2006年10月16日
風に舞いあがるビニールシート
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「
突然の手紙に驚いたけど嬉しかった
何より君が僕を恨んでいなかったということが
これからここで過ごす僕の毎日の大切な
よりどころになります ありがとう ありがとう
」風に立つライオン さだまさし作
さだまさしの「風に立つライオン」は、アフリカの難民のために使命感に燃えて働く男性医師の生き様を歌った作品。かつての恋人から送られた、他の男との結婚を告げる手紙を読みながらも、自分が選んだ道への強い思いを確認する内容である。
「風に舞いあがるビニールシート」は、国連の現地採用で東京で働く里佳と、夫であり上司でもあるエドの、厳しくも爽やかな生き方を描いた直木賞作品である。二つの作品は風という言葉だけなく、主題もどこか似ている。
お金よりも大事なもの、恋愛よりも大切なもの、家庭よりも大切なもの、をみつけてしまった人たちの6つの物語。アフガンで死んでいく難民たち、保健所で始末されるイヌたち、修復を待つ仏像たち、芸術作品としてのケーキ、会社の意地悪が原因で落第する社会人の苦学生たち、軽んじられる今時の若者たち。そうしたものを救うことに、他の大事を投げ出すことを選ぶ人たちの群像である。
自分だけの価値観を追っていけば、周囲との軋轢をうむ。主人公達は、葛藤し、決意し、行動し、そして挫折するものもいれば、充足する人生を拓いていくものもいる。結果はどうあれ、それぞれが、力強くて、まぶしい。しかし、使命感はバランスを許さない。普通の幸せ、普通の損得計算は吹き飛ばしてしまうし、後戻りができない選択を強いられる厳しさもある。
私は大学時代に国際交流のNPOで活動していたのだけれど、当時の友人達の中には、卒業後も、国際NGOや国連組織に入って活動している人たちが何人かいる。私は入学当初は外交官を志していたけれども、難しい試験にあると聞いて、あっさりと諦めてしまった。それが結局、良かったのか、悪かったのかは今となってはよくわからない。今の仕事も生活も、とても気に入っているから。
数年前に東京大学の学生サークルからベンチャーの面白さについての1時間の講演を依頼された。彼らはあるNPOを立ち上げたばかりだった。かものはしプロジェクトという名前のその団体は、カンボジアの貧しい少年少女にITやプログラミングを現地で教育する活動を計画していた。日本で開発案件を受注し、カンボジアのチームに発注する。利益を現地の少女売春撲滅活動に使う。
「卒業したらどうするの?」
依頼主の学部生に聞いたら「きっと、この活動を続けたいと思います」と答えが返ってきた。
私は内心、彼は今はそう言うけれど、他の東大生と同じように、きっと普通に官庁か大企業に就職するだろうと思っていた。
何年かが過ぎて、私の会社にNPO法人化した同じ組織の経営メンバーとして訪問を受けたときには、びっくりした。卒業後、そのまま活動に身を投じていた。彼の志は本物だった。「風に舞いあがるビニールシート」を放っておけない人って稀にいるのである。
・かものはしプロジェクト
http://www.kamonohashi-project.net/
凄いと思います。がんばってください。
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Posted by daiya at 2006年10月16日 23:59
児童買春という問題を隠れ蓑してビジネスをしようとしているだけだと思いますけど。
ベンチャーを立ち上げるだけの資金もなく、特筆すべきビジネスプランもない。差別化のために社会問題が利用されているだけです。
Posted by: そうですか? at 2007年07月07日 14:15