2006年12月12日
博士の愛した数式
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元数学教授であった老博士は事故で短期的な記憶力を失った。「私の記憶は80分しかもたない」と書いたメモをいつも袖に貼り付けている。毎日きてくれるお手伝いさんの親子との関係も、毎回、玄関で初対面の挨拶から始まってしまう。博士は子供が好きでお手伝いさんの息子の少年に「ルート」となづけて可愛がる。奇妙な記憶喪失の博士との生活が静かに綴られる。
博士は親子二人に、素数、完全数、友愛数、フェルマーの最終定理、オイラーの法則など、数学の不思議を語る。数学の知識が博士と現実世界の間をつなぐ唯一の接点なのだ。博士は本物の野球は見ないのに、スコアの分析にはこだわる、おかしなタイガースファンだ。
この物語、これといって何が大事件が起きるわけでもないのだが、記憶障害の博士のコミカルな言動と優しさ、それに答えるお手伝いさん親子のコミュニケーションの暖かさが魅力である。お互いがわかりあえる能力的限界を知りつつも、あきらめずに分かり合おうとする人たち、築いた友情を80分間隔で更新していく人たちの話なのである。
数論と阪神タイガースが好きな人におすすめ。
映画になった。
映画「博士の愛した数式」公式サイト
http://hakase-movie.com/
・博士の愛した数式: DVD: 小川洋子,小泉堯史,寺尾聰,深津絵里,齋藤隆成,吉岡秀隆,浅丘ルリ子,加古隆,上田正治
関連書籍:
・四色問題
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004223.html
・フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004192.html
・数学と論理をめぐる不思議な冒険
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004631.html
・なぜ数学が「得意な人」と「苦手な人」がいるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003518.html
・数学的思考法―説明力を鍛えるヒント
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003395.html
・確率的発想法~数学を日常に活かす
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001290.html
・あたまのよくなる算数ゲーム「algo」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001072.html
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Posted by daiya at 2006年12月12日 23:59
はじめまして
私は数学が好きなので、楽しく読むことが出来ました。でも、何となく切ない作品ですね。
きっかけは、タイガースファンの知り合いに勧められてでした。
(^^;ゞ