2007年05月24日
空の名前
スポンサード リンク
「天使の梯子」という気象現象がある。英語ではヤコブの梯子ともいう。画像検索してみると、美麗な写真を見ることができる。雲の切れ間から太陽光が幾筋もの光の柱を降ろす。神々しい。天使の梯子、まず名前がいいなと思う。
・Google画像検索「天使の梯子」
http://images.google.com/images?svnum=10&um=1&hl=ja&rls=com.microsoft%3A*%3AIE-SearchBox&q=%E5%A4%A9%E4%BD%BF%E3%81%AE%E6%A2%AF%E5%AD%90
これは空模様、気象について392種類の状態を意味する言葉と解説を集めた写真集である。気象学の簡単な案内もある。ロングセラーの改訂版。窓際に常備しておきたくなる。
冒頭の気象学上の雲の分類を見て驚く。巻雲、巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、乱層雲、層積雲、層雲、積雲、積乱雲、毛状雲、鉤状雲、濃密雲、塔状雲、房状雲、層状雲、霧状雲、レンズ雲、断片雲、扁平雲、波雲、雄大雲、無毛雲、多毛雲、(雲に毛なんてあったか?)、肋骨雲、もつれ雲、波状雲、放射状雲、蜂の巣状雲、半透明雲、二重雲、隙間雲、不透明雲、鉄床雲、乳房雲、尾流雲、降水雲、アーチ雲、漏斗雲、頭巾雲、ヴェール雲、ちぎれ雲。
気象学にはない雲の名称はこれ以上に多い。入道雲、飛行機雲などがそうだが、雲の状態を形容する言葉は、日本語に何百もあるのである。
雲だけでなく、雨、風、雪、光線、季節の状態も同様に実例の写真付きで、こういう模様はこう言うのだと辞典的に説明がつけられている。インディアンサマー、老婦人の夏、ブロッケンの妖怪、八十八夜の別れ雪、比良の八荒、鰤起こし、狐の嫁入り、風の伯爵夫人などのドラマを連想させる言葉も多い。
日本は南北に長く季節の変化に恵まれた国だから、気象にかかわる語彙が広がったようだ。歌に詠まれる言葉としても発達した。「八雲立つ出雲八重垣妻籠めに八重垣作る其八重垣を(スサノオノミコト)」という古代の歌は有名であるし、明治に小泉八雲というペンネームを使った外国人作家もいた。そして、その「八雲」の写真もちゃんと収録されている。
歌を詠む機会というのはなくなった現代だが、あいさつ文や会話に、的確な季節感のある言葉が入っていると、この人は余裕があるなあと感じる。(話は変わるが、咲いている花の名前が言える人も尊敬してしまう)。写真と一緒に眺めることで、そうした言葉を自然に使えるようになれそうな本である。
スポンサード リンク
Posted by daiya at 2007年05月24日 23:59