2007年04月01日
2006年度 年間オススメ書籍ランキング ノンフィクション部門
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新年度です。今年はエイプリルフール企画はお休みします。
その代り、本来は年初にやりたかったランキングです。
2006年にこのブログで紹介したノンフィクションの中から、これは本当によかったと思う本をランキングで10冊+1冊並べてみました。私が2006年中に読んだというのが基準なので、昔に発表された作品も一部含まれています。
参考:
・2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション編
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004849.html
まず超1位です。
あ、いや、よろしくお願いいたします。
さて、本番です。
■1位 フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004192.html
・フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
クライマックスではこみあげてくるものがあって目頭が熱くなった。知的好奇心を満足させる科学読み物でありながら、心をゆさぶる感動のドラマとして成立している。アマゾンの50以上の読者レビューのほとんどが最高点5つ星をつけての絶賛となっている。私は6つ星をあげたいくらいだ。はやくも文庫化されている。しかしこれはこの分野で10年に1冊の名著だと思う。ハードカバーで読む価値があると思う。
■2位 「みんなの意見」は案外正しい
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004473.html
私がこの本を読んで思ったのは「集団の知恵」方式は、参加型であり、より多くの人が決定プロセスに関与することができて「楽しい」ということ。その楽しさに決定と行動を結びつけるヒントが隠されているのではないかと思った。
■3位 戦争における「人殺し」の心理学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004370.html
アマゾンのレビューにも絶賛コメントが多いが、この本は戦争における人殺しの実例から、人間存在の本質へと深く切り込む洞察に満ちた素晴らしい本だと思う。「殺人本」に素晴らしいという形容詞を使うのは少しためらわれるのだが。
■4位 ヴォイニッチ写本の謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004123.html
中世に書かれたとされるヴォイニッチ写本は、考古学上のミステリとして有名である。まったく解読できない文字群と地球上に存在しない植物の図説、妊娠していると思しき妖精たちが不思議な配管を流れる液体に浸かって踊っている挿画。写本が作られた時代には、知られていなかったはずの、銀河の形状を描いた図までも収録されている。
■5位 ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004611.html
経済学は、抽象化度の強い学問のように思えるが、スティーブン・D・レヴィットは人々の日常を具体的に説明するために、その優れた頭脳を使っている。もう一人の著者でジャーナリストのスティーブン・J・ダフナーは、その分析内容を一般読者向けに分かりやすく書き直している。経済社会学あるいは経済社会学の傑作。
■6位 人類が知っていることすべての短い歴史
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004707.html
面白い教科書がないと考えたベストセラー作家ビル・ブライソンは3年間をかけて、多数の科学者に取材し、世界の成り立ちすべてを、わかりやすく説明してみせた。677ページもあるので持ち歩いて電車で読むには重い。寝床で寝転がりながら、少しずつ、大切に読み進めた。読む価値のある科学史の名著。
■7位 国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004269.html
著者は佐藤優 元外務省主席分析官。「鈴木宗男事件」で背任と偽計業務妨害容疑で東京拘置所に512日間拘留され、第一審判決は懲役2年6ヶ月、執行猶予4年。事件当時「巨悪のムネオ」の右腕としてマスメディアに大々的に取り上げられた人物。政敵田中真紀子がいう「伏魔殿」の「ラスプーチン」である。
■8位 詩のこころを読む
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004585.html
普段、ビジネス文書や研究論文ばかりを相手にしていると、アタマにでなく、ココロに響くことばの使い方があることを忘れてしまいがちである。ときどき言語感覚をリフレッシュするのに詩はいいなと思う。
■9位 ビッグバン宇宙論 (上)(下)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004613.html
あとがきでも訳者が、この本を評して、「エース投手」による「直球ど真ん中」で「王道」の切り口の本と書いている。難解な事柄が絶妙に要約され、わかりやすく頭に入ってきて整理される感覚は相変わらず。宇宙論の入門として傑作であると思う。
■10位 第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004336.html
