2006年12月30日
2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション編
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2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション編
2006年にこのブログで紹介した小説・創作作品の中から、これは本当によかったと思う本をランキングで10冊+1冊並べてみました。私が2006年中に読んだというのが基準なので、昔に発表された作品も一部含まれています。
このブログで紹介する本のジャンルは2005年まではビジネス書・科学書が多かったのですが、2006年からは意識的にフィクションを多く取り入れるようにしました。ノンフィクションと比べると、ネタばれしてはいけない難しさがあります。書評の仕方を研究中です。
■2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門
1位 ベルカ、吠えないのか?
・ベルカ、吠えないのか?
世界史を総括する大河小説でありながら、テンポのよい筆致で、高い娯楽性もそなえた一大傑作である。
2位 告白
・告白
あまりに面白すぎて危険なため、盆暮れ正月連休中に読むことをおすすめします。
3位 安徳天皇漂海記
・安徳天皇漂海記
諸星大二郎的な、日本神話ベースのおどろおどろしいイメージが好きな人にはたまらない作品である。歴史の波を漂う安徳天皇の魂が、同じく滅ぼされるものたちの魂と呼応して、幻想的なドラマを織り成す。
4位 雷の季節の終わりに
・雷の季節の終わりに
デビュー作「夜市」で見せた才能の片鱗が、この初長編でさらに開花している。恒川 光太郎の作品は今後全部買う作家リストに入れることにした。代替不可能な魅力がある。
5位 わたしを離さないで
・わたしを離さないで
日系の英国人作家カズオ・イシグロの名を世界的に知らしめた「日の名残り」(ブッカー賞受賞作)の深み、格調のある文体と緻密な構成力が、この作品でも活かされ、単なる奇談に終わらせない。多様な解釈の道を読者に開いている寓話、という読後感。
6位 老ヴォールの惑星
・老ヴォールの惑星
表題作は「SFが読みたい!」誌の2006年版 年間ベストSF 国内編で、堂々第1位の作品。その他に3つの短編が収録されている。4作ともひたすら素晴らしいハードSF。SF好きでまだ読んでいなければ絶対のおすすめ。
7位 パイの物語
・パイの物語
語りの見事さ、哲学の深さ、ともに見事な完成度。表紙のポップなデザインや動物モノ、冒険小説風の作品紹介に騙されてはいけない。物語は最初は、緩やかに少年の成長物語としてはじまるが、漂流する中盤以降で、人間の心の闇を暴き出すきわどさを見せ始める。加速感がたまらない。
8位 ツ・イ・ラ・ク
・ツ・イ・ラ・ク
雑誌ダカーポの「眠れないほど面白い本」特集号で恋愛小説第一位で絶賛されていたので、姫野 カオルコ、はじめて読んでみた。いい。とても良かった。サイドストーリー集に「桃」がある。
9位 龍宮
・龍宮
常世や黄泉の国から現し世にまぎれこんでしまった異形のものたちが、素のままうごめいている。それらは民話や伝承にモチーフを借りつつも、独自の奇想世界へ落とし込んでおり、古典ペダンチックな嫌らしさもない。するりするりと物語がすすみ、活き活きと妖しい。人間でないもの、ケモノ臭くて、はかなげで、物悲しい何かをしっかりとリアルに描いている。
10位 順列都市
・順列都市 <上>
1994年に書かれてキャンベル記念賞、ディトマー賞を受賞した名作。人間の記憶や人格といった精神活動のすべてが脳という物理的システムの上にある情報であるならば、そのコピーを作成することが可能なはずである。コピーを別のシステム上で走らせれば、それはもう一人の自分である。
特別賞:
人間の想像の大きさを競う種目があったら、この作品はギネスブックに載っておかしくない。太陽系を超えて、銀河を超えて、5千億年の時空を超えて、あらゆる生命の営みを観察し、全宇宙の知生体と意識を統合し、やがて宇宙の終焉間近に、万物の創造主スターメイカーの意図を知るまでの、果てしなく壮大な物語である。数ページで数億年のスケールに圧倒される。
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Posted by daiya at 2006年12月30日 23:59