・ツクールシリーズの進化について紹介
■ソフトハウス興亡の歴史 北海道vs九州
■日本ファルコム研究
・「イース」「ザナドゥ」などの名作ゲームを産み出し、PC-8801全盛期に不動の地位を確立した日本ファルコムの特集
■ログイン ゲームランキング
■アクションRPG研究
・PC-8801が産み出した独自ジャンル「アクションRPG」
■PC-8801データブック
・歴代のPC-8801機種紹介
・ログイン ゲームランキングの歴史
■ももいろPC-8801(袋綴じ)
・真樹村正氏インタビュー(「まりちゃん危機一髪」)
・ジャンル別ゲーム研究 エロゲー編
・マカダミアソフト(dbソフトの別ブランド)インタビュー
・もちつきかすみ
関連書籍:80年代のマイコン アスキー万歳!
・みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001 CD-ROM1枚(Windows 2000、XP対応)
2006年03月16日
テレビとネットの近未来 ブロードバンド・ニュースセンター オープン 編集長に就任
テレビとネットの近未来 ブロードバンド・ニュースセンター オープン 編集長に就任
http://www.tvblog.jp/tvnet/
「テレビとネットの近未来 ブロードバンド・ニュースセンター」というサイトを立ち上げました。月曜から金曜まで、毎日、テレビとネットの近未来に関係がありそうなニュースをピックアップしてお知らせしていきます。私は編集長です。
どんなニュースをとりあげるのかというと、
・ブロードバンドの最新ニュース
・企業のプレスリリースのピックアップ
・動画、テレビ、機器の新製品、新サービス
・ブロードバンドサイトの動向
・通信、放送行政の話題
・オモシロサイト紹介、コラム連載
・神田敏晶周辺
・同名イベント「テレビとネットの近未来カンファレンス」の告知及び報告
といった内容です。キーワードはこのサイトのサイドバーのカテゴリを参考にしてください。
想定する読者層は、
・ブロードバンド、ITビジネス層
・新しいモノ好きのコンシューマ
・上記イベントの参加者
です。
このサイトではブロードバンド、放送と通信の融合に関係する情報を募集しております。プレスリリースをご送付ください。特にイベント参加者の企業、団体、個人のニュースは積極的に取り上げさせていただきます。
お問い合わせは
メール tvnet@metacast.co.jp
TEL 03-5459-1050 (TVNET編集部まで)
までよろしくお願いします。
下記は昨日のカンファレンスでリリースに使用した媒体資料です。
この資料はパワーポイントを「いきなりPDF FlashPaperでFlashに変換しています。PDF版はこちら
2006年03月15日
2分以内で仕事は決断しなさい―スピード重視でデキる人になる!
・2分以内で仕事は決断しなさい―スピード重視でデキる人になる!
下着業界で急成長を遂げ、大手ワコールに次ぐ2位のシェアを誇るに至ったトリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の書いたスピード経営論。文章の勢いにも圧倒されて元気が出てくる。
トリンプの社員は120人でこれは18年前とほぼ同じ数字だそうである。一方、売り上げは18年間で5倍に伸びている。スピード経営の成果であるとし「社員のIQを5倍にしたり、労働時間を5倍に増やすのはまず不可能ですが、スピードならやり方しだいで5倍にできる」と説明する。
もちろん精神論だけではスピードははやくならない。トリンプという会社には、スピードアップのための、たくさんの仕掛け、ノウハウがある。それが次々に明かされている。その中心にあるのがユニークな早朝会議。
「
早朝会議では、毎朝40〜50の議題を扱います。私が議題を選び、担当者が報告する。私が質問をして、担当者が答える。煮詰め方が甘ければ、さらに私が突っ込んで、担当者も負けじと言い返す。私を見事納得させることができれば、次の議題にパッと移ります。この間、1分〜2分です。
私を納得させられなくても同じです。何が足りないのか、どこが煮詰められていないかを指摘して、その部分を次の日までの宿題にする。この場合も、長くて2分で次の議題です。
」
2分で議論し決済をもらうには、担当者は何が問題なのか、本質は何なのかを簡潔にまとめておかねばならない。実物公開のA4半分の企画書という数行の企画書も驚きだ。「議論に議論を重ねても結論が出ないのが普通」という反省から、こうした即断即決の会議スタイルが生み出され、会社の高成長の仕掛けとなったそうだ。
トリンプは45分の昼休みが他の会社より15分早く11時45分に始まる。これは近隣の飲食店が混む前に食事をして早く戻れるようにな設定。そして午後12時半から2時半までを「がんばるタイム」とし、私語は一切禁止、電話もダメ、席を立つのもダメ、仕事に集中するルールがある。ハードワークな会社だが、定時の6時になると自動的に部屋の電気が消されて社員は全員強制退去になる。6時完全退社は家族を持つ女性社員に評判がいいらしい。
がんばるタイムに電話が出来ないと仕事にならないのではないか?と疑問に思ったのだが、実はここにも秘密があった。この会社は多くの仕事のデッドラインを翌朝の早朝会議までと設定している。外部に電話連絡ができるチャンスは早朝会議後の午前中か、がんばるタイム後から6時までの2回しかない。午後の短い時間に電話をして相手が不在なら大変なことになる。だから皆、午前中に電話をするようになる。
そして残業罰金制度がある。残業した社員がいる部署はボーナスから罰金分が引かれてしまう。がんばるタイムの不徹底や「さん」づけ不徹底などのその他の罰金規定もある。全員が事実上の禁煙強制。窮屈な雰囲気なのではないかと思ってしまうが、社員はこれをゲーム感覚で楽しくやっているから、自らハードルをもっと高くしようと挑戦するらしい。
この本にはスピード経営、即断即決のノウハウが無数に見つかる。組織は軍隊を見習いなさい、会社に民主主義はいらないと断言するワンマン社長のいうことなので、すべての会社に応用が効くかわからないが、とても説得力のある章の連続で勉強になった。
2006年03月14日
封印作品の謎 2
楽しみにしていた2冊目もやはり面白かった。前作を超えている。
世の中には、諸事情あって公開できなくなった「封印作品」たちがある。封印の謎に元新聞記者が粘り強く迫るドキュメンタリである。
そこには国民的な有名作品も含まれる。
「キャンディ・キャンディ」
「ジャングル黒べえ」
「オバケのQ太郎」
「サンダーマスク」
まず私が驚いたのが「キャンディ・キャンディ」と「オバケのQ太郎」が封印されているという事実。私はふたつともよく見ていた親しみ深い作品だ。だが、これらの作品は現在、テレビ放映はおろか、単行本や関連製品の販売もできなくなっている。
キャンディ・キャンディは、原作者と漫画家が著作権をめぐりもめている。
原作者のサイトはこれである。
・Nagita Keiko Office Home Page
http://www.k-nagi.com/
「
みなさまにはご心配、ご協力をいただきながらそのままにしていたことお詫びしなくてはなりません・・・。
水木がこの件について話せば、結局、非難と嘆きになってしまうことが切なく、なるべくなら自然な形で静かに事がおさまることを願っていました。
しかし、いがらし氏はどうしても判決に納得がいかないらしく、最高裁判決から4年もすぎた今でも、相変わらず水木への誹謗中傷を繰り返しています。聞くたびに耳に熱湯を注がれる思いです。
キャンディのマンガ作品を愛し、忘れずにいてくれる読者の方たちの事を思うと、いたたまれず、原作者としてどうすればいいのか・・・苦悶は去りません。(これからも、ずっと。)
しかし、このような状況では水木は自分の気持を偽ってまで、マンガに手を差し伸べることはできません。水木の平安はもう見るのさえ苦痛になってしまったあのマンガの<絵>から遠ざかることしかないのです。
読者の人たち、ほんとうにごめんなさい・・・。
」
そして、漫画家のサイトはこちら。
・CCNET☆いがらしゆみこオフィシャルページへようこそ!
