2007年01月11日
日本という方法―おもかげ・うつろいの文化
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編集の神様、松岡 正剛著。日本は主題の国ではなく方法の国であるとし、万葉から満州までの歴史を、情報編集国家日本の歴史として説明する。
「日本人が外来の自然や文物や生活を受け入れ、それらを通して、どのような方法で独特なイメージやメッセージを掴もうとしたかということが、本書で説明したいことのひとつです。この方法が日本的編集です。」
日本の社会文化的特徴を「おもかげ」「うつろい」という言葉に託している。おもかげのおもは、主・面・母と重なり、「おもしろい」「おもむき」「おもう」などにもつながる。うつろいは移行・変化・変転・転移を意味するが、うつは空、虚、洞とも通じる広がりを持っている。
外からやってくるものを巧妙に内なる文化に取り込む。それが日本文化の方法だったのである。移ろう影として実体がなかったものも、その面を映し出すことで、現(うつつ)として成る。そんな風にしながら日本的な文化は柔軟に形成されてきた。古事記や万葉集の古代から近代までの日本の歴史を振り返りながら、日本的編集の巧妙さがよくわかる本である。
「日本人はもともと、互いに異なる特色を持つ現象や役職や機能を横に並べて、それらを併存させることがそうとう好きなのかと思わせます。日本人は対比や対立があっても、その一軸だけを選択しないで、両方あるいはいくつかの特色をのこそうとする傾向を持っているのではないでしょうか。」
確かに日本というのは方法の国としてみると凄い国である。文字だけみても仮名と漢字にカタカナ、英数が混在している。食べるものも和洋中伊仏など混在している。外来の強力なものを、取り込まれるのではなく、ちゃっかり取り込んできた。そうして100年もすると外来文化もいつのまにか日本文化の顔をしていることがあると思う。
この本の扱う年代をさらに遡っていくと、縄文時代を含めて10万年くらい、南方や大陸から段階的に波状的に外来文化と人と一緒に渡ってきて、日本という文化が成っていったのだろう。そうして考えると、日本文化はたまねぎの皮みたいなものでどこまで向いても、オリジナルなメッセージというのは出てこないのかもしれない。そうではなくて、外来を取り込んで重層的に織り成していく方法論こそ、日本文化の肝であるという著者の主張はとても的を射た主張であると思われる。
・知の編集術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003328.html
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Posted by daiya at 2007年01月11日 23:59