2007年06月25日
天涯の砦
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「地球と月を中継する軌道ステーション“望天”で起こった破滅的な大事故。虚空へと吹き飛ばされた残骸と月往還船“わかたけ”からなる構造体は、真空に晒された無数の死体とともに漂流を開始する。だが、隔離されたわずかな気密区画には数人の生存者がいた。空気ダクトによる声だけの接触を通して生存への道を探る彼らであったが、やがて構造体は大気圏内への突入軌道にあることが判明する…。真空という敵との絶望的な闘いの果てに、“天涯の砦”を待ち受けているものとは?期待の俊英が満を持して放つ極限の人間ドラマ。」
久々に手に汗握りながら読む作品に出会った。非常事態スペクタクルの傑作。「老ヴォールの惑星」の小川一水の長編。スピーディな展開と緊迫感。ユニークな設定の登場人物たちが、極限状況下で織りなす人間ドラマ。映像的でわかりやすい。そのままハリウッド映画にできそう。
沈没していく船からの脱出を描いた70年代のヒット映画「ポセイドン・アドベンチャー」と作風は似ている気がする。この映画も素晴らしかった。希望と絶望が交互にやってきて、葛藤する複雑な人間模様があって、パニック映画のお手本だなあと今でも思う。
これを2006年にリメイクしたのが「ポセイドン」。最新のCG技術を使って、豪華客船の沈没シーンを迫力映像で描いている。最初の10分間は見物である。
ポセイドン・アドベンチャーに興奮した人には間違いなく天涯の砦はおすすめである。海中以上に、宇宙における人間の無力感を感じさせて、ドキドキである。
・老ヴォールの惑星
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004637.html
・SF作家 小川一水のホームページ 小川遊水池
http://homepage1.nifty.com/issui/
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Posted by daiya at 2007年06月25日 23:59