http://www.candycandy.net/top.html
二人が最高裁まで権利関係を争った結果、両者に著作権があるという司法の判断は下ったにも関わらず、二人の権利者の争いは泥沼化して決着できないでいる。第一章の特集ではその経緯と現状が解説されている。原作者への取材で当事者の声が聞ける。
フリーライターである著者の、関係者への取材活動は苦難の連続である。取材拒否が当然のようにあるし、喋りたくない相手に喋らせなければならない。差別問題と関係する「ジャングル黒べえ」の取材では、ある出版関係者から「業界人の目で見ると、あなたのやっていることは誰にとってもメリットのないキツネ狩りをやっているのと同じですよ」とまで警告を受けたそうだ。
今回の4つのケースでは、権利者間の感情的な争い、過去の不明瞭な権利処理、圧力を恐れた出版社の過剰な自粛などが原因となっている。そして原因には大抵、表と裏があるようだ。表というのはタテマエ的な説明である。裏というのは送り手側のできれば隠しておきたい事情である。そうした裏のある業界事情で封印は続く。おきざりにされているのは、各作品のファンである。封印の内情を地道な取材と考察で明らかにすることで、著者はこの問題に一石を投じようと、人生をかけて各章のテーマを追いかけている。
読み終わっての感想は「3冊目が読みたい」。
・封印作品の謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002818.html
・放送禁止歌
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001449.html
・案外、知らずに歌ってた童謡の謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003167.html
2006年03月13日
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
最初の2秒の状況判断=第一感はかなり正しいということの科学。
全米連続50週のベストセラー、世界34カ国で翻訳された話題の本。
赤いカード2組と青いカード2組の4つの山がある。カードには「○ドルの勝ち」「○ドルの負け」と書いてある。4つの山から、自由に選んでカードを何度もめくり、儲けを競うルールがある。プレイヤーには知らされていないが、実は赤いカードには大勝も多いが大きな負けも多い。青いカードは大勝は少ないが、負けを引いても損が少ない。だから、青を引き続ければ勝てるという、必勝法があるゲームである。人は何枚引いたらこの必勝法を見抜くものだろうか。
アイオワ大学の研究では、ほとんどの人が50枚を引いた頃に「青を引けば勝てる」となんとなく気がつくものだという。さらに続けて、80枚をめくると、なんとなくは確信に変わり、必勝の理由も説明できるようになる。これが常識的な学習である。
ところが、被験者の手に汗の出方を計測するセンサーをつけてみると、面白いことがわかった。汗の出方からはストレスの強さを測ることができる。ほとんどの人が10枚をめくった時点で、赤いカードをめくるときにストレスを感じていることが判明する。意識がなんとなく気がつく遥か前に、人は無意識的に法則を感知し、危険を回避しようとしているのだ。
この一気に結論に達する脳の働きは、適応性無意識と呼ばれる。意識が思考して正しいと判断する前に、正解を直観するひらめき能力のことである。凄腕営業マンはお客を見たとたん、買う客か、ひやかしかを見抜く。鑑定士は美術品の真贋を一目で判別できる。百戦錬磨の司令官は細かいデータがなくても戦況を瞬時に判断する。そんな第1感の成功事例が多数、紹介されている。その判断時間はおよそ2秒である。経験のある専門家は熟考を必要としない。状況の輪切りで正しく判断ができるものなのだ。
専門家の第1感は役立つことが多いが、一般人の第1感はだまされやすいものでもあることも警告される。見た目や、もっともらしさ、考えすぎ、に引きずられて、誤った選択をしてしまう。よくある、おっちょこちょいである。
米国大企業500社を調べたところ、男性CEOの平均身長は182センチだったそうだ。全米男性の平均は175センチだから、7センチも高い。背が182センチを超える人は米国男性の14.5%に過ぎないが、CEOでは58%である。188センチ以上の人は米国全体で3.9%であるが、CEOでは30%以上もいる。身長で昇進を決める制度を持つ会社など存在しないはずだが、結果は歴然だ。人々は無意識のうちに背の高い人をリーダーに選んでしまっているらしい。
人は無意識のうちに先入観を抱えてしまっている。背の高い人は有能であるだとか、黒人は犯罪者が多い(あるいは運動能力が高い)など。見た目にもだまされやすい。しばしばパッケージのデザイン印象と商品の中身の品質が同一視されてしまう。こうしたプライミング効果や感情転移現象について、事例を挙げての説明がある。
直観の正しさの根拠やそれを鍛えるノウハウが詰まっていて勉強になる本である。始めてみたときの第一印象をメモする癖がある古美術研究者の話が出ていたが、常に直観の判断をメモしておくと言うのは名案な気がした。正確ならばその後も自分の直観を頼ればいいのだし、間違ったならば自分のだまされやすさを把握できることになるから。
・瞬間情報処理の心理学―人が二秒間でできること
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000624.html
2006年03月12日
オーバルリンク公開セミナー「コンテンツとメディアの近未来」報告
オーバルリンク公開セミナー+ライブパフォーマンス 2006 「コンテンツとメディアの近未来」が無事、盛況に終わりました。ご来場いただいた方々、ありがとうございました。そして一緒に前代未聞のイベント運営に、燃えに萌えたオーバルの皆さん、お疲れ様でした。
なんといっても今年の特徴は「ロックオペラ」を素人集団が演じるということでした。原作、脚本から、音楽の作詞作曲、バンド演奏と歌姫たち、舞台設計、大道具小道具の調達と製作、数十着の衣装調達、映像撮影.......。すべてをオーバルリンクの有志数十名による運営委員会が実現しました。
オペラ部分では私は「KKK団(ノッポ)」というチョイ役を頂きました。写真右端。
2つしかないセリフを覚えるのは容易でしたが、身体の動きを覚える、他人の動作にあわせて間を計るという慣れない経験に冷や汗をかきました。でも素晴らしい体験でした。セミナー3本を挟んで5幕で4時間という一大巨編を、来場したお客さんを前に、ともかく最後まで上演しきったことは、たいへんな達成感がありました。
ロックオペラ 「バラモエ」はこんなお話でした。
・ストーリー
http://baramoe.jp/2006/03/post_6.html
