2007年10月02日
凍
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東京ー名古屋の新幹線で読んだ。往路でも復路でも物語の中に心は引き込まれて、気づいたら目的地だった。沢木耕太郎の傑作。
登山家の山野井泰史・妙子夫妻が2002年に体験した、壮絶なヒマラヤ登山のドキュメンタリ小説である。このふたりはテレビや新聞で紹介されているのを見たことがあった。夫妻は手や足の指を、何度も凍傷で失っている。妙子夫人は両手両足で合計18本を切断しているそうだ。常人であればそれだけで大変な障害で、日常生活にも支障をきたすと思うのだが、彼らは困った風にさえ見えない。その後も難しい登山に積極的にチャレンジしているのだ。どうなってるの?と不思議に思った記憶がある。
この小説を読んで、その心理が少しわかった気がする。死と隣り合わせで心身の限界に挑戦しているときに、一番の生の充実を感じる人たちなのだ。夫妻がふたりとも、アドレナリン駆動の人生を選んでいるから勢いは倍増して、冒険は加速していく。
数年前にみた映画「運命を分けたザイル」を思い出した。ストーリーはかなり似ている。限界を超えて、超えて、超えて。人間の生きる力。「凍」に通じる感動がある。
「アンデス山脈にある前人未到のシウラ・グランデ峰登頂に挑んだジョーとサイモン。しかし天候の悪化によって、ジョーが片足を骨折する。サイモンは、2人とも命を落とすか、あるいは動ける自分だけが助かるべきかで悩み、ジョーとの命綱であるザイルを切る選択に迫られる。実話を基にしたノンフィクション文学のベストセラーを、ドキュメンタリーかと見紛うような映像で再現した一作。」
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Posted by daiya at 2007年10月02日 23:59
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