最初の2秒の状況判断=第一感はかなり正しいということの科学。全米連続50週のベストセラー、世界34カ国で翻訳された話題の本。
■11位 書きたがる脳 言語と創造性の科学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004283.html
ハイパーグラフィア(書かずにいられない病)とライターズ・ブロック(書きたくても書けない病)について、自ら両方の症状を経験した医師でもある著者が、脳科学と精神医学の視点で言語と創造性の科学に迫る。最初から最後まで共感するところの多い一冊だった。
■12位 日本奥地紀行
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004156.html
今から128年前。明治11年6月から9月の3ヶ月間東京から北海道までを、一人の英国人女性がお供の”伊藤”を連れて旅をした記録である。著者が妹に送った44通の手紙をもとにして書かれている。世界中を旅行し紀行本を何冊も著した彼女は、人類学者のように細やかで冷静な観察眼と小説家並みの文章能力を持っている。この本は、当時の日本の貴重なスナップショットになっている。
■13位 SAS特殊任務―対革命戦ウィング副指揮官の戦闘記録
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004518.html
過酷な訓練、戦闘の恐怖、戦慄の殺人、残酷な拷問、非情な現場判断、突入の緊張感、九死に一生の瞬間、チームの連帯感、統率者の孤独、別れ、戦士のつかの間の休息。生々しいシーンの描写が卓越した文章力をもって語られる。ぐいぐい引き込まれると同時に眼をそむけたくなる行もある。映像以上にリアリティを感じさせる本だ。
■14位 フロー体験 喜びの現象学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004389.html
「一言で言うならフロー体験とは、自己目的的体験に夢中になることだ。ただそれが楽しいと感じるから没頭する瞬間である。そうしたフロー体験が生じる最適経験について、著者らの研究グループは長年、さまざまな研究を行った。」。「楽しみの社会学」とあわせて読むと理解が深まる。
■15位 ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004727.html
・ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち
原題は「裸の対話」。企業と顧客が飾らない言葉で、率直に意見を交換すること。その対話によって、マス広告には不可能だった、理想的なパブリックリレーションズを実現できるという。100人以上の企業のブロガーの実例を取り上げて、ここ数年の欧米のブログ事情を総括する。
■16位 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)(下)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004210.html
歴史から消滅した社会を比較研究することで、文明の崩壊の法則を論じた大作。
過去の文明崩壊に共通する、5つの要因として環境破壊、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の適応があると結論している。
■17位 プロファイリング・ビジネス 米国「諜報産業」の最強戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004636.html
9.11同時多発テロ以降の米国で、急成長している民間の「諜報」産業の実態に肉薄したレポート。主役はこんな企業たちである。企業ごとにひとつの章で語られており、新しいがグレーゾーンのニーズに目を付けた経営者のベンチャー物語としても面白く読める。
■18位 音楽する脳
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004148.html
著者は認知学者でミュージシャンというこのテーマにうってつけの人物。音楽と脳の共進化仮説を提唱し、音楽の本質とは何かを、生物学的、文化的、社会学的に分析していく。音楽が単なる娯楽ではなく、人類とその社会にとって、いかに重要な役割を果たしているかを、膨大な情報量で語る。
私たちの音楽の感動体験の中身とは何なのか、演奏する喜びはどこからくるのか、
■19位 量子が変える情報の宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004357.html
情報の定義、定量化の議論の歴史の解説がこの本の最も面白いメインパートとなっている。「量子が変える情報の宇宙」という邦題の通り、量子力学の成果が情報論の世界に大きな影響を与えている。長く君臨した情報の最小単位ビットさえも新たな概念に置き換えられるかもしれないのだ。
■20位 眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004466.html
生物進化史上、5億4300万年前のカンブリア紀は一大イベントであった。それまではゆっくりと進化していた生物が、この時期に、爆発的に多様になった。カンブリア紀の大進化と呼ばれる大きな謎に対して、「眼の誕生」がその原因であったという仮説が展開されている。
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Posted by daiya at 2007年04月01日 23:59