「
2050年。「釈迦徒(シャカトー)」と呼ばれた男が死ぬ。
“Rose Bud”と記されたガラス球を手にしたまま…。
傍らにはステッキの男ゴンゾーの影が揺れる。
オーソン・ウェルズの映画『市民ケーン』へのオマージュ(パクリ?)で物語は始まる。
---------------------------------------
時はさかのぼって2006年、釈迦徒は、自らの能力を背景にしたある技術を"妄想"する。それは、のちに世紀の大発明となるのだが、この時点では釈迦徒の妄想に過ぎず、釈迦徒自身も、その価値に自信を持てずにいた。
ある日釈迦徒は、時の人、ORESAMA Computer総帥『Steal Jobs (SJ)』のセミナーに出向く。SJと自分の考えが一致していることを知り、自分の妄想「バラモエ」の価値を確信するのだった。
どこからともなく「バラモエ」のウワサを聞きつけたゴンゾーが、事業化を持ちかける。そして釈迦徒のアイデアを横取りしようとする美人投資顧問オイロシス。カネの話ばかりする二人に呆れた釈迦徒は、なぜか時刻表検定の勉強に没頭していく…。その姿勢を評価するゴンゾーは資金提供を約束し、二人は「バラモエ」の開発にいそしむ日々。
やがて「バラモエ=NCR」を完成させ、頂点を極める釈迦徒とゴンゾー。様々なコンテンツを、受け手にとって最適化したコンテクストで提供できる夢の装置だったが、やがて終焉を迎える日がやってきた。その後の二人は、そしてその先の世界は…。
」
この壮大に荒唐無稽な物語の進行の合間にセミナーが3本入る形式でした。
私がスピーカーをしたセミナー第3部は以下のような内容でした。
・CNET Japan Blog - 渡辺聡・情報化社会の航海図:マスマーケティングのネットシフトの可能性
http://blog.japan.cnet.com/watanabe/archives/002682.html
「
Seminar 03【コンテンツとメディア】
メディアの価値が変わるとしても、産業の推進役として位置づけられたマスメディアは、そう簡単に消え去るものではありません。一方で、新たなメディアとしてのネットワーク技術の進化と普及は、誰にも止められません。両者の間に起こるであろう反発、補完、代替、シナジーを通じて、それぞれのメディアに流れるコンテンツとそれを享受する側のコンテクストの関係が変わっていくのは間違いありません。テレビとブログ、Webと雑誌など、メディアの進化と融合によって浮上してくる情報とオーディエンスの関係性の変化を俯瞰します。
ゲストスピーカー:神田敏晶
http://knn.typepad.com/knn/
スピーカー:橋本大也(オーバルリンク会員)
http://www.ringolab.com/note/daiya/
モデレーター:渡辺 聡(オーバルリンク会員)
http://blog.japan.cnet.com/watanabe/
」
詳細レポートは本サイトで準備中。
2006年03月11日
ネーミング支援ツール『命名ヤギさん』
・ネーミング支援ツール『命名ヤギさん』
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/personal/se387841.html
原文テキストに登場するカタカナ文字列を抽出し、そのカタカナ単語のパターンを要素に分解し、ランダムに再構成することで、造語を機械的にいっぱい作ってくれるソフト。
つまり、カタカナを含むテキストをなんでもいいから入れると、適当にネーミングをでっちあげてくれるのだ。
私のブログの記事の見出し一覧ページから、過去の見出し文字列すべてを入力に入れて、1000回生成させてみた。まず原文に現れるカタカナ語が抽出された。これを見るだけでも結構楽しい。
そして生成ボタンを押すと、好きな数だけ組み合わせでネーミングが生成される。
最初の数十件を列挙するとこんなかんじ。
「
マイヤフト メータフェルヘット キージニップラン ツータ
エンテクスクト コマジハットリラクニップラントパネス
キスピート ツーネス ブット デルンフ デード
プットッシンピューキーションス インジ マイソフト
イソバーリーベルヘッパー フェル ハーン
デスピ マネップリケタールネー シェルアク
コントエディア テレン トランニメモ オフト
イエン ドキャランマーチメーチ アスクラム・メディレオーター
ネップ マーチ オフィックセップ クオブ ツーム イント
イクオン・ネスタダン リント メディレイアプップラミン
マーンターフトラドックス デーケティ ビューミ エクリストパイル
バーティン リンニップライニンファレビゲール デスト
デジカング・ニアメイト デジハリスク ツーゼンドキャラソナレビジハー
マイズバリ ユーザビジュアーションクトッセマ
ヒントレッピーズミニング・コンスクニバリエ・サイト プロソーンス
ブツーチ ブロジェク テレー サール パージネインクマネラッションガイン
プラウ ブロードップロール リケタ ビジハリーニタ キセンタルコミュレットロガークロ ネジア
」
ぜんぜんだめなものも多いが、自分が書いたテキストから拾うと、たまにビビっとくる文字列が見つかる。これはクリエイティブな世界では、ちょっとした支援ツールとして実用価値ありな気がする。
2006年03月10日
Web画像のサムネイル一括作成に最適なVersatile-Thumbnail
・Versatile-Thumbnail
http://www.vector.co.jp/soft/win95/art/se262848.html
このブログで画像処理ソフトをよく紹介しているのは、私が日々のブログ作成やプレゼン作成に、デジカメやスクリーンショットの画像を大量に使っているためである。私にはPhotoshopのような高機能フォトレタッチソフトは向かない。Photoshopが何でもできることはわかっているが、操作が簡単ではないからだ。一括処理にもあまり向いていないように思う。時間がないときにも手早く簡単に、仕事で使う画像を自分でつくりたい。
Versatile-Thumbnailはとても多機能であると同時に一括処理が簡単なサムネイル作成ツール。たとえばデジカメ画像のあるフォルダを指定して、全部を読み込ませ、100*100ピクセルに適当に縮小して、HTMLアルバムを作成する、などという面倒な作業が、数クリックで実現してしまう。各画像にフィルターをかけたり、領域指定をした上での拡大縮小もできる。
30分かかる作業が3分になる。
そもそも30分かかるとわかっていたらやらなかったことが、できてしまうことが嬉しい。
こういう”時短簡単ツール”が好き。
・サンプルのイメージ
:実物はHTMLと画像ファイル。サムネイルはオリジナル画像にリンクされている。
ソフトウェアの説明から引用。
・Susie-plug-in対応!!
