2007年07月11日
宇宙のランデヴー4 〈上〉 〈下〉
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「謎の知性体によって建造された巨大宇宙船ラーマ3が、火星軌道上で2000人の人類を収容し、太陽系を離脱してから、すでに3年の歳月が流れていた。このあいだに、独裁者ナカムラが権力を掌握し反対派を容赦なく弾圧―地域の良心として活動していたニコルは投獄され、死刑を宣告された。リチャードは2体の小ロボットをニュー・エデンに潜入させ、必死の救出作戦を開始したが…壮大なスケールの宇宙叙事詩ついに完結。」
宇宙のランデヴー 327p、2(上334p・下327p)、3(上346p・下367p)、4(上460p・下457p)と7冊、文庫で2600ページを超える長い物語がついに完結である。
さて、2600ページを読破しての正直な感想を書こう。
初作「宇宙のランデヴー」はSF史上に輝く大傑作である。続編の3作品は凡作である。続編は引っ張りすぎなのである。初作から15年後に書かれた続編の読者たちは、ラーマの正体を知りたくて読み始めたはずである。だが、そこにはチープな印象の人間ドラマが延々と展開されていた。ときどきラーマの本題がチラっと現れるため、読者はニコルとリチャードたちの物語につきあわざるをえない。当初はそれが不満であった。
ただ慣れというのがある。評論家にはそっぽを向かれた続編であるが、ファンの読者は結構いるようである。実は私もいつのまにか、この世界に慣れ親しみ、3の後半あたりでは、物語が終わってほしくないと思うようになっていた。初回を見てしまった連ドラを毎週見たいと思う感覚に近い。続編3作はそういうスペース・ソープ・オペラなのである。
長く登場人物たちとつきあうと、苦楽をともにしてきた感が醸成されてきて、4のあたりでは泣かせるシーンもある。本来、そういう作品ではなかったはずなのだが。スタートレックに近い。
人間ドラマ部分のアイデアはおそらく共著者のジェントリー・リーによるものだと言われている。文明批判や宗教色はアーサー・C クラークの要素であろう。当時、実現しなかったが、映画化、ドラマ化が予定されていたらしい。多分に映像化を意識した絵作りが感じられる。
それで結局、ラーマの秘密は明かされるのか?。答えはイエスである。最後の100ページはラーマの創造者たちについて真正面から語られている。はぐらかさない。極めてまともでオーソドックスな答えが用意されている。最後まで謎で終わりというわけではないので、安心して読んでいいと思う。
私にとって特別な作品であった「宇宙のランデヴー」。その続編をいつか読みたいと思っていたので、長い読書であったが大きな達成感があった。
さて、当時は実現しなかったと書いたが、現在もモーガン・フリーマンらRevelations Entertainmentがハリウッドで映画化の企画を進めているそうだ。資金集めに苦労しているそうだが、絶対に実現して欲しい。ちなみにこの会社は映画のP2P技術によるネットワーク配信に着手していることでも知られる。公開後はネットで観られるかもしれない。
数年後の映画公開の頃、このエントリは多くの人に参照されているといいなあ。
・Revelations Entertainment
http://www.revelationsent.com/flash/index.html
・Rendezvous with Rama - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Rendezvous_with_Rama
・Sir Arthur C. Clarke
http://www.arthurcclarke.net/
・宇宙のランデヴー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004864.html
・宇宙のランデヴー2(上)(下)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004872.html
・宇宙のランデヴー3〈上〉〈下〉
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004873.html
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Posted by daiya at 2007年07月11日 23:59