2007年06月30日

モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語
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「私の人生を変えた一冊」ってなんだろうな?と「読書という体験」の感想を書きながら考えていた。それでまっ先に思いうかんで注文したのが「モモ」。25年ぶりくらいに読んでみた。

・読書という体験
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004979.html

この本がきっかけで私は物語の面白さを知った。読書の習慣のはじまりは、この一冊のおかげである。

こんな風に概略が紹介されている。

「時間におわれ、おちつきを失って人間本来の生き方を忘れてしまった現代の人々。このように人間たちから時間を奪っているのは、実は時間泥棒の一味のしわざなのだ。ふしぎな少女モモは、時間をとりもどしに「時間の国」へゆく。そこには「時間の花」が輝くように花ひらいていた。時間の真の意味を問う異色のファンタジー。小学5・6年以上向き。」

本来は小学校5,6年向きだが、大人が読んでも感動するだろうし、考えさせられること、きづかされることが多いと思う。

「時間とは何か」ということを長い寓話的な物語でエンデは語りかけている。

「 とてもとてもふしぎな、それでいてきわめて日常的なひとつの秘密があります。すべての人間はそれにかかわりあい、それをよく知っていますが、そのことを考えてみる人はほとんどいません。たいていの人はその分けまえをもらうだけもらって、それをいっこうにふしぎとも思わないのです。この秘密とは――それは時間です。
 時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。
 なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。」第6章の冒頭

ミヒャエル・エンデがこの本で言いたかったのは、「時間を大切にする」ということの本当の意味なのだろうと思った。物語の中で街の人たちは「灰色の男たち」に時間を大切にしなさい、自分の目標達成のために貯蓄しなさいとアドバイスされ、せっせと時間を管理するようになる。その結果、仕事で成功し経済的に豊かになるが、友達と語り合う時間を失い、人生を哲学する時間をなくしてしまう。

この物語でモモ側と灰色の男たちの間に「時間を大切にする」ということの意味はふたつある。どちらの考えも間違っていないと思うが、どちらが素敵と思うか、それは人によって違う人生観の違いだ。

モモであるエンデは時間を、使うのではなくて生きよう、と言っているようだ。それは時間を効率的に使うことでは決してなくて、一瞬一瞬を深く味わったり、楽しい時間を誰かと共有して生きること、なのだ。時間を管理するな、味わえと。タイム・イズ・マネー、ではなくて、タイム・イズ・ライフなのだぞと、そういうメッセージが、大人になった今読んでみて、伝わってきた。

タイムマネジメントなんてくそくらえ、なのである。

・「時間」を哲学する―過去はどこへ行ったのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001835.html

25年ぶりに読み返してみて、なんとまあ素晴らしい本といいタイミングで出会えたものだよなあと思いました。


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Posted by daiya at 2007年06月30日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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