・縦×横の、ピクセルサイズ、または、%を指定して、一括変換が可能!
・自分の好きな場所を好きな大きさでサムネイル化可能!
・JPEG、PNG、BMPでの保存が可能です。
・グレイスケール、セピア、ネガポジ反転、 ソラリゼーション、エッジ検出、その他フィルタ対応。
・作ったサムネイルを並べたサムネイル表示用HTMLを出力可能。
・簡易タグ機能を搭載し、背景色、ページタイトル等の設定も可能。
・HTMLタグを、クリップボードに自動転送。
・JPEG圧縮率指定可能。
・保存ファイルの頭文字が入る機能を搭載しています。
・連番ファイル作成機能
・その他いろいろな機能があります。
2006年03月09日
ハイゼンベルクの顕微鏡 不確定性原理は超えられるか
物体を観察するには光や放射線を対象にあてて反射させたり透過させる必要がある。このとき、電子のような量子レベルのミクロ世界では、光の粒子がぶつかる作用で観測対象が動いてしまう。何かをぶつけることが観察なのだから、ぶつける前の観測対象の電子の位置と運動量を正確に知ることはできないことになる。これがよく知られるハイゼンベルクの不確定性原理の基本「量子力学的な物体の位置と速度を同時に知ることはできない」である。
不確定性原理にはもうひとつの説明がある。そのような観察行為による反作用がなくとも、量子レベルの観測対象の位置と運動量は本質的にゆらいでおり、その値を誤差なく知ることが原理的に不可能である、というもの。量子の世界でなくても、私たちは√2のような長さは、どんな精密な物差しでも、正確に測ることはできない。くわえて量子レベルでは粒子は確率論的に存在する。連続するなめらかな線を描いて移動していない。次の瞬間の粒子の位置は確率的にしか知ることができないのである。
量子力学は、その原理を前提として発展し、科学技術を発達させてきた。古典力学系におけるニュートンの万有引力やアインシュタインの相対性理論に匹敵する原理であった。だが、その基盤を日本人の研究者、小澤正直東北大学教授が今、疑っている。ハイゼンベルクは上の二つの説明を、同じものの異なる側面であるかのようにひとつの式で証明しているが、もし二つが違うことを言っているのだとしたら、どうか。ハイゼンベルクの大前提が壊れるかわりに、新しい「小澤の不等式」に拡張され、量子力学は新しい時代へ進む可能性がある。
これは20世紀の量子力学の歴史の要約と、その歴史に新たな1ページを加えるかもしれない「小澤の不等式」の学説を紹介する一般向けの本である。不確定性原理は量子力学だけでなく、20世紀の思想・哲学にも大きな影響を与えてきた。人間の知性と自然科学の限界を表わす象徴的な存在でもあった。もしその根本原理が塗り替えられることがあるならば、影響は科学だけにとどまらないかもしれない。そんな根源的な仮説を日本人が打ち出して注目されているとは知らなかった。
後半で解説される小澤の不等式の詳細を理解することは数学の素養がないと難しい。私は、そこに登場する数式レベルでは半分も理解できていない気がする。だが、概略レベルではなにが違うのか、直観できたと思う。小澤の理論は、ハイゼンベルクが使った「観測行為」や「正確さ(誤差)」ということの意味を精緻化し、再定義しているようだ。その結果、ハイゼンベルクの不等式は不完全であり、もっと複雑な式でなければ、量子の振る舞いを説明できないはずだと結論する。そして出てきたのが小澤の不等が式である。
本書の前半は、ハイゼンベルク、アインシュタイン、ボーア、シュレディンガーなど20世紀の量子力学の発展に貢献した知の巨人たちの論争の物語がゆっくり語られている。もしこの仮説が将来認められれば日本人がこの偉大な量子力学史に名前を残すことになる。先取りして読んでおけるの魅力の一冊。
・プリンストン高等研究所物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003621.html
・奇想、宇宙をゆく―最先端物理学12の物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003562.html
・ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002797.html
・量子コンピュータとは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002710.html
2006年03月08日
第4回 テレビとネットの近未来カンファレンス 〜 テレビ×Web2.0 = テレビ2.0 それは未来予想図 〜
インターネットにWeb2.0という技術革新の波が押し寄せている。メタデータ、インタフェース、パーソナライズ、集合知、データマイニング、コラボレーション...。次々に登場する次世代を予感させるサービスが、メディアとコミュニティをにぎわしています。
この潮流はテレビとネットの近未来にとっても大きな影響を与えそうです。今回、私たちは、テレビとネットの融合の溶媒としてのWeb2.0という視点で近未来を考える場を作ろうと考えました。
今回のテーマを簡単な式で表現すると
テレビ×Web2.0 = テレビ2.0
となります。
この式に実数(実例)を入れて試算する、あるいは、答え(予想や予言)を
予測して検算してみようと考えています。たとえばYourTube、Flickr、Google、
ROLLYO、last.fm、pressdisplayといったWeb2.0的な実例は、テレビ2.0にどんな
影響を与えるでしょうか。可能性と多様性を大きなレベルから、ディティールか
ら会場の皆さんと一緒に考えてみたいのです。
今回もテレビ業界、ネット業界からのゲストスピーカーを招聘予定です。テレビとネットの近未来を予感させる新サービスの本邦初公開リリースもあります。会場は、まさにこの分野の2.0世代を育成する教育機関、御茶ノ水のデジタルハリウッドにお借りしました。たくさんのご来場をお待ちしております。
【内容】
第1部 テレビとネットの最前線
テレビのあのシーンをワンクリックで再生する全録画オンデマンドソフトの発表
メタキャスト 井上大輔
第2部 最前線のその先へ 未来予想図
神田敏晶 & 橋本大也 & スペシャルゲスト(予定)
ネットリサーチを得意とするKNN神田敏晶とメタキャスト橋本大也が前回に続いて、テレビ2.0について対決型プレゼンを行います。
※これに加えてスペシャルゲストのセッションが追加される可能性があります(交渉中)
【テーマ】
テレビ×Web2.0 = テレビ2.0 それは未来予想図
【日時】
2006年03月16日(木)開場19:00 開演 19:30-21:30
【場所】
デジタルハリウッド 東京本校(御茶ノ水)
会場の地図はこちらです。
http://www.dhw.co.jp/profile/access.html
【主催】
楽しいTVの未来を考える研究会
【料金】
3000円
【申し込み】
2006年03月07日
ジョエル・オン・ソフトウェア
マイクロソフトのExcelなど何百万人が使うアプリケーションの設計と開発に取り組んできた著者が、自分のブログで公開しているソフトウェア開発論。理想的な開発マネジメントがいかにあるべきか、自身の経験から得た奥義を語る素晴らしい内容。
・Joel on Software 日本語版
http://japanese.joelonsoftware.com/
目次:
01 Bits and Bytes:プログラミングのプラクティス(言語の選択、基本に帰れ ほか)
02 開発者のマネジメント(採用面接ゲリラガイド、報奨金有害論 ほか)
03 Being Joel:それほどランダムでもないトピックに関するランダムな考察(リック・チャップマンによる愚かさの探求(あるいは「アホでマヌケな米国ハイテク企業」、この国では犬はどんな仕事をしているの? ほか)
04 .NETについての少し行き過ぎた論評(Microsoft、羽目をはずす、私たちの.NET戦略について ほか)
