2007年05月29日
格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~
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子どもの成績のよしあしは何によって決まるのか?。小学校2〜6年の子どもを持つ母親1443人を対象にしたアンケート結果で、成績の良い子どもの家庭には、次のような条件がそろっていたそうである。
・父親の所得が高い
・母親の結婚前の所得が高い
・父親、母親、祖父の学歴が高い
・母親が料理をするのが好きである
・父親が土日休みである
つまり、高所得高学歴で余裕のある家には、生活の質の高さがあり、それが意欲の高さにつながり、成績の高さにつながる。成績が良い子の家の父母は、てきぱきと仕事をしたり、将来設計をきちんと考える、前向きの傾向があるそうだ。
子ども自身の性格面でも、
・成績のよい子の方が明るく、がんばりやで、スポーツ好き
・成績の悪い子は消極的で、だらしなく、友だちが少ない
という特徴があるという結果になっている。同時に、性格が明るいから成績が良いのではなくて、成績が良いから明るい性格になるという、因果関係も取りあげられている。そうして身につけた社会的に好ましい性格は、子ども自身の将来の成功につながりやすいだろう。
このアンケート調査は、この本ではその全貌が示されていないので、どこまで正しいものなのか分からない部分もあるのだが、質問項目や結果分析が週刊誌の見出し風でわかりやすい。格差間の大きな差異、おおまかな特徴はとらえているようだ。
その他にもこんなデータも明かされる。
・成績「上」の子どもがいる家庭の15%が日本経済新聞を購読している
・成績の良い子の母親は昼寝より読書が習慣の「がんばる派」
・英語への取り組みは成績とはあまり関係ない
・下流的な若者ほど白いご飯を食べている人が少ない(母親が料理好き)
・成績「上」の子どもの母親に「プレジデント・ファミリー」読者が多い
そして母親を、のび太ママ、スネ夫ママ、ジャイアン母ちゃん、しずかちゃんママに4分類する。「しっかりした性格で成績もよい」しずかちゃんママの子どもが成績が最も良いという。各母親の行動パターンが解説されている。
「下流社会」という流行言葉をつくった著者の新作。この本の読者層(子どもの親)にとって、気になる見出しが満載である。「下流」が話題になっても社会闘争のようにならないのは、その主な関心層が、中流以上に属していると感じている層なのではあるまいか。
日本の格差は世界の格差と比較したら小さい。高級車が走る道端で生き倒れの死体が転がっているような格差ではない。その流動性が低くなってきたのが日本の未来に影を落としているという点が問題なのだと思う。
この調査は初期条件(親の年収や学歴や行動パターン)による格差の固定を裏付ける趣旨だったが、逆に、初期条件が悪かったのに、格差を乗り越えたグループを調べてみたらどうだろうか。将来への希望とビジョンが見えてくる気がする。
ところで調査結果の中に「成績の良い子は勉強時間が長い」「成績の悪い子は勉強時間が短い」というデータがあった。いろいろな因果関係が分析されていて、この項目はあっさりとしか扱われなかったが、結局、本質は、勉強する時間の量なのではないのかなあと個人的には思った。
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Posted by daiya at 2007年05月29日 23:59