2007年04月28日
光の神話 心の扉を開くピンホール・アートフォト
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スピリチュアル系の本を冷やかな疑いの眼差しで見ている私であるが、この写真集にはうっかり癒されてしまった。ピンホールカメラで写真を撮すという行為をセラピー療法として売り出した女性カメラマンによるアートフォト。撮影技法の解説やセラピーのガイドもある。
ピンホールカメラにはレンズがないから、本来はピントという概念がない。普通の写真と比べたら、シャープに撮れたものでもかなりピンボケの部類に入る。光の反射や現像処理の手違いで意外な光の効果が出たりもする。撮りたいようには撮れないのである。だから、偶然の効果で得られたピンボケ写像が自分の心の反映みたいに思えることがある。
「しかし、「撮りたい」という「思い」で写真を撮ること自体が主体的な行為なのです。その上、アングルを見ることができないということは、結果が予測できないため、一枚撮るのに通常のカメラに比べてはるかに勇気がいります。それによって予想できないことに対して自分を信じて思い切って行動する「チャレンジ」を楽しみながら学べます。」
著者は、プロのカメラマンからピンホールフォトのセラピストへ転身した人なので、ポラロイドだがいい写真ばかりだ。くっきりとは写さず、わざとぶらしたりして、抽象的な絵を撮っている。ポラロイドフィルムならではの色合いと粒子の粗さもいいなと思った。
心象風景みたいなピンホール写真で独特なものを私も撮れないかなと思って方法を考えた。使ったのは例のソニプラ入手のピンホールカメラ。
まず絵を抽象化するためにフィルムはモノクロでいくことにした。本来は真黒なモノクロが好きなのだが、独創性を狙って逆に真っ白なピンホール写真ってどうだろうかと考えた。敢えて露光過多にしてみよう。そこで、フィルム売り場へ行ってとんでもない高感度のフィルムを探したところ、あった。ISO 3200のモノクロフィルムがあるのだ。
そして屋外、晴天で露光時間10秒から20秒で撮影してきた。30秒にしたコマもある。このピンホールのスペックが不明だが、適正露出は1秒以下だろう。100分の1以下かもしれない。普通に考えたら真っ白になる。だが現像ラボは粘ってくれるかもしれないと期待。どうなるんだ、いったい。
普通の街のDPEに出したところ、モノクロはラボ送りになるので3日位待ってとのこと。ところが、数時間後に電話がかかってきた。「これは感度がいくつですか?」。「3200です」と答えたら「ちょっとお渡しまでにお時間かかります」との答え。一週間後に受け取りに行ったら、やはり妙なことになっていた。「コマずれがある上に全部真っ白で何か写っているように現像するのが大変でした」とのこと。
フィルムを普通に切れないのでネガは変な返却容器に入っていた。いやあ、困らせて悪いことをしたと一瞬反省、でも相手はプロだから気にしないでもいいか。受付の人も興味がありそうな眼をしていたので「理科の実験みたいなものです」と答えておいた。
できてきたのはこんな感じ。超高感度のざらつきとかろうじて結んだ像。カメラの歴史の始まりのダゲレオタイプ写真みたいである。独特なのは間違いないが、何が映っているのか、よくわからない。心象風景っぽい、かな(笑)。
・WORLD of PINHOLE
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004933.html
・ピンホールカメラ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004930.html
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Posted by daiya at 2007年04月28日 23:59