05 付録 「ジョエルに聞け」選集
マネージャーの視点から、エンジニアの心理特性や陥りがちな罠と回避法、チームの生産性を最大化する方法などが何百もあり、具体的な実例ベースで紹介されるので、読みどころの連続である。
近年、話題のエクストリームプログラミングやアジャイル開発法などとも親和性が高い(一部否定している部分もあるが方向性は似ているようだ)内容になっている。マネジメントと開発チームでこの本の読書会とディスカッションを行えれば、相当の進歩が期待できそうだ。問題はどうしようもない組織ではそうした会合さえ実現しないということもありそうだが...。
この本にはたくさんの知恵がある。ソフトウェア開発の現場で長年採用されてきた「ウォーターフォールモデル」の構造欠陥が多面的に指摘される。見積もりの立て方、エンジニアの採用面接の仕方、バグの発見と修正法、インタフェースの設計とテスト法、マイクロソフト開発部隊の優れた面、創造性を発揮する職場の作り方、そしてジョエルテスト。
・Joel on Software - ジョエル・テスト
http://japanese.joelonsoftware.com/Articles/TheJoelTest.html
ジョエル・テスト
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これが著者の「いいプログラムへの12ステップ」である。このリストの項目に共感するプログラマにはとてもおすすめ。
山下達雄さんがCNETで先端研ブログ連載を開始
・CNET Japan Blog - 先端研ブログ
http://blog.japan.cnet.com/sentan/
尊敬する友人、ヤフーの山下達雄さんがCNET上で「先端研ブログ」の連載を開始した。ヤフーが外部の研究者や技術者を招いて社内開催している「先端科学セミナー」の内容を報告するという内容。
山下さんは自然言語処理とネット検索技術の国内屈指の専門家であり、約10年前からブログ(もちろんそんな名称はなかった)「たつをのChangelog」を書いているブログ文化の先駆者。
・たつをの ChangeLog
http://nais.to/~yto/clog/
単なるイベント報告におわらず、山下さん自身の技術に対する深い洞察、幅広い知見が読めるのではないかと期待しています。
このブログは1日1エントリを守っていますが、このブログの知らせを聞いて、あまりにワクワク、期待度が高いので、お知らせすることにしました。山下さん、がんばってください。本日の通常エントリは夜にまたアップします。
2006年03月06日
火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者
実におもしろい脳についてのエッセイ集。
トゥレット症候群の外科医は、普段は身体をねじり物を物をいじりまわす衝動に抗うことができないが、手術中は発作が止み、一流の手術を施せる。
サヴァン症候群の画家は数秒で見たものを記憶し精確に絵に描ける特異な能力を持つ。
30年前の故郷の記憶にとらわれた画家はその過去世界の記憶の強制想起に悩まされ、現実と過去との二重の人生を生きる。写真的な記憶から描いた風景画は高く評価され故郷の名誉市民となった。
事故で脳を損傷した全色盲の画家は、白と黒しか見えなくなった。苦悩の果てに白黒の世界を更なる芸術に昇華させ、色のある世界に戻るつもりがなくなった。
30年間の全盲状態の後、手術で視力を取り戻した患者は、頭の中のイメージと視覚イメージの対応がとれず、「見えているが、見えない」。
極端な健忘症患者は、注意が途切れると数分前のことも忘れてしまう。
映画「レナードの朝」の原作者としても知られる脳神経学者のオリバー・サックスが、7人の脳の機能障害患者の人生を語った医学エッセイ集。障害はハンディだが、ときに超人的な能力と創造性の源になる。著者は患者の病を欠点としてではなく、ユニークな個性の一部として見ている。
博士号を持つ自閉症の動物学者は自ら発明した抱きしめ機械に癒されながら、研究開発の仕事をすすめていく。研究対象の動物の行動は理解できても、人間の心の動きがわからない。感情のドラマが把握できないから物語を味わうことも出来ない。感情とはどういうものか、経験から得た知識を使って他者の心を意識的にシミュレーションする毎日。彼女は自分は「火星の人類学者」みたいな気分で社会生活を生きているのだと言う。
世界の認識方法には多数のバリエーションがありえて、健常者を名乗る者たちの認識もそのひとつに過ぎないことがわかる。「その他大勢」の私たちを冷静に眺めている火星の人類学者たちの持つ世界観が、古い世界観を壊し、新しい変化を生み出していく原動力にさえなるのではないかと思った。
・脳のなかの幽霊
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003130.html
・脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003736.html
・共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000533.html
・脳のなかのワンダーランド
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002735.html
・マインド・ワイド・オープン―自らの脳を覗く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002400.html
・脳の中の小さな神々
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001921.html
・脳内現象
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001847.html
・快楽の脳科学〜「いい気持ち」はどこから生まれるか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000897.html
・言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000718.html
・脳と仮想
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002238.html
・喪失と獲得―進化心理学から見た心と体
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002945.html
・ひらめきはどこから来るのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001692.html
・神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003679.html
・脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000134.html
・音楽する脳
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004148.html
・天才と分裂病の進化論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001298.html
・天才はなぜ生まれるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001320.html
・ユーザーイリュージョン―意識という幻想
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001933.html
2006年03月05日
Web2.0 BOOK
いい本が出ました。
「
第二世代インターネットの波に乗り遅れるな!
