2007年09月27日
スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学
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「日本でふつうに暮らしているような生活者が、自分なりに楽しく生活するためには、経済のしくみをどう理解したらいいのか」を、経済学者がスターバックスのメニュー体系のような、身近な事例を使って解説する本。
ソフトバンクに携帯を乗り換えたばかりの私は、第4章の「携帯電話の料金はなぜ、やたらに複雑なのか」と最終章のケーススタディが、特に面白かった。店頭では絶対に教えてもらえなさそうな携帯電話各社のサービスモデルの背景が書かれている。
私の携帯乗換えの直接の決め手は、特定のソフトバンク利用の家族間が無料の割引になるからだった。トータルで見ると家族や親族間の通話がほとんどだったので、一族郎党で一斉に切り替えた。なぜソフトバンクはこれが実現できて、ドコモはできないのか。それはソフトバンクのシェアが低いから、大半のユーザの通話は、他社携帯との有料通話になるからだ、と著者は指摘する。シェアが高いと実現しにくい割引というものが存在するわけだ。規模の経済を逆手に取ったような戦略なわけで、後発参入者の攻め方の例として興味深いと思った。
携帯電話の料金体系が異様に複雑になった原因は、利用者が料金プランを変更する際の取引コストが高くなると、利用者は料金プランを最適化せずに放置するので、携帯電話会社にとって利益をもたらしやすなるから、らしい。取引コストとはすなわち情報を調べる手間のことだ。
この本には多数のビジネスのしくみが紹介されているが、ほとんどは取引コスト、情報コストが最終価格差の原因になっている。消費者はしくみを知っていれば得をする、というケースが増えているということでもある。
あとがきでは「つまり、他人と同じ好みや行動パターンの人は、産業の技術進歩や経済のしくみの変化によって、取引コストを節約しやすいのです。この点だけをみると、他人と異なる好みや行動パターンの人は、取引コストの節約の面で損をする可能性があります。」と著者は書いている。
特に人と異なるパターンの人ほど、経済のしくみを勉強する価値があるということである。
サービスの料金設計を考えるビジネスマンにもおすすめ。
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Posted by daiya at 2007年09月27日 23:59