ロングテール、マッシュアップ、マルチプラットフォーム、ユーザー参加のアーキテクチャなど、Web2.0のポイントを、豊富な図解でやさしく解説。Web2.0的なやりかたとはどのようなものかを、米国、日本の豊富なビジネス事例や、企業インタビュー等も盛り込み、読み解いていく。Syndicateカンファレンスレポートなど、米国&日本Web2.0企業の最新情報も満載!
」
冒頭の「刊行によせて」には次のような書評を書かせていただきましたので、このブログでも、そのまま紹介します。
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「Web2.0」の時代がきたというのはWebエンジニアの素直な感慨なのだと思う。
ここ数年でインターネットテクノロジーには大きな変化があった。XMLメタデータやWebサービス技術の浸透、端末やサーバの高機能化、そしてWeb系技術の標準化が進んだ。以前はむずかしかったWeb同士の連携だとか、デスクトップアプリのようなWebアプリ開発が容易になった。
それはエンジニアが作りたいものを作りやすくなったということであり、マネージャーが発想を形にすることが容易になったということでもある。Web2.0の時代はアイデアが勝負のクリエイティブ・エンジニアリングの時代だと私は考えている。
著者の後藤氏は、シリコンバレーでの活躍後、国内で数々のネットベンチャーを孵化させてきた技術者であり、経営者である。この本にはWeb2.0がビジネスとテクノロジーの両方に与えるインパクトが、事例も豊富に示されている。これからのインターネットビジネスを考えるための絶好のネタ帳だ。
(データセクション株式会社 代表取締役 橋本大也)
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Web2.0のキーワードが全部入り、です。
Web2.0って何?と、Webを探していっても、情報が錯綜していて、余計わからないものですが、この本を最初から最後まで読めば、間違いなくキーワードは網羅的におさえられるでしょう。関連URLも多数紹介されるので、Web2.0の実物を確認していけば理解がさらに進められます。
エンジニア、ビジネスマネージャー、プロデューサー、アナリストなど、どの立場で読んでも参考になる本です。
2006年03月04日
ロックオペラ&セミナー「コンテンツとメディアの近未来」
理事をしているコミュニティのオープンイベントのお知らせです。
毎年恒例のオーバルリンクセミナーの季節になりました。私はSeminar 03【コンテンツとメディア】のスピーカー及びロックオペラ部分でチョイ役として参加する予定です。
ロックオペラ?
ええ、やるのです我々は。
このイベントは、ロックオペラ「バラモエ」の物語の進行の途中に、コンテンツとメディアの近未来を語る3部のセミナーが入る内容です。
なぜロックオペラ?バラモエって?ということは下記のオフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.baramoe.jp/
このセミナーは、一昨年はプロの奏者を招いたクラシック演奏+セミナー、昨年は現代音楽家+セミナーでした。まったく新しい表現手法を求めていったら、今年はこうなっちゃいました。
どうかなにとぞ積極的なご参加をよろしくお願いします。
オーバルリンク公開セミナー+ライブパフォーマンス 2006
http://www.ovallink.jp/info060228.html
●タイトル
オーバルリンク公開セミナー+ライブパフォーマンス 2006
「コンテンツとメディアの近未来」
●日時+場所等
日時:3月12日(日)
13:00 開場
13:30 開演
17:30 終演予定
場所:恵比寿 イーストギャラリーB1F(JR山手線 恵比寿駅 西口より徒歩2分)
東京都渋谷区東3-24-7 Tel: 03-5466-1140
(駐車場・駐輪場は用意しておりません。公共交通機関をご利用ください)
地図はこちら
セミナー参加費:一般:3,000円 会員:無料
懇親会参加費:一般:3,000円 会員:3,000円
主催:OVAL LINK
企画構成:OVAL LINK
●開催にあたって
次世代メディアとコンテンツ・クリエイションを追求するネットワーク・コミュニティ「オーバルリンク」は、結成3周年を迎えました。3周年の節目にあたって、「コンテンツとメディアの近未来」というテーマのセミナーとライブ・パフォーマンスを一般公開します。トーク+音楽+芝居の立体的な構成の中で、次世代メディアとコンテンツ・クリエイションを考えます。
●テーマ
ラジオ、テレビ、そして新聞、雑誌。あまりに当たり前の存在として普及してしまったマスメディア。しかし、マスメディアは肥大化してしまいました。それが今の状況です。マスメディアは、当然あるべきものとして「広告媒体」機能を負い続け、産業全体の発展のために重要な一翼を担ってきました。その一方で、インターネットをベースとした組織と組織の間、人と人の間を相互に結ぶ多様なネットワークが、有線、無線を問わず、高密度に張り巡らされ、しかも、安価にあるいは無料でアクセスできる環境が加速度的に広がりました。今回のイベントでは、「明らかに変容しつつあるこれらのメディア環境の関係」と、「そこに新たな存在価値を見い出しながら生息するコンテンツ」というものについて探ってみたいと思います。
●セミナーの構成
Seminar 01【映像コンテンツの現在】
マスメディアとインターネットを取り巻く世界の相関関係が変わりつつあります。同時に「コンテンツ・クリエイション自体」、「それを伝達し享受するためのチャネルやルート」、「作者とオーディエンスの新たな姿とその関係」も変容しています。漫画、アニメ、映画、ニュース映像、アマチュアによる映像、そのコラージュと裏流通、溢れるコンテンツの価値とネットワークの現在を考えます。
ゲストスピーカー:未定
モデレーター:高橋克三氏(オーバルリンク会員)
Seminar 02【商業音楽、PRとタイアップの系譜】
インターネットは、もうひとつのメディアとしての価値が急激に拡大しています。この時期に、われわれが検証すべきは、ラジオやテレビのマスメディア黎明期に起こったことです。今回のセミナーでは、ポップスとメディアの関係、特にマスメディアを通して成立した歌謡曲の歴史を遡ります。ラジオ、テレビ、ゲームなどがひとつのメディアとして立ち上がるとき、コンテンツとしての音楽はどのような力を発揮したのか。その「歌謡曲の歴史の検証」から、そこに通底するものを考察し、「これからのメディアにとっての音楽的なもの」に思いを馳せます。
ゲストスピーカー:速水健朗氏(http://mirror-ball.net/)
モデレーター:いしたにまさき氏(http://mitaimon.cocolog-nifty.com/)
Seminar 03【コンテンツとメディア】
メディアの価値が変わるとしても、産業の推進役として位置づけられたマスメディアは、そう簡単に消え去るものではありません。一方で、新たなメディアとしてのネットワーク技術の進化と普及は、誰にも止められません。両者の間に起こるであろう反発、補完、代替、シナジーを通じて、それぞれのメディアに流れるコンテンツとそれを享受する側のコンテクストの関係が変わっていくのは間違いありません。テレビとブログ、Webと雑誌など、メディアの進化と融合によって浮上してくる情報とオーディエンスの関係性の変化を俯瞰します。
ゲストスピーカー:神田敏晶氏
スピーカー:橋本大也氏(オーバルリンク会員)
モデレーター:渡邊 聡氏(オーバルリンク会員)
●ライブ・パフォーマンス=ロックオペラ『バラモエ』
今回のイベントでは、セミナーの前後に挟み込むライブ・パフォーマンスがあります。ロックオペラ「バラモエ」と題する近未来ストーリーと音楽です。セミナーという静的な形式だけでなく、我々自身が創作したフィクションと、自らが作詞作曲して演ずる音楽とは、メディアとクリエイティブを捉えようとするオーバルリンクからのもうひとつのメッセージです。これは、コンテンツ+コンテクストをテーマとした実験的な試みであり、我々自身が体現するという既存の価値観からの「ズレ」も含めて、コンテンツとコンテクストへの問いかけのひとつとなっています。
●
ロックオペラ『バラモエ』のイントロダクション
「
日本で成熟したいくつかのコンテンツは、これまで世紀末の度に、世界にそのエッセンスを引用されつつも、本質的には享受され得ないものであった。しかし21世紀初頭、あるひとつの発明によって、この世界から孤立した「日本文化」は、本格的なエンターテイメント産業として世界経済に巨大なインパクトを与える存在となった。これまでは全く解釈されず、世界の人々からは見向きもされなかった漫画、アニメ、TV番組、音楽、映像、文学、絵画、能、落語、舞踊など、ありとあらゆるジャンルの日本のコンテンツが、その構造からディティールに至るまで、古典からコンテンポラリーまで、時代を超え、言語やライフスタイルを超え、次々とグローバルスタンダードとして認められるコンテンツとなって広がっていったのである。それは、もはや、革命であった。これこそが、2つのエネルギー革命と情報流通の革命、その次に起こったエンターテイメント産業を軸とする第4の革命である。しかし、そのきっかけは、ただ一人の青年が生んだ妄想とも言える単なる思い付きだった。それは、コンテンツに潜ませたシグナルによって、そのコンテンツの享受者の脳内発火を促し、享受者のコンテクストを送り手側からコントロールするという技術である。この物語は、開発コードネーム『バラモエ』と呼ばれたそのシステム開発をめぐる近未来からのメッセージである。
」
■オーバルリンクとは?
今から4年ほど前、日経BP社によってオンライン上の有料情報提供サービス「ブロードバンドビジネス・ラボ」が試みられた。同ラボは、残念ながら1年余でその幕を閉じた。しかしその後、そこで稼働していたメーリングリストに集まった有志が、 2003年2月に任意団体として、その活動の一部を継続することとなる。これが、「オーバルリンク」の出発点である。現在、約140名の会員が、メーリングリストやオンラインデータベースの活用による個々人の情報共有を日常とし、日々起こる様々な企業活動、あらゆる事象や事件、それぞれのプロフェッショナルな立場から起こされるテーマ、それら多様な契機から湧き起こるテクストをネットワークし、アーカイブを重ねている。さらにこういったビジネスコミュニティー的な機能にとどまらず、より日常的な対話、あるいは雑談をも含む多様な遊び、つまり、ビジネスから日常生活まで、ひとつの意思決定の背景となりうるような、まさに欠かせない「情報空間」として「コレクティブ ブレイン」なコミュニティが機能し、それが存続している。またオンラインゆえのオフ会としてだけでなく、会員内でのセミナーや、多様なジャンルのクリエイティブな展開も起こっている。そして今年、この運営の中心をより社会的な、より確かな組織として、継続的な活動を可能にするために、認定NPO法人化への第一歩を踏み出した。
以上
2006年03月03日
デスクトップにウィンドウの縮小表示を並べて管理するminiMIZE
・Aquaria.za.net - miniMIZE
http://aquaria.za.net/index.php?option=com_content&task=view&id=133
miniMizeは最小化したウィンドウのサムネイル表示をデスクトップに並べて管理するユーティリティ。使い方は簡単で起動しておくだけ。あとはウィンドウの最小化ボタンをクリックすると、マウスで移動可能なサムネイル表示がデスクトップにでてくる。これを再びクリックすれば、元のサイズへ戻せる。
ウィンドウのサムネイルの右下にはアプリケーションのアイコンが表示される。これがあるおかげで、作業内容がわかりやすくなる。サムネイルの初期配置などはカスタマイズできる。
この使い方はかなり便利だと思った。ただし、サムネイル表示中のウィンドウはタスクバーには表示されないので、併用するとあのウィンドウはどこへいっちゃたんだ?と戸惑うこともある。このソフトを使うのであれば、このソフトだけで管理するのがよさそう。
2006年03月02日
大戦略ポータブル
PSPの戦略シミュレーションゲーム。お正月に遊んだ感想。
中学生の頃、”マイコン”(死語)で、大戦略の初版に夢中になった。PCと対戦して常勝状態に飽きると友人を呼んで、休日は朝から晩まで対戦をした。その後も5年に一回くらいのペースで、その時代の最新ゲーム機版を遊んできた。時代が進むと戦闘シーンがムービーになったり、3Dになったりと、見た目は進化しているものの、本流とされるラインでは、20年前と基本は変わっていない。
兵器の駒を交互に動かしていく大戦略は、将棋みたいな面白さがある。駒同士がぶつかった場合の戦果は、ほぼ正確に事前に予測できる。兵器の火力や防御力の強さ、駒のある地形の戦略効果、全体の配置などのパラメータを常に把握し、駒を動かしていけば勝てる。純粋に頭脳戦が楽しめるのがいい。
特にPSP版のシステムは、いたってクラシックなバージョンである。昔、遊んでいたユーザが懐かしくなってプレイするのに向いている。新奇な要素がないので解説書を読まずともプレイできるだろう。当時と違ってコンピュータの思考速度は速くなったし、サクサク展開できるのがいい。
大戦略ポータブル公式サイト
http://www.genki.co.jp/games/strategy/index.html
・元気、シンプルさを追求した「大戦略」最新作、PSP「大戦略 ポータブル」
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050912/daisen.htm
紅白歌合戦を見ながら、コンピュータ相手に連戦していた。リアルタイム性はないので、テレビを見ながらダラダラやるのも楽しかった。コンピュータ同士を戦わせて消耗させながら、自分だけ資源を蓄えて一気に攻勢に出るのが私の対PC戦略。
でも、やはり、大戦略の醍醐味は人間同士の対戦。無線LAN対戦ができるので、誰か対戦相手を身近に探して、もう一度遊ぼうと計画中。
・音声認識で4ヶ国語翻訳マシンにPSPが変身 TALKMAN
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004239.html
・電車でGO! POCKET 山手線編
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003859.html
・実話怪談「新耳袋」一ノ章
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003803.html
・PSP対応ネックストラップ・ヘッドホン・ポータブル
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003813.html
・映像ファイルを携帯、PSPで再生する形式へ変換する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002733.html
・PSPの第一印象、今年はPSP Hacksが流行する?
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002782.html
2006年03月01日
メタデータ技術とセマンティックウェブ
いまネット技術でキーワードの「Web2.0」とも関係が深いメタデータとセマンティックウェブについて書かれた研究書。主に理系の学部生向けレベルの入門の難易度。RSSやWebサービスのAPIをいじるのは楽しいが、より深いレベルで技術を理解したい人も増えたはずの今、タイムリーな刊行(2006年1月出版)。
目次:
序章 メタデータのもたらすものとは
第T部 メタデータ
第1章 メタデータアーキテクチャ
第2章 標準化の流れ
第3章 メタデータ基本技術とその背景
第U部 セマンティックウェブ
第4章 セマンティックウェブの意義
第5章 メタデータ記述言語RDF
第6章 オントロジ記述言語OWL
第V部 メタデータ応用
第7章 デジタル時代のメタデータ流通
第8章 NIメタデータ流通システム NI日本ノード構築にむけて
第9章 電子政府
第10章 学術情報流通とメタデータ
第11章 新聞社のメタデータ技術への対応 NewsMLを中心に
第12章 サーバ型放送とメタデータ
第13章 デジタルシネマのメタデータ流通
各章では主要技術の概略や応用事例が簡潔にまとめられている。各技術の詳細を知りたい場合は別の専門書が必要だが、コード例や概念図などが挙げられて、”感じ”はつかめる。
いくつか参考になる考え方を知った。
ひとつは、メタデータに共通の要求条件とは何か。
メタデータに共通の要求条件:
1 更新性 常に最新の状態を示すこと
2 常時性 いつでも即手に入ること
3 同報性 多数の人が同時に手に入ること
4 一覧性 一度に見られること
5 ターゲット適合性 役に立つときに役に立つ人が使えること
6 コンテンツ密着性 いつでも取り出せること
このリストは、そのメタデータ技術がイケてるか、イケてないか判断する材料として使えそうである。また、メタデータの用途種別として、制作、存在、検索、権利・許諾、流通・配信、利用・評価という6種類があるという表も参考になった。メタデータの設計に使える知識である。
そして流通の前後では事前に静的に付与されるデータと、事後に動的に付与されるデータという分け方もあった。私は機械が付与するものと人間が付与するものという分け方をしていたが、こちらの方が意味がある分類だと納得。
この本には、実にさまざまなメタデータが登場するが、今のところWebで成功しているのはRSSのように記述が簡単で構文解析が容易なライトウェイト系と言えると思う。より本格的ではあるはずのMPEG7やOWLのフルバージョンなどヘビーウェイト系は流行の兆しがない。
項目が多くて階層が深い設計のヘビー系は、表現力は豊かな分、作成コストも学習コストも高い。あまりに厳格な記法では、ネット上のラフ(いい加減)な実装系が処理できない。ライトでラフでは信頼性が疑わしいと長い間考えられてきたが、最近はネット上の市場原理、自然淘汰で信頼性の問題も解決できそうな希望も見えてきた。
少数の専門家が中央集権的に付与するメタデータの時代から、多数の一般ユーザが分散的に付与するメタデータの時代になったように思える。流通ボリュームの観点からすれば、現在は勝手にユーザがメタデータをつける「勝手メタ」の時代である。本書のような「正しいメタデータ」本と並んで、「勝手メタ」の扱い方の研究本もそろそろ必要なのではないだろうか。